2016年10月21日金曜日

お陰様でANJが15周年を迎えることができました。

早いもので、振り返ると早くも15年の歳月が経過していました。米国で多くのDC達が使用しているアクティベータ・メソッドを日本でも質の高いレベルで広めていきたいという思いから、AMI社との提携で本格的に米国と同等のプログラムをスタートしたのは20016月でした。当初、RMIT大学日本校にて、AMI社公認の卒後教育プログラムとしてスタートしました。

そのAMI社公認セミナーが始まる5年ほど前の1996年に、アクティベータ・ベイシック・マニュアルの日本語版(保井志之DC訳)が科学新聞社より出版されており、それを機に数年間、アクティベータセミナーを国内で開催しておりました。当時、国際基準でのカイロプラクティック法制化の機運が高まっていまっておりました。その影響も受けて日本国内のAMセミナーを一時中断して、2001年から国際基準に限定して、AMI社公認の国際基準セミナーを開催したという経緯がありました。そのような経緯も含めると私自身のAMセミナー活動は20年になります。


私が最初に米国AMI社のインストラクターセミナーに最初に招待されたのは19977月でした。当時、AMI社は35周年を迎え、AMCTのテキストの初版が出版された年でもありました。そこから、日本語版の翻訳計画を立て、複数のDCの先生方のご協力をいただき、2000年に国内で日本語版が出版されました。


2004年には、日本国内で正規にAMのプログラムが始まって以来、日本で初めてDr. Fuhrの来日セミナーが開催されました。また、全アジア空手道選手権大会、静岡県や埼玉県で開催された国民体育大会、夢の島マラソンなどのボランティア活動、ハワイセミナーの参加、ANJ主催のAMシンポジウムの開催などAMを通じて様々な活動をANJスタッフはじめ、AMセミナーを受講されている先生方と共に活動してまいりました。


2006年、日本におけるAMセミナーは、大きな転換期を迎えました。受講資格を国際基準だけでなく、国内の医療有資格者などに拡大し、AM国内認定制度をスタートしました。当時のANJに関わっていただいたスタッフと議論を重ねた結果の判断でしたが、患者の利益を最優先させるという方向性は、優秀なAMプラクティショナー(治療者)を生み出す結果となっています。


2008年度からは、大阪でのセミナーもスタートして、湯布院でのセミナー、第2回目となるハワイセミナー、2011年には福岡でのセミナーも開催され、AMテキスト第二版がANJスタッフの協力で出版されました。 2013年には、アクティベータ5が販売され、Dr. FuhrDr. RobertDr. DeVetaが来日され盛大に国際セミナーが開催されました。

15年を振り返りますと、だんだんとセミナーの質も高まり、それに伴って受講されている先生方のレベルも高くなっていることを肌で感じています。それは、ANJに協力していただいているインスタラクターのレベルアップにも関係しますし、67回にも及ぶセミナー活動の経験を生かして、セミナーの質を改善し続けた結果でもあります。このようなセミナーの質の向上に伴って、それぞれの先生方の施術を受けている多くの患者さんにもその恩恵がもたらされていると確信しています。私たちはこのような成果に甘んじることなく、多くの協力者に感謝しながら、さらに高みを目指してANJスタッフと共に精進してまいりたいと考えています。





明治の文豪、幸田露伴が自著『努力論』で主張したもので、望ましい未来作るには、「惜福」「分福」「植福」が必要だと説かれています。

私たち治療者に照らし合わせると、以下のようになるのかもしれません。

  • 惜福:目の前の患者さんと共に「喜び」を作り、思い上がらず、さらなる向上のために自分に投資する。
  • 分福:治療者同士でその福を分かち合い、切磋拓磨しながら、「喜び」の福を分け合う。
  • 植福:「喜び」の福が後世に永続できるように「種」を蒔き続ける。


古くから伝わる言葉で、

  • どんな事でも10年続けることは偉大なり。
  • 20年続けば恐るべし。
  • 30年にして歴史になる。


と言われています。


来年は、AMI社50周年を迎えます。常に時代の流れに合わせながら、業界の先頭を走り続けているDr. Fuhrをお手本にしながら、今後もANJは継続を力に変えて、次のステージへと邁進してまいります。

2016年10月6日木曜日

痛みで椅子に座れない!

痛みで椅子に座れない!

経緯:

50代女性、3年ほど前に腰椎椎間板ヘルニアを発症して以来、ほとんど寝たきり状態で3年間、良くなったり悪くなったりの状態を繰り返している。痛みは座るたびに発生し、仕事を辞めざるをえなくなった。外食などで外で座ることができない状態。
最初は整形外科を受診し、レントゲン、MRICTなどの検査を受ける。病院での診断は腰椎椎間板ヘルニア。ブロック注射、投薬、漢方などの治療を受ける。その後、整骨院や整体での施術を受けるが改善は見られなかったとこのこと。
娘さんの結婚式が数ヶ月後に控えているので、それまでにぜひ治したいとのことで遠方からの来院であった来院。

初回検査:

神経学的エラー(誤作動)や生体エネルギーブロックを判断する生体反応検査法では、腰椎関節の前後、回旋運動に陽性反応、両股関節の回旋運動に陽性反応。腰臀部周辺の筋膜に陽性反応。子宮の臓器反応点、頭部の臓器反応点に陽性反応を示す。

初回施術:

アクティベータメソッド(AM)にて、ベイシックスキャンプロトコールの陽性反応部位を調整。PCRTにて、幾つかの「信念」に関するキーワードが示されたので、それを認知してもらいながら調整を施す。
初回の施術を終えた時点で、今後の治療計画を提案する。遠方であるため自宅からの通院は不可能なので、当院近くのホテルに宿泊し、一週間集中治療を計画。ご本人自身もおそらくメンタル面も関係しているだろうとのことで、通常の施術を二枠予約していただき、施術とコーチングを織り交ぜて進めていくことにした。

2回目から7回目までの施術:

AMの施術後、心身条件反射療法(PCRT)の施術を併用し、コーチング手法も取り入れながら、誤作動記憶のパターンを調整していった。過去の複雑な人間関係などが施術によって引き出された。チャートを使った言語神経反射検査法で示されるキーワードを参考に質問させていただくことで、奥に隠れていた誤作動記憶が紐解かれていった様子。ご本人自身も陽性反応が示された誤作動記憶の内容が腑に落ちることが多く、誤作動記憶が消去法のように消されていった。施術を重ねるごとに表情も明るくなり、ご自身の治る可能性を信じられてきている様子が伺えた。

1ヶ月後、8回目と9回目の施術:

ある程度座ることはできるが、長時間座ると痛みが生じるとのこと、左股関節や左の踵部分に痛みを訴える。ご自身の潜在感情や信念に対する認識も深まり、自分自身に向き合われている様子が伺えた。長年症状を抱えていたために、現在も、未来も症状があること自体が当たり前のようになっているというエピソード記憶や経験による意味記憶も陽性反応として示されていたので、書き換え可能な意味づけを探して、上書きさせる施術を行った。

考察:

このような慢性症状を改善するためにはいくつかの条件がある。まずは、意識的にも無意識的にも心から治したいという心が一致しているか?わざわざ遠方から来院されるので、治したいのが当然でしょ!と、考えるのが普通だろう。しかし、人間の脳はそれほど単純ではない。頭では強く治したいと思っていても、心の奥では治ること自体が信じられない人や治らないことが正当な理由になっていたり、精神的な利得になっていたりしている人もいる。

次に身体的な問題が、無意識の心にも関係しているということが、心から理解できるということ。最後に自分の心に向き合おうとする覚悟があるかどうか。もしも、無意識の心が症状に関係しているということが分かった場合、自分自身の心に向き合う必要がある。本症例が段階的に改善していった理由の背景には、患者さん自身が自分と向き合う力、すなわち「自己認識力」が施術を通じて徐々に高まっていった要因が伺える。本症例での改善への一つの要因は、数ヶ月後に控えていた娘さんの結婚式に出席したいという「ゴール」があったことだろう。

今回のような腰痛症状に限らず、何年も症状を抱えて辛い思いをされている患者さんは、病気を克服すること自体が「人生の生きがい」かのようになり、病気が治った後の空白の状態をどのように埋めていくのかが見えずに、闘病生活という人生の生きがいに逆戻りしてしまう人も少なくはないようだ。

一般的には、このような本質的な因果関係まで語られることはないだろうが、人間には本来、自然に治る力が平等に与えられているという前提にたてば、それを制限する複雑な無意識の心との関係性は無視できないだろう。

患者さんからは結婚式の後、以下の感想とお礼のメールをいただいた。初めての治療体験で、最初は戸惑いもあったかと思われるが、最終的には当院での治療の意図をしっかりと理解していただいたことで、ご自身に向き合う力が引き出され、良い結果につながったのだろう。

術後の患者様からのメール :

 3年前に腰椎ヘルニアを発症し、以後何度も再発を繰り返すうちに、ヘルニアは完治しても痛みだけが残る慢性疼痛へと変わっていきました。四六時中、身体にガラスが刺さっている感じで5分と座ることもできませんでした。あらゆるドクターショッピングを繰り返し、ネットで先生のところにたどり着きました。

2カ月後に控えた娘の結婚式に出席したい一心で先生を訪ねました。先生はどんな感情が痛みにつながっているか身体を検査しながら、私の潜在意識をあぶり出して下さいました。私は幸せになってはいけない、自分への怒りなど、普通では決して気づかない感情に向き合うことになりました。治療後の身体はもう何年も味わったことのない軽やかそのものでした。

遠方でしたので1週間滞在し、帰るころには短時間ですがカフェでコーヒーを飲めるまでになりました。翌月も滞在して治療し、自宅ではいつも自分の感情に向き合う癖をつけるようにしました。おかげさまで見事、娘の結婚式に出席できたうえに、途中横になることなく最後まで見届けることができました!大変嬉しかったです。


以来、自分というものを常に意識しながらできるだけ感情と行動を近づけていく努力をしています。先生やスタッフの方には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。』

2016年10月4日火曜日

「無意識の習慣」を整理して、断捨離してみましょう!

心臓病、脳卒中、がん、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、肥満などの病気は、20年ほど前は「年のせいだから」といわれていましたが、普段の食事や運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣によって引き起こされる「生活習慣病」によるものであるとして、厚生労働省でも国民に呼びかけています。

「生活習慣病」とは数ヶ月前、あるいは数年前の「思考習慣」や「行動習慣」により創られます。つまり、慢性病や不健康な症状は、数年前からの思考や行動の「習慣」から生じているという意味です。無意識的な自分の思考や行動習慣が、知らず知らずのうちに、病気を引き起こす原因になっているということです。

「習慣」とは、無意識に繰り返される行動のことですが、健康的な習慣を身につけている人もいれば、不健康な習慣を身につけている人もいます。特に表面的にわかりやすいのが「食習慣」や「運動習慣」です。栄養バランスが偏り過ぎたり、運動不足になったりすると内臓疾患や肥満、関節痛などにも影響を及ぼすことが知られています。しかし、その奥に隠れているのは「心の習慣」です。もっと、厳密に言うと、本人も意識できない「無意識的な心の習慣」です。

「無意識的な心の習慣」に関係する名言があります。

ウィリアム・ジェームズの言葉といわれている名言
心が変われば、行動が変わる
行動が変われば、習慣が変わる
習慣が変われば、人格が変わる
人格が変われば、運命も変わる

マザー・テレサの言葉と言われている名言
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから

今、
もしも、何か不健康に感じるのなら
もしも、何かに対して満足できていないのなら、
もしも、何か人間関係がうまくいかないと感じるのなら、
もしも、何か未来の自分に希望が持てないのなら
もしも、何か運が悪いなと感じるのなら、

何を変えるべきでしょうか?

周りの人を変えるべきですか?周りの環境を変えるべきですか?

それは、名言にもあるように、自分自身の「心の習慣」であり、「行動の習慣」ではないでしょうか。

「習慣」というのは、ほとんど「無意識」なので、まずは、意識的に自分の習慣を客観視する必要があります。客観的に自分の習慣を振り返り、健康的な習慣は残して不健康な習慣は変えていきましょう。

「ローマは一日にして成らず」とうことわざのように、長年の習慣が一夜にして変わることはありません。習慣を変えるには最低でも3ヶ月間の継続が必要だと言われています。まずは変えたい心の習慣や行動の習慣を意識的に繰り返すことで、脳の神経回路が構築され、意識的な習慣から無意識的な習慣へと脳が学習されていきます。

もしも、何か不足を感じたり、後ろ向きなことばかりが心に浮かんだりする思考習慣になっているのなら、少しでも感謝できる習慣や前向きな心の習慣を身につけるといいかもしれません。もしも、いつも人からの配慮ややさしさを「受ける思考習慣」になっているのなら、逆に人に「与える思考習慣」を少しずつ身につけるといいかもしれません。


まずは、客観的に自分の「習慣」を整理し、断捨離してみましょう!

2016年9月27日火曜日

連載11 「制限する信念」に気づくためのスキル

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載11 「制限する信念」に気づくためのスキル

「制限する信念」とはどのようなものなのか?分かりやすい事例を踏まえて説明させていただきます。「制限する信念」とは、言い換えるとき「機能不全の考え方」でもあります。その考え方(信念)を持つことで、精神的にも肉体的にも不都合な結果を招くことになるので、機能不全の考え方を機能的な考え方、すなわち「非合理的な考え方」を「合理的な考え方」に変えてみませんか?と提案する「論理療法」です。

この論理療法とは、アルバート・エリスという臨床心理学者が提唱した心理療法です。認知行動療法やコーチング、カウンセリングでも応用されています。これは「制限する信念」をわかりやすく分析して、それを書き換える理論としては、とても効果的な手法になります。

理論療法はABC理論やABCDE理論とも言われており、それぞれの英語の頭文字に合わせて、理論的に心の現状を認識して、基本的にはある出来事が直接的に人の感情や行動を引き起こすのではなく、その人の感じ方や受け止め方、すなわち「信念」が結果として感情や行動に影響をもたらすという大前提があります。コーチやカウンセラーはその非合理的な考え方や受け止め方を軌道修正できるようにサポートして、より良い結果へと導けるようにアプローチしていくわけです。

AActivating event):刺激となる出来事 
BBelief):制限する信念(考え方や受け止め方) 
CConsequence):出来事に直面したときの結果(感情や行動) 
DDispute):自分の中にある非合理的思考への反論 
EEffects):反論することでもたらされるよりよい結果

例えば、出張で新幹線や飛行機に長時間乗っていると腰が痛くなるというクライアントさんがいます。クライアントさんによる思い当たる腰痛の原因は、新幹線や飛行機に長時間座っていることのようです。長時間座っていると腰に良くないということは一般論でもありご自身もそれを信じている様子です。

事情をもう少し詳しく聞いいてみると、10ヶ月ほどまえから職場が変わったとのことです。以前の職場でもデスクワークが多く、新幹線や飛行機での出張があったということです。クライアントさんも話しながら、何が違うのかを考えてた様子で、以前の出張ではもっとゆったりした座席で新幹線や飛行機を利用していたらしく、職場が変わって以来、経費削減で狭い座先に変わって出張が億劫になったと言われていました。

客観的に評価すると、転職による身体的な疲労は以前とさほど変わりが無いようですが、心理的には大きな変化が見られるようです。端的に言うと、出張に関する会社の待遇に不満がある様子です。身体的な異常を原因とする腰痛というよりも、むしろ心身相関的な心理面が関係した腰痛の可能性があります。

ABCDE理論に当てはめると以下のようになります。

A(刺激となる出来事)=出張で新幹線や飛行機に長時間座ること
B(制限する信念)=以前とは異なる窮屈な座席に長時間座っていると腰に良く無い


C(出来事に直面した結果)=腰痛と不満

ここで、コーチは、刺激となる出来事になっている「出張で新幹線や飛行機に長時間座ること」は、会社の事情で変えられないということを認識した上で、「制限する信念」=「非合理的な考え方」を「合理的な考え方」に変えてみませんか?と提案することができます。

もしも、クライアントがABC理論に基づいた心の現状を客観的に納得されると、制限する信念を認識した上で、自分にとって合理的な考え方を探します。もしも、「窮屈な座席でも腰痛にならない人がたくさんいるので、その状況に柔軟に対応できる自分を信じる」ということが、心から信じられるようになると、おそらく腰痛と不満は軽減するでしょう。

D(非合理的思考への反論)=「窮屈な座席でも腰痛にならない人がたくさんいるので、その状況に柔軟に対応できる自分を信じる」
E(よりよい結果)=腰痛と不満が軽減


とてもシンプルな理論ですが、「制限する信念」による不合理な結果を変容させるには本質的な理論です。

2016年9月26日月曜日

連載10 無意識的に「制限する信念」と「行動」に向き合うコーチング

無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載10 無意識的に「制限する信念」と「行動」に向き合うコーチング

人は誰でも「信念」を持って生きています。「信念」を大きく分けると、自分の行動を「促進させる信念」と「制限させる信念」があります。「一念岩をも通す」ということわざがあるように、信念は強いエネルギーを持ち、肯定的にも否定的にも働きます。「信念」は本人が意識している時もありますが、多くの信念は無意識的で、その信念はその人の「行動」につながっています。逆にいうと、その人の「行動」を観察していると、その人が持っている「信念」が分かることがあります。

例えば、会社でも自営業でも自分は成功している経営者だという信念があると、その経営者はそれに伴った行動を取ります。会社が発展するようなアイディアがどんどん湧き出て、すぐに行動を起こします。たとえ、悪い影響が明らかになったとしても、今までの行動を振り返り、その行動を止める決断をします。

このように成功に導く行動を繰り返し「結果」を出し、周りからも成功者としての評価を得ることで、やっぱり自分はできると、「信念」は確信に変わっていきます。信念を強化して「確信」へと進化させるカギは、「行動」です。頭の中で信念を変えても、実際の「行動」を起こさなければ脳の神経回路は構築されず、習慣化されないため何の意味もなさないことになります。「行動」なき信念は、机上の空論でしかないのです。

信念に伴った行動を取ることで、「結果」がでると、その信念が強化され、さらに「行動」が強化され「結果」がでて「成功のパターン」ができる訳です。成功者はさらに成功することになり、成功者としての人脈や可能性が広がり、自分の「行動」にも確信が持てるようになります。

実際のコーチングでは、クライアントやコーチの期待に反して「結果」が出ないことがあります。分かりやすい原因の一つは、クライアントの「行動」が伴わないことです。「行動」が伴わなければ、当然「結果」も出ないわけですが、コーチはクライアントの「行動」が伴っていないことが分かると、アドバイスを極力避けながらも、そのことをクライアントにフィードバックします。

もしも、クライアントがコーチのフィードバックに対して、素直に受け入れて「行動」すれば、再度、立て直すことができますが、様々な言い訳をして行動が伴わない場合は、理想の結果は期待できません。

行動するための目標のハードルが高すぎるのであれば、行動が伴うレベルに下げる必要があります。もしも、目標のハードルを下げても行動に移せない人は、ゴールに対する無意識的な「制限する信念」が背後にあることが多々有ります。ブレーキをかけたままで、自転車のペダルをこいでいるようなものです。

例えば、ライフコーチングで、よく遭遇するのは「結婚をしたい」、「子供を産みたい」というゴールがある場合、相手がいることなので、様々な制約もありますが、無意識的に結婚したり、出産したりすると、自分自身の「自由がなくなる」という制限する信念が背後にあるケースです。この場合、コーチは、クライアントが抱えている無意識的な制限する信念に対してサポートしなくてはなりません。

「結婚や出産で本当に自分の自由がなくなるのか?」「自分の自由とはどのようなことなのか?」「結婚して得られるものと失うもののバランスはどうなのか?」など。コーチはクライアントが今まで考えたことのない盲点にスポットライトを当て、新たな信念の可能性を引き出すサポートが必要になります。


そうして、無意識の心にスポットライトを当てることで、ブレーキを外して結婚する人もいれば、独身で満足している人もいます。どちらが幸せなのかは本人が決めることなのです。

2016年9月23日金曜日

連載9 コーチングがうまく 「機能するタイプ」と「機能しないタイプ」

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載9 コーチングがうまく 「機能するタイプ」と「機能しないタイプ」

コーチングの基本的な目的は、「目的を達成したい!」「ある課題を解決したい!」「ある習慣を身に付けたい!」というクライアントの願望を実現するための支援です。支援する過程において、様々なコミュニケーションスキルが求められますが、コーチングの核心は、単なる「スキル」ではなく、クライアントの心の奥にある無意識にアクセスすることで、自己発見と気づきがもたらされ、それに伴って選択肢や可能性に広がりをもたらすことです。コーチングで大切なことは、クライアント自らが答えを見つけて、新たな人生の豊かさを発見し、自らの道を歩むことができるように、効果的に支援することです。

コーチングを効果的に行うためのコミュニケーションスキルは複数存在します。「傾聴」「承認」「質問」「要約」「フィードバッグ」は代表的なスキルとなります。このコミュニケーションをクライアントのタイプに合わせて上手に使い、互いの信頼関係が深まると、クライアントが心を開き、核心に触れるコーチングが展開されることが増えてきます。クライアントからは、様々な課題が提示されます。「何かの目標を改善したい」、「人間関係を改善したい」など、多くの場合は、「問題」にフォーカスするよりも、「解決」へと導かれるようにコーチが支援していきます。

コーチングがうまく機能しやすいタイプの人は、
  • 「コーチングで得たい成果が明確な人」
  • 「得たい成果と現状とのギャップが明確になっている人」
  • 「コーチを信頼して本音で話せる人」
  • 「自己矛盾に遭遇した際、積極的に自分に向き会おうとする人」
  • 「コーチからのアドバイスや答えを要求するのではなく、自分の中にある答えを積極的に引き出そうとする人」
  • 「素直にコーチからのフィードバックを受け入れられる人」


一方でコーチングが機能しにくいタイプの人は
  • 「コーチングで得たい成果が明確でない人」
  • 「得たい成果と現状とのギャップが明確になっていない人」
  • 「コーチとの信頼関係が希薄で建前でしか話せない人」
  • 「自己矛盾に遭遇した際、積極的に自分に向き会おうとせず、環境や他者のせいにする人」
  • 「コーチからのアドバイスや答えを期待して、自分の中にある答えを積極的に引き出そうとしない人」
  • 「素直にコーチからのフィードバックを受け入れられない人」
  • 行動を制限する信念に遭遇した際、柔軟に変えられない頑固な人


実際のコーチングのセッションでうまく機能する場合、コーチは「効果的な質問」をするだけで、クライアントは積極的に自分の中にある答えをどんどん引き出していきます。セッションを終えてみると、8割以上はクライアントが話していたということもあります。その一方で、コーチングのセッションでうまく機能しない場合は、コーチが多くを語り、アドバイスやコンサルティング的な説明に偏る傾向があるときです。クライアントはコーチに依存的になり、自らの責任を負わななくなる傾向が生じてしまいます。

コーチングでうまく機能するかどうかのポイントは、クライアントが本気でその目標に向き合う覚悟があるのかどうかという「コミットメント」です。そのコミットメントの度合いが最低でも半分以上なければ、ほとんどの場合うまく機能しません。もしも、クライアントに50%以上のコミットメントがあれば、コーチとの双方向のコミュニケーションを通じて、様々な視点からアイディアを出し合い、可能性を検討し、コーチはクライアントがスムーズに行動に移していける支援を行います。基本的に他人に強制しても、実際の行動には移り難いものです。クライアント自らが「決める」というところが大切なポイントになります。