2018年1月9日火曜日

自然療法の本質

「自然療法」という言葉には様々な定義があります。米国にはDoctor of Naturopathyという学位を修得できるNaturopathy(ナジュロパシー)の大学もあります。そのような体系化された学問だけでなく、「自然治癒とは何か」、「治る人と治らない人の違いは何か」などの本質的な意味を含めて、治療者が施す「自然療法の本質」について語りたいと思います。

基本的に遺伝的な疾患を持っていない限り、ほとんどの人は「治る力」を持ち備えているという前提があります。言い換えると、人間の身体はケガや病気を自然に修復できるように創られているという原理原則があることです。しかしながら、多くの人々が、肉体的にも精神的にも何らかの慢性症状を抱えています。その原因は何でしょうか?

人は誰でも生きていく上で、生物学的、あるいは生化学的にバランスの良い栄養素は大切です。また、健全な肉体を維持するためには適度な運動も大切です。さらには調和された心身を維持するためには社会的にも精神的にも健全な人間関係は必要不可欠です。このような領域を大きく分けると「栄養面」、「肉体面」、「心理面」に分けることができるでしょう。

しかしながら、人間の身体や精神は分離分割されるものではなく、常にこれらの領域を統合し調和することで健康が維持されています。どの領域もなくてはならない側面です。もしも、これらの側面に問題がある場合、西洋医学では足りないものを基準値に見合うように補う、不要なモノを攻撃する、あるいは構造学的に正常に戻すというダイレクトな手法が施され、その上で自然治癒力が発揮されることになります。

その一方で、代替療法といわれている自然治癒力を引き出すことを主な目的としている療法では、様々なアプローチで治癒力を引き出そうとします。東洋医学の鍼灸では自然治癒力を引き出すために「気の流れ」を整えます。カイロプラクティックでは「神経の伝達」を整えます。あるいは食事療法や漢方、サプリメントなどでは、過剰な食事を制限したり、不足がちな栄養を補ったりして自然治癒力を活性化します。

自然治癒力を制限しているものは様々ですが、基本的には目には見えないモノによって影響を受けています。例えば身体の働きをコントロールしている脳・神経系の「神経の伝達」は電気信号のようなもので、目で確認することはできません。目には見えない神経系が発する信号は、脳、脊髄を経由して、様々な臓器に「働き」のメッセージを伝達します。

もしも、内臓や膝に関係する筋肉の一部の働きが悪くなるとどうなるでしょうか?胃腸などの自律神経系への神経の流れが過剰になったり不足になったりすると、胃腸の働きが悪くなり、胃痛や下痢、便秘などの症状を生じるかもしれません。また、膝に関係する筋肉への神経伝達に誤作動が生じると、関節がうまく噛み合わなくなって痛みなどの症状が生じてしまうでしょう。

東洋医学で検査や施術の対象となる「経絡」といわれる「気の流れ」や「チャクラ」などの「生体エネルギー」は、目では確認することができないために西洋医学ではほとんど重要視されません。しかし、この「生体エネルギー」の不足や過剰などのバランス異常を含めた「生体エネルギーのブロック」(EB)が、自然治癒力にブレーキを掛ける原因の一つになるのです。

そのEBを引き起こす原因は様々ですが、なぜ、慢性的に症状が続くのかという観点でいえば、「記憶」が深く関係しているといえます。脳は健全な機能を記憶する一方で、不健全な機能も記憶するという視点に立つと、記憶は自然治癒力に多大な影響を及ぼしていることが分かります。言い方を変えると、「記憶」という機能が脳や神経系その他に備えられているからこそ慢性症状が生じるということです。

脳は五感を通じて様々な関係性を経て情報をインプット(入力)し、無意識的に学習、記憶して思考や言語、行動などをアウトプット(出力)します。日常生活の中では、それらの情報の入力と出力を繰り返して習慣化します。そのような習慣によって健康が維持される一方で、知らず知らずのうちに不健康な「誤作動記憶」(習慣)が構築され、自然治癒力を妨げ病気を引き起こすようになります。そのような観点に立てば、「誤作動記憶」を健全な記憶に書き換えれば自然治癒力が引きだされて健康が維持されるということになります。

自然療法の本質をまとめると、生体内だけで言えば、神経の伝達や気の流れを含めた生体エネルギーの誤作動記憶に関係するEB。外界から入力される五感に関係する様々な誤作動記憶。さらには心理面に関係する様々な誤作動記憶をトータルに調整することで、自然治癒力が本質的に引き出されるでしょう。具体的に調整とは何だろうという疑問が生じるかもしれません。自然療法で使われる様々な調整の本質は「刺激」です。「刺激」といっても強い刺激は必要ありません。神経系や気の流れを活性化させるために必要な最小限の刺激を加えることで、自然治癒力が引き出されるのです。

人は「神経系の働き」以外に他の「生体エネルギー」でも生かされており、様々な環境や衣食住との関係性に適応することで、自然治癒力が引き出されます。自然療法の本質を語る上で大切なキーワードをまとめると、「生体エネルギー」、「誤作動記憶」、「関係性」、「刺激」ということになるでしょう。


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