吃音の施術で小学4年生(9歳)の女の子が来院。5歳の頃から症状が出始めたとのこと。日常生活では話しづらいことが多いという。当院に来院する2年前からリハビリテーション病院で言語療法を受け、喋り方の訓練をしているとのこと。症状の経過としては波があり、軽くなったり、ひどくなったりしているらしい。
通院して9回目の時から、本人は「もう、つまったりしていない・・・」というので、以前からあった乗り物酔いの施術を行なった。お母さん曰く、「以前は、他人から見ても明らかに吃音があることが分かったが、今ではそれが分からなくなっている・・」とのこと。しかしながら、時折、つまっていることがあるらしい。以前は、治療院で話を聞いていると明らかに吃音の症状が現れたが、それは確かに無くなっている。でも、どこかの場面で誤作動記憶のスイッチが入るのだろう。次回からはお母さんの記憶を頼りに検査を進めていく予定。
「吃音の原因は何か」という問いに対して、ネットで検索するとその分野に関係する専門家らしき人たちがそれぞれに見解を述べているようだ。西洋医学的な考えに基づいて原因論を捉えている方が多いようだが、シンプルに分けると、身体の構造面、身体の機能面、そして心理面に分けられる。我々のような治療院に来院する吃音の症状を抱えている患者さんのほとんどは、構造的な問題ではないことが多い。
多くの治療者は、心理的な要因が関係しているだろうということは察していても、どのように治していいのか分からないので、発声法などの機能的な改善に目を向けて喋り方などの指導をする。それは原因療法ではなく対症療法なので、なかなか本質的な改善は望めないと思う。では、本質的な原因は何か。原因メカニズムは「身体の機能と心との関係性」による誤作動記憶であると私は確信している。基本的にはゴルフや他のスポーツ競技で知られているイップスと同様のメカニズムで生じると考えているので同じようにアプローチすると結果が伴う。
イップスは、「身体の働き」と「無意識」との関係性で生じる誤作動なので、その誤作動記憶をピンポイントで検査をして調整することが必要になる。症状を抱えている期間が長いほど、誤作動記憶が複雑で複数関係していることが多いが、継続的に調整していけば消去法のように少なくなっていき、それに伴って症状も改善していく。
イップスを改善する際に、「フォームの矯正」や「前向きな心の持ち方」など小手先のテクニックを指導される方もいるようだが、そのような表面的な対症療法でほんとうに効果があるのか疑わしい。治療対象となる相手は「身体機能」と「無意識」の「関係性」である。よって、吃音や発声障害の治し方もイップスやジストニアと同様のアプローチで進めていけば改善される。と、私は信じて治療させていただいている。
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