研究会へのご参加ありがとうございました。毎度のことではありますが、あまりにもボリュームが多すぎて消化不良になった先生方も多かったように感じます。来年度は今年の反省を含めてプログラムの大幅な改革が必要ではないかと考えています。
改革といっても基本的なことは変わりません。より学びやすいようにプログラムをシンプルにしていきたいと思います。ご参加いただいた方の多くは、臨床現場ですぐに使えるテクニックを望まれているようです。そのようなニーズにお答えするためにも、実技中心にすぐに使えるテクニックをしっかりと習得していただけるプログラムになるように工夫したいと思います。
しかしながら、治療効果を出すためには安定した検査法が必要です。検査法を安定させるためには、単にテクニックだけでは習得できないようです。これは今回気づいたことですが、安定した検査法を習得するためには、小手先のテクニックよりも、何の「反応」を見ているのかをしっかりと理解していることが大切です。
PCRTで診ている「反応」は何ですか?という質問に的確に答えられる先生は、恐らく安定した検査反応がでているのではないでしょうか。このPCRTで診ている検査「反応」に対する理解は、単に文言を理解するというのではなく、その理解が心から腑に落ちて確信できているというレベルの理解を意味します。
「PCRTで説明していることは分かるが、自分の考え方は違う・・・」では、恐らく何の反応を診ているのかが理解できずに、単に技術的な診方をマニュアル通りにしているだけになるでしょう。したがって、脳は「反応」をキャッチできずに機械的に足の長さが短いか長いか、あるいは、力が強いか、弱いかなどを見ていることになり、曖昧な変化しか読み取れないのではないでしょうか?
よって、PCRTの神経反射検査法で明確な「反応」が引き出せるようになるためには、「反応」とは何か、そして、それがどのようなメカニズムで反応として現れているのかが説明できるくらいに理解していることが必要です。そして、その理解の深さが、検査反応の現れ方に密接にかかわっているように感じております。
それは機械論的診方と有機論的診方の違いを深く理解しているかどうかにもつながるでしょうし、傾向として、その理解度の深さが検査反応の明確さにもつながるのではないかと感じております。すなわち、検査反応が明確に分かるようになるためには、PCRTで診ている「反応」とは何かを治療哲学的にしっかりと理解されることが近道になるのではないかと思います。
効果のあるマニュアル的な技術を学ぶことも大切ですが、より深く、より幅広く臨床で応用するためには、やはり、哲学的なことや概念的なことをしっかりと理解されることでより一層治療技術に磨きがかかるのではないでしょうか?
さて、先日のAdvance2研究会でお約束したテキスト訂正の件ですが、混乱を招いた原因は用語修正ですので、その用語の説明を明確にさせていただき、全体の修正箇所がご理解いただけるようにご説明させていただきます。
そのために、小テストで提出していただいた、「単一検査法」と「組合せ検査法」の違いと、「ハード面の調整法(直接的調整法)」と「ソフト面の調整法(間接的調整法)」の違いをご説明させていただきます。
まず、その説明の前に、PCRTでは何をターゲットに検査をして施術をしているでしょうか?それは、エネルギーブロック(EB)です。EBを解放させることで症状が改善されます。言い換えると様々な症状は、治癒力を妨げるEBによって引き起こされているということが言えますし、EBが解放されれば、症状は自然に治るという原理に基づいています。
EBの原因の多くは、五感パターンや感情パターンの学習記憶に関連しています。脳や身体に条件づけされた学習記憶の程度によって、学習記憶が浅い場合は、ハード面の施術のみでEBが解放され症状が改善される場合もあり、学習記憶が深い場合は、ソフト面の施術が必要になります。
よって、ハード面からソフト面までのEBにはそれぞれの構造、機能、関係性(心身相関)、メンタルというレベルがあり、そのレベルは学習記憶の程度、深さに関連があるようです。先にも述べたように、有機的な検査を行う際、ハード面の機能的EB検査なのか、ハード面とソフト面との関係性のEB検査なのか、あるいはソフト面のメンタル的EB検査なのかというターゲットを明確にすることは、正確な神経反射反応を引き出すことにつながります。そのような検査レベルや施術レベルのターゲットを明確にすることは、施術効果を引き出す上で重要になります。
ハード面のEB調整法は、身体関連のEB(症状部位、関節、筋肉、経絡、肉体内外、チャクラ)に対する直接的な施術によってEBを解放させて、症状を改善させる調整法になり、ソフト面のEB調整法は、身体に学習記憶された五感や感情パターンに対する間接的な施術によって、身体関連のEBを解放させて、症状を改善させる調整法になります。
注釈として、「EBに対して直接か間接か」がポイントで「症状に対する直接か間接か」ではありません。
PCRTで使う臨床的な検査法には、以下の3つがあります。
① 症状の検査
② エネルギーブロック(EB)の検査
③ EBに対するパターン学習記憶の検査
EBを特定する検査法には「単一検査法」と「組合せ検査法」があります。単一検査法とは、特定の刺激情報に対して、神経反射検査法にて陽性反応を確認する検査法です。組合せ検査法とは、複数の刺激情報を一度に組み合わせて、神経反射検査法にて反応(陽性or陰性)を確認する検査法です。
このような概念的な説明は、直接的には臨床で役立たないかのように思われがちですが、全体の概念を把握することは、様々な患者さんに対応できる「応用力」につながります。一つ一つの施術ツールをマニュアル的にマスターすることも大切ですが、そのツールがどのようなつながりを持っているのかという全体像を把握することもとても重要です。
部分と全体との関係性を考えながら、さらに臨床にお役立て頂ければ幸いです。