2012年10月9日火曜日

PCRTアドバンス1研究会報告(その2)

次に今回のアドバンス1の研究会で大切な内容は、「ハード面からソフト面への施術移行」だろう。この心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)の初期の研究会から、心と身体の関係性に対するアプローチの仕方をご紹介してきた。しかし、メンタル面のへアプローチの仕方が強調され過ぎたようで、メンタル面の良し悪しにフォーカスしてしまい、メンタル的な問題が身体に影響を与えているかのようなとらえ方をされている施術者も少なくなかったようだ。

確かに、以前は「緊張パターン」に代わる「リラックスパターン」を創らなければ症状が改善されないかのような伝え方をしていた。そうなると考え方や感じ方を変えないと症状が改善されないと受け止められてしまう。患者さんによっては、ご自分の気づきのより考え方や感じ方を変えることで症状も改善されるという事例もあるが、それは一部にしか過ぎない。

「意欲」や「喜び」など肯定的な感情も神経系の誤作動に影響を及ぼしている場合も多々あり、考え方や感じ方を変える必要などなく、心身バランスの誤作動を調整することで多くの症状が改善される。

「意欲」や「喜び」の感情の反応がでると、患者さんの中には、「頑張り過ぎですかね?」、とか「喜び過ぎですかね?」などと感情の程度が悪いのではないかと質問されることがある。意欲や喜びを抑えるという感情のコントロールが必要なのかもしれないが、それは不自然なことであり、表面的に建て前で繕うことができても、内面的な本音を繕うということはできない。

人が時には思いっきり喜んだり、思いっきり怒ったりすることはむしろ自然の姿だろう。小さな子供が思いっきり笑わなくなったり、怒ったりしないのは何か不自然を感じる。子供は本来、本音で感情を表に出すのが自然である。その感情が表に出ていないということは何か不自然さを感じてしまう。
大人になると本音と建前を倫理的にコントロールすることができるようになるが、内面は本音を小手先でコントロールすることは困難でありそれは不自然なことでもある。

大人の場合、感情を表に出すか出さないかは倫理的、社会的に求められることがあるので感情を出さないふりをすることも求められる。しかし、心の奥底で感じる感情までも抑えたり、コントロールすることは困難で、不自然といえるだろう。

心の奥底から湧き出てくるネガティブな感情を理性によってコントロールすることも必要になることもあるが、そのような精神論的、あるいは倫理道徳的な問題は、心身条件反射療法では関与しない。あくまでも、心身の関係性で生じた神経学的、ならびにエネルギー学的な誤作動の調整に関与する。

極端な例えになるが、骨が折れたら専門家に修復してもらうように、心身の誤作動が生じたらその専門家に調整してもらうことが必要になるということである。単にメンタル面が関係しているから、メンタル面を強化すればよくなるという問題ではない。

あくまでも心と身体の関係性に生じている誤作動の問題だということをご理解していただきたい。

我々が注目しているのは、神経学的、あるいは生体エネルギー的な誤作動であり、精神論的な考え方の良し悪し、あるいはメンタル面の強い弱いではない。

患者さんの中には、最初からメンタル面の改善を求めて来院される方もいらっしゃる。そのような患者さんに対しても、やはり、心身バランスの誤作動の調整にフォーカスして施術を継続していると、結果的にメンタル面の問題も改善される場合が多い。

あくまでも「メンタル面の良し悪しではない。」「精神が強い弱いという問題ではない。」ということ繰り返して強調しておきたい。

これは、身体だけの機能を診る調整ではなく、メンタルだけにフォーカスする心理療法でもない。これは、身体とメンタルの関係性による誤作動を調整する治療法である。現代医療の隙間を埋める医療といっても過言ではないだろう。

私達人間は、この心身の誤作動を知らない間に創り出してしまう。知らない間にその誤作動が自然に調整される場合もあれば、慢性的に誤作動が継続してしまう場合もある。その場合は専門家に施術してもらう必要がある。

慢性症状が長い間続くと、その誤作動は一つや二つではなく、複数が絡み合っていることが多い。その場合、消去法のように誤作動を少しずつ消すように施術を繰り返していく。すると、誤作動が段階的に消えていくと同時に、症状も段階的に改善されていく。

このような施術は、患者さんとの信頼関係が必要不可欠である。そのためは施術者自身がこの施術法をしっかりと理解していくことが大切だろう。分かったつもりにならないで、本当にこの理解でいいのかという謙虚さも持ち備えながら繰り返しテキストや講義内容を復習し、この施術法の本質を理解していただければと願う。

このような反復学習の繰り返しによってこの治療技術がご自分の血肉となり、患者さんとの信頼関係の密度も増してくるのだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿