はじめに
40代男性が卓球のイップスを改善したいとのことで来院。具体的なイップスの症状は、打球した際に手首が上に向いてしまうという。専門用語では肘関節の回外の動きが生じる。この現象は以前からたまにあったが、ここ最近は常に生じてしまい、悪くなっている感じがするらしい。卓球歴は、中学、高校で6年間部活動をしていた。20年ぶりに再開して5年ほど子供達を指導しており、練習では主に球出しをしてあげているとのこと。
初回の施術
関節、筋肉関連の機能異常検査では右の肩関節、肘関節、手関節部、頸椎部に陽性反応が示された。機能異常部位をアクティベータ療法にて調整する。その後、イップスに関係する誤作動記憶検査、最初の検査では、時系列で2歳の時に関係する事柄が示され保留にした。その後、2項目の信念に関係する誤作動記憶を調整。エピソード記憶の陽性反応も調整。
2回目〜4回目
施術前に、施術後に何か変化があったかどうか問診するが、練習をする前から、「また、なりそうな予感がする・・」「意識すればするほど入らなくなる・・」「無意識だと入る」「最初の方だけ、意識したら出る・・」などのフィードバックをいただいた。2回目まではアクティベータ療法との併用で施術を行い。3回目と4回目はPCRTのみで施術を行なった。特に目安検査では、症状の場面を想像しながらの関節可動検査では、肩関節の筋群に異常緊張を認めたので、その異常緊張を目安に検査を行い、関連する誤作動記憶を調整した。
5回目の施術
前回から改善を感じたらしく、「思ったよりも(イップス症状が)起こらなかった・・・」とのフィードバックをいただいた。検査でも、「イップスが起きそうだな・・」という予期不安の想像をすると陽性反応が示されたので、そこから誤作動記憶の検査をして調整を行なった。
6回目の施術
約2ヶ月後に来院され、「大分良くなっている・・」とのこと。患者さん曰く、過去のコーチとして内面的な気づきの調整から良くなってきたような気がする・・・とのコメントをいただいた。しかしながら、原因となる記憶は卓球だけのことでなく、他の記憶も潜在的に関係していたので、そのような複合した記憶が調整された結果である可能性があるとのフィードバックをさせていただいた。
考察
イップスのような症状は、それぞれのスポーツに関係するメンタル面が関係していると思われることが多い。確かにそのスポーツに関係するプレッシャーや人間関係なども関係するが、案外、それ以外のメンタル面の記憶が関係していることがあり、その過去の誤作動記憶を調整すると改善に向かう方が多い。このことは、あらかじめ患者さんにも理解してもらっていないと、不信感につながり治療効果を引き出せないこともあるので、その都度、患者さんに合わせて伝えることが大切だと思う。イップスの症状が改善する過程において、常々思うことがある。それは、無意識的に記憶され、普段意識していないところで誤作動記憶が生じているということである。これは、イップスに限らず他の症状にも言えることだが、先入観を持たずに無意識に聞いていくことが効果を引き出す大切なポイントになる。
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