2019年7月10日水曜日

久しぶりにお子さんと遊んでほんとに楽しかった!!(頸部ジストニア、痙性斜頸の症例)

繰り返される日々の施術の過程で、時折心に響く場面に遭遇することがあります。ジストニアの症状で来院されている患者さんの施術中の一場面で印象深いコメントがありました。それは、「久しぶりに子供と遊んでほんとに楽しかった・・・」と心に染み渡るように語っていたことです。何気ない普通の会話なのですが、ジストニアを発症した半年前から小学2年生のお子さんと遊べていなかったとのこと。育ち盛りの息子さんと久しぶりに遊べたことは、お父さんにとってはかけがえのない貴重な時間だったに違いありません。最初の強いジストニアの症状を知っているが故に、しばらくぶりにお子様と遊べたことはとても嬉しかったのだろうということがひしひしと伝わってきました。

それは7回目の施術日でしたが、その日の来院時はジストニアの症状の改善が明らかに分かる状態でした。患者さん自身も前日にお子さんと遊べるほど調子が良かったとのことでした。最初の来院時は、顔が左側に最大限に回旋したままで、不随意運動も強い状態。日常生活にも支障がでている様子で、お子さんと遊べる状態ではなかったのは明らかでした。ジストニアという症状の多くが肉体的な問題だけでなく、メンタル的な関係性が奥に隠れています。恐らくそのような潜在的なメンタル的な要因も解放されたことで心から楽しめたのだと思います。

当院で施術を受ける前は大学病院でボトックス注射を2回ほど受け、投薬治療を受けたとのことですが、症状の改善が見られずに来院されました。当院での継続治療で改善の転機になったのは5回目の施術の後だったかもしれません。その時、ある程度施術内容を理解されていたので、マインドフルネスによる自己療法も指導させていただきました。「雑念がいろいろと思い浮かぶと思うので、気になる雑念がでてきたら次回の施術で教えて下さい・・」とお伝えしていました。そして、次の6回目の施術の際に、「人生で最悪の出来事があったのを思い出しました・・・今までの施術で、なぜそれが出てこなかったか不思議なくらい自分にとっては人生で一番苦しい出来事でした・・・」と言われました。

実際にそのことを思い浮かべてもらうと明らかにトラウマの反応が示されました。10年前のことでしたが、脳の誤作動として記憶されていました。それ以外にも過去のトラウマ的な誤作動記憶は調整しましたが、そのことは本人も自覚しているように大きなトラウマだったようです。単純にそのトラウマだけがジストニアの原因となる誤作動記憶ではありませんが、症状の改善度から鑑みても大きな原因の一つになっていたように感じました。

当院を受診されるジストニアの患者さんのほとんどが心身相関的な誤作動による症状です。ジストニアの患者さんは目で見て分かる身体症状の改善を訴えて来院されます。メンタル的な問題を最初から訴えることはありませんが、施術を通じてだんだんと症状が改善するにつれて心の状態と身体症状が連動しているということが感覚的に分かってきます。継続治療の過程でメンタル的な気分も良くないと、それに連動して症状もぶり返すこともあります。でも、症状がぶり返してもその記憶を調整して書き換えることでその誤作動記憶による症状は消去法のように改善されていきます。

今回ご紹介せていただいている患者さんも継続治療のプロセスを通じて、だんだんと心と身体との関係性を体験的に理解されています。今回のような明らかな改善を体験することでジストニアが根本的に治っていくのだという自分の治癒力に自信を持つことができたのではないかと察します。今後、さらに改善されるように継続治療させていただきたいと思います。

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