2013年1月20日日曜日

イップスの改善例

4年前より卓球の試合でサーブの時にイップスの症状を感じるようになる。それからだんだんとフォワーやバックハンドなどもうまくいかなくなり悪循環になっていたとのこと。

来院時にはその症状がだんだんとひどくなってきているような気がしていたとのことで、試合のことを考えただけでドキドキして掌に汗をかくほどになっていた。試合では常に緊張し、頭がパニックになることもあったらしい。

イップスの治療をはじめて、消去法のように誤作動のパターンを消去し、試合でも徐々に本来の自分のパフォーマンスを取り戻してきている印象を受けた。

しかしながら、10回目の施術では少し後ずさりした。ランキングが決まる大事な試合が控えているとのことで、その試合のイメージをして検査をさせていただくと緊張パターンが示された。そして、試合全体に対するモチベーションも下がっていると、以前は訴えていなかったメンタル面の感情もでてきているとのことでもあった。

そこでコーチングのスキルを導入して、色々と質問させていただき、二ユーロパターンセラピーを施した。そして、11回目の施術では、「勝つか、負けるか」のところで再度、緊張パターンの反応が示されていたので、「勝った後に得られるものは何ですか?」と質問させていただいたところ、クライアントさんはしばらく考えられて、「自己実現」という答えが返ってきた。

これは経験的推測だが、そうなると、試合は自己実現のための「通過点」になるので、勝っても負けても自己実現のためになるということになる。施術後は試合の緊張パターンも消え、ご自分の気づきも腑に落ちた感じだった。

そして、次の来院時にご報告していただいた内容によると、その試合では決勝戦まで進んだとのこと。決勝戦では相手に負けはしたものの本来の自分、イップス症状の前の自分を取り戻せた感じがしたとのコメントといただいた。

ダブルスも含めて7試合も試合をしたとのことだったが、イップスの症状はなく、試合全般的な緊張が身体に残っていた。すがすがしい疲れが身体に残った感じかもしれない。

その患者さんに12回目の施術後のインタビューをさせていただいた。




2013年1月19日土曜日

表情筋の施術で顔が左右対称に

40代前半の女性が足のしびれと胸の痛みで来院。

足のしびれは3~4年ほど前より症状が出たり消えたりしていたとのこと。今回は5日前よりひどくなっているようでずーっとしびれている状態。しびれは時々の頻度で、だんだんとひどくなってきている感じがするらしい。

胸のいたみはでたり、でなかったりで、病院の検査では特に異常が見つからず安静を指導されたとのこと。

一回目の施術では、特にしびれ感の症状にフォーカスして施術を行い、2回目の施術でほぼ改善された様子だった。そして、患者さんの主訴には含まれていなかったが、左顔面の表情筋のエネルギーブロックの反応が示され、表情筋のバランス異常の施術も行った。

その後、胸のつかえ感などの施術を行った。

恐らく表情筋の症状に関しては、長年当たり前になっていた様子。写真を撮るときには右側の顔面が引きつっていたらしい。それがファミリーカイロでの治療後には左右対称になったとのことで喜んでいただいた。

表情筋の施術ができること自体あまり知られていないが、顔の表情筋のバランスは他の筋肉の調整と同様に大切である。顔の表情を創る顔面の筋肉もたくさん分かれており、それぞれの筋肉がバランスよく働いてくれることで豊かな表情を作っている。

ご自分で鏡を見て、顔の表情がどこかおかしいと感じる時は早めにバランス調整をすることをお勧めします。顔の表情が変化することでメンタル面にもいい変化が生じるかもしれません。

顔の表情やバランスが気になるときはお気軽にご相談してください。

2012年12月21日金曜日

PCRTアドバンス2研究会参加者各位

研究会へのご参加ありがとうございました。毎度のことではありますが、あまりにもボリュームが多すぎて消化不良になった先生方も多かったように感じます。来年度は今年の反省を含めてプログラムの大幅な改革が必要ではないかと考えています。

改革といっても基本的なことは変わりません。より学びやすいようにプログラムをシンプルにしていきたいと思います。ご参加いただいた方の多くは、臨床現場ですぐに使えるテクニックを望まれているようです。そのようなニーズにお答えするためにも、実技中心にすぐに使えるテクニックをしっかりと習得していただけるプログラムになるように工夫したいと思います。

しかしながら、治療効果を出すためには安定した検査法が必要です。検査法を安定させるためには、単にテクニックだけでは習得できないようです。これは今回気づいたことですが、安定した検査法を習得するためには、小手先のテクニックよりも、何の「反応」を見ているのかをしっかりと理解していることが大切です。

PCRTで診ている「反応」は何ですか?という質問に的確に答えられる先生は、恐らく安定した検査反応がでているのではないでしょうか。このPCRTで診ている検査「反応」に対する理解は、単に文言を理解するというのではなく、その理解が心から腑に落ちて確信できているというレベルの理解を意味します。

「PCRTで説明していることは分かるが、自分の考え方は違う・・・」では、恐らく何の反応を診ているのかが理解できずに、単に技術的な診方をマニュアル通りにしているだけになるでしょう。したがって、脳は「反応」をキャッチできずに機械的に足の長さが短いか長いか、あるいは、力が強いか、弱いかなどを見ていることになり、曖昧な変化しか読み取れないのではないでしょうか?

よって、PCRTの神経反射検査法で明確な「反応」が引き出せるようになるためには、「反応」とは何か、そして、それがどのようなメカニズムで反応として現れているのかが説明できるくらいに理解していることが必要です。そして、その理解の深さが、検査反応の現れ方に密接にかかわっているように感じております。

それは機械論的診方と有機論的診方の違いを深く理解しているかどうかにもつながるでしょうし、傾向として、その理解度の深さが検査反応の明確さにもつながるのではないかと感じております。すなわち、検査反応が明確に分かるようになるためには、PCRTで診ている「反応」とは何かを治療哲学的にしっかりと理解されることが近道になるのではないかと思います。

効果のあるマニュアル的な技術を学ぶことも大切ですが、より深く、より幅広く臨床で応用するためには、やはり、哲学的なことや概念的なことをしっかりと理解されることでより一層治療技術に磨きがかかるのではないでしょうか?

さて、先日のAdvance2研究会でお約束したテキスト訂正の件ですが、混乱を招いた原因は用語修正ですので、その用語の説明を明確にさせていただき、全体の修正箇所がご理解いただけるようにご説明させていただきます。

そのために、小テストで提出していただいた、「単一検査法」と「組合せ検査法」の違いと、「ハード面の調整法(直接的調整法)」と「ソフト面の調整法(間接的調整法)」の違いをご説明させていただきます。

まず、その説明の前に、PCRTでは何をターゲットに検査をして施術をしているでしょうか?それは、エネルギーブロック(EB)です。EBを解放させることで症状が改善されます。言い換えると様々な症状は、治癒力を妨げるEBによって引き起こされているということが言えますし、EBが解放されれば、症状は自然に治るという原理に基づいています。

EBの原因の多くは、五感パターンや感情パターンの学習記憶に関連しています。脳や身体に条件づけされた学習記憶の程度によって、学習記憶が浅い場合は、ハード面の施術のみでEBが解放され症状が改善される場合もあり、学習記憶が深い場合は、ソフト面の施術が必要になります。


よって、ハード面からソフト面までのEBにはそれぞれの構造、機能、関係性(心身相関)、メンタルというレベルがあり、そのレベルは学習記憶の程度、深さに関連があるようです。先にも述べたように、有機的な検査を行う際、ハード面の機能的EB検査なのか、ハード面とソフト面との関係性のEB検査なのか、あるいはソフト面のメンタル的EB検査なのかというターゲットを明確にすることは、正確な神経反射反応を引き出すことにつながります。そのような検査レベルや施術レベルのターゲットを明確にすることは、施術効果を引き出す上で重要になります。

ハード面のEB調整法は、身体関連のEB(症状部位、関節、筋肉、経絡、肉体内外、チャクラ)に対する直接的な施術によってEBを解放させて、症状を改善させる調整法になり、ソフト面のEB調整法は、身体に学習記憶された五感や感情パターンに対する間接的な施術によって、身体関連のEBを解放させて、症状を改善させる調整法になります。

注釈として、「EBに対して直接か間接か」がポイントで「症状に対する直接か間接か」ではありません。

PCRTで使う臨床的な検査法には、以下の3つがあります。

① 症状の検査
② エネルギーブロック(EB)の検査
③ EBに対するパターン学習記憶の検査

EBを特定する検査法には「単一検査法」と「組合せ検査法」があります。単一検査法とは、特定の刺激情報に対して、神経反射検査法にて陽性反応を確認する検査法です。組合せ検査法とは、複数の刺激情報を一度に組み合わせて、神経反射検査法にて反応(陽性or陰性)を確認する検査法です。

このような概念的な説明は、直接的には臨床で役立たないかのように思われがちですが、全体の概念を把握することは、様々な患者さんに対応できる「応用力」につながります。一つ一つの施術ツールをマニュアル的にマスターすることも大切ですが、そのツールがどのようなつながりを持っているのかという全体像を把握することもとても重要です。

部分と全体との関係性を考えながら、さらに臨床にお役立て頂ければ幸いです。

2012年12月6日木曜日

2012年度PCRT Advance2 研究会へのご案内

こんにちは、心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)代表の保井です。

先日、日経新聞を読んでいて、「SINIC理論」という文字が目に留まりました、それはオムロンの創業者・立石一真が1970年の国際未来学会で発表した未来予測理論です。未来学者アルビントフラーの未来予測と類似していると思われますが、その理論によれば、14世紀までの社会を「農業社会」と位置づけ、その基盤の上に「工業社会」を積み重ね、この工業社会をさらに細分化すると、手工業社会、工業化社会、1870年以降の機械化社会、さらに20世紀に入っての自動化社会、20世紀末から21世紀の入り口までの情報化社会に至っているとのことです。

特に20世紀は、機械化社会、自動化社会、情報化社会と、3つのプロセスが急速に移行する100年でした。そして、工業社会の最終段階である情報化社会の後には、2005年からの「最適化社会」、そのあと2025年からの「自律社会」へ移行すると予測されています。現在は「最適化社会」で、13年後からは「自律社会」が始まると予測されます。そして、情報化社会から最適化社会へ移行する際に、生体制御技術が発展し、バイオネティックスからサイコネティックスへ、さらに最適化社会から自律社会へ移行する際に、精神生体技術が発展し、サイコネティックスからメタサイコネティックスへ科学が発展すると予測されています。

この理論はあくまでも予測ではありますが、このような未来予測の理論に触れると、本研究会も未来を先取りして研究が進んでいるように感じる今日この頃です。さて、今年最後のPCRT Advance2研究会まであと10日ほどに迫りました。今回は、以前からご紹介させていただいている持続圧振動法と持続振動調整法を総合的にまとめて「持続刺激調整法」の総論としてご紹介させていただきます。この持続刺激調整法は今までの研究成果の点と点がつながって、ある程度体系化された感じです。また、前回ご紹介したセルフイメージの検査、施術法を客観的イメージ調整法として、復習も兼ねて分かりやすくご紹介します。

それ以外には、進化したPCRTの患者教育手法、肉体内外(チャクラ含む)EB特定法、脳神経刺激調整法、そして、めまい、耳鳴り、難聴、アレルギー症状、婦人科領域、腹部・内臓領域、乳幼児・小児、動物、不眠症、気分障害などの各論をご紹介する予定です。現在、ご協力いただいているスタッフの先生方とスカイプにて毎週30分程度の研修を行っています。この研修を通じて、研究会では何が伝わりにくいのか、どのように説明すればもっと理解しやすいのかという気づきをたくさん得ることができました。

今回の研修を通じて、想像以上に「提供する側」と「受け取る側」とのギャップが多々あることに気づかせていただきました。それはおそらく治療技術はもとより、患者さんへの治療法の理解にもつながる重要なことなので、説明した内容が本当に伝わっているのかどうかをしっかりと確認しなくてはならないと改めて感じました。特に「持続刺激調整法」の総論では、今までのハード面の施術を総合した内容になりますので、今年配布されたBasic1からAdvance1までのテキストをすべてご持参下さい。用語の変更なども多々ありますので、過去のテキストと照らし合わせながら分かりやすくご説明させていただきます。

それでは、会場で皆様と再会できることを楽しみにしております。

2012年11月29日木曜日

健康への道を制限する「信念」の壁を取り去る

通常の医学モデルでは腰痛や膝痛の患者さんに対して、安静指示やコルセットによる固定などで動きを制限することで痛みを軽減させるアプローチがとられます。さらには、「○○の姿勢は腰痛を引き起こすからよくない」「○○の動作は腰痛を引き起こすからよくない」など自由に身体を動かすことを制限させる指導が様々な角度から伝えられます。

痛みを抱える患者さんはその指導を忠実に守り、何の疑いもなくその姿勢や動きが痛みの原因と思い込み身体を制限させる行動をとるようになります。するとその制限したことによる不自然な姿勢や動作が原因となって、筋肉のバランスに悪影響を及ぼすこともあり、二次的な症状に悩まされることがあります。身体を制限させる指導は、身体の動きや不自然なバランスを引き起こす不健康な「暗示」になっているかもしれません。

情報化社会といわれる今日では、様々な情報が錯綜しています。特に身体の症状に不安を感じている時には、藁をもつかむ思いで、いわゆる権威者による情報を信じてしまい、自分の身体の感覚を信じられなくなっている場合も少なくはないようです。

もしも、自分の身体を制限させ、不健康にさせるような信念体系ができている場合、その「信念」の書き換えが必要になります。そのためには、その「信念」がプログラム化されるに至った情報がどこから入ってきているのかを探索しなければなりません。その探索を効果的に引き出してくれるのがコーチングによる質問です。

踵の痛みが慢性的に継続している患者さんがいました。通院していただきながら、だんだんと改善してはいるものの、足関節の異常バランスが元に戻るということが見えてきました。教師をされているので立位姿勢が多いのですが、デスクワークの際の足の位置を尋ねてみると、不自然な位置にあることが分かりました。それは、膝関節部が股間関節部よりも下位に来るようにして、つま先が後ろに向いて足の裏は上に向けるようにしているとのことでした。

通常では、足の裏が床に就くことが自然ではありますが、足の裏が床についていない不自然な状態とのこと。「そのような姿勢をとるようになったきっかけは何ですか」と尋ねると、「膝関節が股関節よりも上に来る位置に腰かけると腰によくない」とある先生に指導されたとのこと。もう一つの理由は、腰痛を予防するために、バランスが取れる椅子を使用していたとのことでした。

その人にとって何が自然で何が不自然なのかその人の身体のみ知ることでしょう。大自然が常に変化するように、身体の姿勢がその環境や感情に応じて常に変化するのが自然体を維持するということなのかもしれません。自然な健康体を維持するためには、様々な健康情報から引っ張り出した知識よりも、その人にしかないオーダーメイドの健康管理が大切です。

 そのために治療者や患者さんは、単に健康情報を鵜呑みにするのではなく、本当にその情報が自分に合っているのかどうかということを吟味して、不健康な信念体系ができないように注意することが必要です。もしも、不健康にさせている信念体系ができている場合は、コーチングによって複雑に絡み合った信念の糸をほぐすように整理して、自分に合った健康管理の道やゴールを見つけ出すことが効果的でしょう。

2012年11月28日水曜日

コーチングスキルが臨床現場で活かされる


先日、不眠症で悩む患者さんが二日連続で通院され、約5年ぶりにまともな睡眠を取ることができたとのご報告をいただいた。その患者さんは、睡眠時間が毎日平均して2~3時間で、頭痛や気分の落ち込みが時々あるとのことで来院。休職中で早く復帰したいとのこと。大学の附属病院の心療内科や他の精神科も受診。

約6年前にうつ病と診断されて投薬治療を始めたが効果がないとのこと。最近受診した医師の診断では、「うつ病」ではなく「気持ちの持ちようだ」といわれ、漢方薬を処方されたが効果がなかったらしい。

最初はご本人よりも奥様の方が何とかしたいという印象を受けた。お住まいが遠方なので継続して治療を続けることが難しい状況。初めに2日間連続で来院された後、3か月後に再度2日間連続で来院していただき、今回の来院で改善への突破口が開かれたように感じた。

「不眠」の症状を改善させるために、単に身体的な機能を回復させるだけでなく、不眠に至った原因やプロセスを把握し、不眠という症状を創りだすプログラムの再構築が必要になる。不眠を引き起こすプログラムは患者さんによって様々である。「そのプラグラムはどこからどのようにして構築されたのか」その探索への道のりを患者さんと共に歩きながら改善へのカギを見つけ出すことがポイントになる。

そこで大切なのは、患者さん自身が主体的にその探索に関わるということ。そして、治療者が評価や判断をするのではなく、患者さん自身の経験に基づいた「気づき」を得るということ。その探索への道のりで治療者に求められるのは、患者さんへの「質問力」である。どのような質問を投げかけるかによって、今まで考えたことのない思考へのスイッチが入る。すると今まで考えてもいなかった領域に「スポットライト」が当てられる。

この新たな領域にスポットライトを当てることが、「負のサイクル」から抜け出す改善への第一歩を踏み出すきっかけとなることが多い。脳への大きな刺激となる「質問」は、患者さんとの関係性の中で瞬間、瞬間に創り出される。マニュアル的に用意された質問を投げかけるのではなく、それぞれの患者さんの経験に応じて、その場その場で直感的に質問を投げかけることが必要になる。その「質問力」や「直観力」を身に着けるためには、知識だけでなく「トレーニング」が必要である。

コーチングのトレーニングにおいては様々な経験を積みかさねて自分の血肉にしていくことが必要である。コーチングに関わる知識情報を知ることも大切だが、実践的なコーチングでは単に知識を持っているだけでは活かしきれない。人のメンタルや行動に関わる問題は、つかみどころがなく、答えは常に患者さん自身の中にある。

患者さんとの「より良い関係」を優先するが故に、患者さんと同じ思考ラインに入って、患者さんが考えているパターン領域しか見えない、見ようとしないということもあるだろう。患者さんを刺激しないように不快な感情を与えないように細心の注意を払うかもしれない。しかし、患者さんが求めている症状を改善させるためには、時には鋭い質問を投げかけることも必要になる。患者さんとの信頼関係にひびが入るかも知れないということも踏まえてのチャレンジ的な質問も必要になるだろう。

コーチングでは常にクライアントの「主体性」を引き出すことが基本となる。誰かにさせられている、誰かに責任を転嫁するというパターンでは、本質的な問題が解決されないことが多い。治療者は患者さんの肉体的、メンタル的な問題を解決するお手伝いをするうえで、時には指導や助言を行いながらより健康になれるようにサポートをしていく。その過程の中で、患者さんの「主体性」を引き出すことはとても重要な課題になるだろう。

本当に役立つコーチングを身に着けるためには知識だけでは限界がある。実践的なコーチングのトレーニング受講することで、コーチングの本質を肌で感じ、実戦で何度もチャレンジと失敗を繰り返し、さらに受講者間で信頼関係に基づいた深いフィードバックをし合いながらコーチとしての基礎を築き上げていく。

通常、コーチングの効果を測るためには、コーチングの前と後の数値的な比較が必要になる。その結果を見て初めてコーチングの成果が分かることが多い。しかし、施術の中で取り入れているコーチングの場合、いつコーチングをされ、どのようなコーチングをされたのか分かりにくいことが多い。特に複雑な症例の施術効果の背後には随所にコーチング手法が何気なく使われて自然に施術効果が引き出されていることが多い。

コーチングの学びの中で、「質問力」に加えて奥深さを感じさせるのは「フィードバック」である。コーチングのトレーニングを受けると、見方のバリエーションが幅広くなるため、自分自身の振り返りと同時に幅広い視点から物事をとらえ、様々な角度に「スポットライト」を当てる技能が身に付きやすくなる。コーチングは治療効果を最大限に引き出す「縁の下の力持ち」になってくれるだろう。

2012年11月16日金曜日

なぜ、集中継続治療が大切なのか?

治療院を訪れる患者さんにとって「すぐに治るのですか」ということは大きな関心ごとです。多くの治療者はできるだけ早く患者さんの苦痛を和らげるため最大限の努力をするでしょう。骨折や切り傷などの外傷は、その程度や年齢に応じて、患部の組織が修復する期間がある程度予測できます。それは、自然治癒力という治す力が備えられているからです。

組織が損傷したことによる症状であれば、擦り傷が日を追うごとに治ってくるように、自然治癒力によって修復され、それに伴って症状も改善されます。これは「損傷モデル」ともいわれています。医学の基本はこの「損傷モデル」から始まっていることから「メディカルモデル」ともいわれています。この「損傷モデル」は外傷をはじめとする様々な病気の治療に多大な貢献をしてきました。

しかし、情報化社会が進化するにしたがって、病気や症状の種類も多様化し複雑化してきました。そして、単に「損傷モデル」だけでは対応しきれない病気や症状が増えてきているのが現状です。「いつ治るのか」ということがはっきり言えないのが慢性症状です。最近の研究ではそのような慢性症状は、「生物・心理・社会的モデル」といわれています。これは、主に組織損傷を原因とする「損傷モデル」に対して、神経生理学的関係性や心理社会的関係性を原因としています。

したがって、「生物・心理・社会的モデル」は幾種類もの原因パターンが複雑に関係しており、症状の改善はその原因パターンの修復次第ということになります。その原因パターンとは身体、特に脳・神経系に学習記憶されており、様々な場面でスイッチが入り、症状が引き出されます。脳・神経系に学習記憶されているパターンは、目には見えない症状を引き起こすプログラムのようなものです。そのプログラムを修正するために学習記憶の上書きが必要になります。

慢性症状がいつ改善されるかどうかは、症状を引き起こしている学習記憶のパターンの種類や数によって異なり、「損傷モデル」のように症状別にいつ治るかを予測することは困難です。学習記憶という意味を分かりやすくいうと、症状を引き起こす身体の「クセ」です。知らない間に蓄積された症状を引き起こす「隠れた習慣」のようなものです。したがって、その「クセ」を治すためには、バランスの良い状態を身体に再学習させることが必要で、バランスの良い状態にクセづけるように繰り返し治療をすることが必要です。

集中して継続治療することで、どの原因パターンが改善されて、どの原因パターンがぶり返しているのかが明確になりやすくなり、治癒力も強化しやすくなります。勉強の記憶学習や身体で覚えるスポーツのように、最初に集中して治療することで、身体はどのようにして治していくのかを学習記憶していくわけです。治療の間隔が開き過ぎると、記憶が定着せずに振り出しに戻りやすくなります。

慢性症状の状態が長く、症状につながる学習記憶のパターンの数が多ければ多いほど治療回数もその数だけ必要になります。慢性症状を治すための集中継続治療は、治癒力を強化するための必要条件です。慢性症状をかかえている患者さんの多くは、その症状が当たり前のようになって、この症状は治らないと思い込んでいる方が多いようですが、基本的に人の身体は治るようになっています。慢性症状を治すポイントは、いかにして症状につながっている学習記憶されたパターンを消去できるかどうかです。

「継続して治療すると症状が戻りにくくなるということがよくわかった」という体験をされた患者さんへのインタビューです。