健康維持や症状改善のための検査法を大きく分けると、自然治癒力や身体機能を引き出すための「機能学的検査法」と、身体構造を修正するための「構造的検査法」に分けることができます。先日開催されたアクティベータ・メソッドで使われている下肢長検査法は、「機能学的検査法」です。いつも下肢長検査法のレクチャーで強調しているのは、「機能的に診るのであって、構造的に診るのではない」ということです。経験のない受講者にとって、最初はこの概念を理解することは容易ではありません。
通常は機能=動き=働きというように考えますので、静止状態で下肢長を機能的に検査するとはどういうことなのか理解に苦しむところだと思います。静止状態では機能が分からないというのはもっともな理屈ですが、関節や筋肉を自動的に動かさなくても、生体は生きている限り神経系を通じて微妙に働いています。脳の細胞が寝ている間も活動しているように、筋肉を動かさなくても筋肉細胞やそれをコントロールしている神経細胞は常に動いているのです。そして、静止状態における筋肉細胞の微妙な働きは「筋肉のトーン」として現れます。
AMの下肢長検査は静止状態で相対的な下肢長差を判断します。筋肉や靭帯などを無視して骨の長さで診るのか、「関節のあそび」に関連する人体や筋肉のトーンで診るのかで、下肢長差の判断に大きな違いがでてきます。「構造的」に診ると左が短く見えるが、「機能的」に診ると右が短く見えるという場合もあります。初心者の多くはこの判断に苦労します。機能的に下肢長を診るスキルをマスターするのは、適切な指導の元で、繰り返し訓練することが大切です。数多くの患者さんの「機能的下肢長検査」を繰り返すことで、脳が自然にそのコツを覚えていきます。
恐らく教科書や文章を読んだだけでマスターしようとうしても難しいかもしれません。公認AMセミナーでしっかりと基本を繰り返し学び、それを臨床現場で何度も繰り返して自分の身体に覚えさせていく必要があります。私たちの施術は生体の機能を回復させる施術ですので、構造的な検査をしてもあまり価値はありませんし、構造的な検査を指標にしても結果がでないでしょう。機能の問題は機能的な検査に基づいて機能障害を判断し施術を行うので結果が伴うのです。もしも、構造の問題であれば、画像診断などの構造的検査に基づいて施術を行うのは言うまでもないでしょう。
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