赤面症で通院されている患者さんの一コマで、奥に隠れていた誤作動記憶のパターンが分かったのでご紹介したいと思います。赤面症の症状は初回からするとかなり改善され、表情にも豊かさが現れている様子、でも時折、症状が出るのではないかと不安になるような状態。
目安検査で示されたのは、近所の人と対面で話をする場面のイメージで陽性反応
誤作動記憶の検査をすると、「恐れ」の反応
術者:「今までの傾向だと、“どのように評価されるか”ということがよく反応で示されていたと思いますが・・・」
術者:「今回も「いい人」であるかどうかの評価が気になっている自分がいる可能性がありますか?」
患者:「そうですね・・」
PRT陽性反応
術者:「ご自分にとって“いい人の基準”があるとしたら、どんな人でしょうか?」
患者:「“人に迷惑を掛けない”、“嘘をつかない”、“人の悪口をいわない”・・・」
術者:「それは悪い人ではない基準になりそうですが・・。悪い人でなければいい人のようになっているかもしれませんね・・・」
術者:「いい人の基準というと、幅が広いと思うのですが、心当たりのあるいい人の基準、あるいはモデルはないでしょうか」
患者:「・・・・・ん? 漫画の主人公???」
PRT検査
術者:「あっ、今の言葉で反応しているので、その漫画の主人公がいい人の基準なのでしょうね」
術者:「脳(無意識)は漫画の主人公のようなヒーローが基準になって、そのように評価されているかどうかを気にして緊張しているということですね・・・」
患者:「・・・・あ〜なるほど、それはあり得る(笑)」
調整を行い、誤作動記憶の反応は消失しました。
[考察]
患者さんは昔から漫画が好きで、よく読まれているとのこと。恐らく知らず知らずに漫画の主人公の人格が自分の無意識に投影されて「在るべきいい人」の基準になっていた様子です。以前にも別のキーワードで「漫画の主人公」が関係して誤作動記憶の調整をしたことがあり、今回は患者さんも比較的早く「漫画の主人公」が関係しているかも・・・と察しがついた様子でした。今回の誤作動記憶のパターンは、「相手にどのように思われるのか」ということが誤作動記憶の原因になっていました。
そして、それは以前にも繰り返されていた誤作動パターンなので、さらにその奥にある誤作動記憶のパターンを引き出すために質問を深めていました。「人にどのように思われるか」ということは誰もが気に掛かることです。しかしながら、人それぞれに「基準」が異なります。いい人の基準のハードルを高くすれば、緊張度は高まりますし、逆にハードルを低くすれば、緊張度は低下します。注目すべきはその人がどのような「いい人の基準」で緊張のスイッチを入れているか、さらにはその「基準」ができた「経緯」はどこからかということです。
今回の事例ではよく読んでいた漫画の主人公からの情報によって、「いい人の基準」が学習記憶された様子でした。私たちは、幼い頃から見てきたヒーローものや、悲劇のヒロインを主人公にした漫画やドラマで、知らず知らずのうちに影響を受けていることもあるようです。そして、それが隠れた信念体系となり、心の基準を創って、メンタル面や身体面に制限をかけてしまうようです。「まさかそんなことが心身に影響を及ぼすなんて・・・」と思われる人もいるかもしれませんが、脳の神経回路の誤作動記憶という視点から見ると、起こりうる因果関係です。このような施術で改善する多くの患者さんの実例から見ても辻褄があいますし、患者さんご自身が納得されていることがとても大切だと考えています。さらなる改善を期待しています。
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