2018年5月1日火曜日

イップスの根本的な改善

先日、2年前に送球イップスで来院され、今春から大学3年生になる野球選手が春休みを利用して来院してくれた。現在は社会人のクラブチームでピッチャーを担当しているとのこと。イップスはかなり改善されているが、少し気になることがあるらしく、持参してくれたiPhoneの投球フォーム画像を見ながらPRT検査。ご本人も気になっているところで陽性反応を示す。いくつかの潜在意識が関係する誤作動記憶に加えて部分的な投球フォームに関する意識への誤作動記憶も関係していた。

ビデオ映像から導き出された陽性反応は、ピッチングのテイクバックの動作だった。本人に質問してみると、「後ろに腕が伸ばせていない・・・」とのことだった。原因となる誤作動記憶を検査すると、過去の肩や肘の痛みの記憶が関係していた。関節に痛みが生じたままで、動作を繰り返していると知らず知らずのうちに、かばう動作を身体が学習してしまい、腕が自然に後ろに伸びなくなったということが疑われる。痛みの誤作動記憶の調整を行なった。

PCRTでは誤作動記憶のパターンを瞬時に検査することができるので、根本的な調整が可能になる。もしも、このような検査と調整をしなければ、恐らく、投球フォームを改造しようとするだろう。表面的には投球フォームの改造で改善しそうだが、潜在的心理面が関係する無意識の記憶(クセ)による影響はそれほど簡単ではない。意識でコントロールできれば、そもそもイップスにはならない。意識と無意識が離れているからイップスの症状が生じるのであって、そこの関係性にアプローチしなければ、根本的なイップスの改善が遅れるだろう。

2008年度の北京オリンピックで、米国の陸上女子100メートルハードル代表のロロ・ジョーンズは、トップで走っていたにも関わらず、最後から2番目のハードルに引っかかって金メダルを逃してしまった。この時彼女は、「足をしっかり伸ばそう」と意識してしまったと、後で語っていたという。これは、全体的なゴールへの目的意識から、部分的な意識へと変化したために、いわゆる誤作動が生じたのだと考えられる。最近ではビデオ映像を見ながらフォームの修正に意識を向ける傾向にあるが、部分に意識が集中しすぎてしまうと、体全体の調和が乱れて、イップスのような誤作動を生じやすくなる。

さらにパフォーマンスを上げるためのフィームの改造は効果的なるかもしれないが、イップスを改善するっためのフォームの改善はむしろ治りが悪くなる傾向がある。なぜなら、多くの選手は小学生の頃からその競技を継続しており、そのフォームで活躍されている。イップスの原因はフォームを変えたから悪くなったわけではない。問題の矛先を間違えないようにしないと改善は難しくなる。

「部分と全体との関係性」、「意識と無意識との関係性」、「心と身体との関係性」はイップスの改善には必要不可欠な概念であり、単に部分的なフォームの改造、あるいは、神経学的機能の改善だけでは本質的な改善は困難になるだろう。

2018年4月24日火曜日

PCRT基礎2 信頼関係に基づく『効果がだせる調整法』を伝授します。

PCRT基礎2 信頼関係に基づく『効果がだせる調整法』を伝授します。

PCRT基礎2で得られる学びの7つのポイント

   筋膜関連の誤作動調整法
関節系の患者さんで、時折、関節系の陽性反応は消失しているにも関わらず症状の残存を訴える場合はないでしょうか?その際、関節系の調整法に加えて『筋膜系の調整法』を加えることで施術効果が高まることがあります。筋膜の概念と調整法を分かりやく伝授します。筋骨格系の施術の幅が広がります。

   頭蓋骨関連、脳領域の誤作動調整
脳の中枢と脊椎の末梢との繋がりは切り離せない事実です。神経学的な観点のみならず、様々なエネルギー系のネットワークは中枢と末梢とを繋いでバランス調整を行っています。もしも、中枢や末梢との繋がりの誤作動が生じれは様々な不調が生じます。そのような不調の調整法を使うことでさらに施術効果が高まります。繋がりの誤作動を調整する効果的な『頭蓋骨調整法』と『ブレインマップ調整法』を伝授します。

   目安検査法と合わせて機能評価チャートの使い方
機能評価チャートと目安検査を合わせて使用することで、メジャーとなる機能異常の特定や施術前と施術後の評価が分かりやすくなり患者との信頼関係が高まります。施術者にとっても、機能異常の根源となる問題が明確になります。

   小脳機能異常から生じる様々な問題を分析できる簡便な検査法
腰痛や四肢関節痛も小脳の機能異常から生じている場合も少なくはありません。また、ふらつき感は三半規管由来なのか、それとも小脳由来の機能異常なのかを明確に判断しなくてはならないケースもあります。そのような鑑別が必要なケースでもPCRTの機能異常の検査は、患者さんにも分かりやすく体感的に納得していただけます。今回は特別に最新の小脳関連の検査法を伝授します。これは我々の臨床にとても役に立つと思います。

    臨床に役立つ神経学的機能異常の調整法
神経学を極めるには膨大な知識が必要ですが、私たちの臨床現場では神経内科医などのような知識は必要ありません。病理的な疑いのあるケースは専門医にお任せすべきです。私たちが関わる患者は病理学的な問題ではなく、神経学的な機能異常です。神経学的機能異常の調整はシンプルです。しかし、その機能異常は原因があっての結果です。神経学的機能異常を引き起こすには本質的な原因があることを忘れないでください。PCRTでは簡便な神経学的機能異常検査法とその本質的な原因を患者と共に探求します。

   部位別のマッスルテストを使った検査法と調整法
目安検査にもなる部位別のマッスルテストは、患者が筋力の弱化を体感するとこで、機能異常の存在の有無を明確に示すことができます。患者にも納得できるマッスルテストをマスターすることで、患者との信頼関係が深まります。

   メンタル系施術の導入と基本感情チャートを使ったその調整法
PCRT発足当初は、メンタル系のアプローチで患者との信頼関係がうまく築けずに効果が引き出せなかった受講者の事例をお聞きしていました。けれども、最近はどのようなタイプの患者にどのようなタイミングで応用するのか、どのように説明をしてメンタル系を導入するのかのアプローチの仕方が明確になり、効果を引き出せている受講者の声を多く聞かせていただいています。長年の研究で進化したメンタル系調整法のアプローチの基本を伝授します。



2018年4月23日月曜日

患者(クライエント)への「質問力」その11【チャレンジのスキル】

患者(クライエント)への「質問力」その11【チャレンジのスキル】

経験の長い治療者であれば、患者(クライエント)に対して「もっと、〜〜すれば早く良くなるのに・・・」、「〜〜の考え方を手放せば楽になるのに・・・」、あるいは「〇〇のように受け止めればもっと人生が楽になるのに・・・」などと心の中で感じたことはないだろうか。信頼関係が深ければ、治療者は率直にそのことを伝えてチャレンジすることもできるが、まだ、信頼関係が浅い段階で、そのようなチャレンジをしてしまうと、信頼関係が損なわれる可能性がある。「チャレンジ」とはこのように信頼関係を損ないかねない状況においても、患者のためになることを提案することである。患者の望む満足ラインでサービスを提供するのか、あるいは信頼関係が損なわれることを恐れず、患者の将来のためになることを提案してチャレンジするのかとても難しい判断である。

近江商人の商売十訓の中で「無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ」という言葉がある。客を治療現場の患者(クライエント)に置き換えると、「無理に治療するな、患者の好むものも提供するな、患者のためになるものを提供せよ」ということになるだろう。とりわけ慢性症状を抱えた患者さんの多くがメンタル面との関係性が原因で症状を長引かせている場合が多い。経験を積んでいる治療者は、直感的にそのことに気づいて、患者にメンタル系の施術を促すことがある。治療者の提案に従って、喜んでメンタル系の施術を受け入れる患者は、本質的な原因にアプローチするので治療効果も高く、理想的な治療結果が早期に得られることが多い。その一方で、時折、メンタル系の施術に抵抗を表す患者がいる。患者が早期に改善するようにと、患者の先々のことを考えての提案ではあるが、患者がそのような施術を好まなければ、患者が望む身体面だけの施術にとどめてしまうことになる。

患者のためを思っての提案だが、患者が好まなければ致し方ない。無理には治療できないので患者が望む施術法でベストを尽くさなければならない。だが、近江商人の「客の好むものを売るな、客のためになるものを売れ」というルールには反することになる。本質的な治療効果を提供したい治療者にとってはジレンマになるが、無理に押し売りはできない。このようなケースは珍しくはないが、この場合、治療者は施術の選択肢を提案しながら、時折、患者が次のステップへと進むためのタイミングを慎重に図って、チャレンジしていくことが大切だろう。

それにしても、本当に患者のためになるかの判断はとても難しい。患者のためになるからといってチャレンジして誤解を招くこともある。信頼関係を損なうようなチャレンジをして、ほんとうに患者の将来のためになるかどうかと問われると、実際には時が経たなければ分からないだろう。「チャレンジ」の背景にある考え方の多くは治療者の経験などに基づく信念から生じるが、その信念が本当に目の前の患者のためになるかどうかは分からない。「人間万事塞翁が馬」という諺がある。ある不幸な出来事が、将来は不幸なのか幸福なのか予想し難いように、患者のためになる予測される提案も、時が経たなければ本当のところは分からないということだろう。要するに、チャレンジする場合、患者のためになると考えることも大切だが、その提案が本当に患者のためになるかどうかは、時が経たなければ分からないということも心の隅に置いておくことが必要であるのだろう。

2018年4月19日木曜日

第73回AMセミナー

AMセミナー活動も17年目。多くの受講生がAMの技術技能を修得して、開業されて盛業している話を耳にするようになった。AM認定者が熟練者と呼ばれるようになり、セミナー会場で、初心者に丁寧に教えてくださる光景もそう珍しくはないようになってきた。「初心者」、「認定志願者」、「認定維持者」という3タイプの受講者がバランスよくチームとして学びを深めている様子がうかがえた。

私がAMセミナーを開催させていただいた当初、短い時間ではあったがAMセミナーの合間に、患者教育や治療哲学、さらには人間学のプレゼンもさせていただいた。要らぬお世話と言われそうだったが、人間力を一緒に高めていきましょうという願いから、「致知」という人間学雑誌もAMセミナーで紹介させていただいた。「致知」の購読はかれこれ約20年になり、今でも人間学の勉強は継続している。現在のAMセミナーでは、患者教育や治療哲学のプレゼンはほとんどしていないが、最近ではそのニーズもなんとなく感じる。

また、SNSSOE対策などのインターネットによる集客に力をいれている開業者も増えてきている。そのような知識や技能も盛業に大切だろう。しかしながら、長い目で見ると患者さんとの深い信頼関係を構築するには、治療家としての人間力が問われる。私は長年のセミナー活動を通じて、多くの先生方との出会いがある。直感的ではあるが、人としての魅力を感じる先生に対しては、多くの患者さんに喜んでいただいていることが想像できる。

多くの患者さんから信頼される治療家になるためには、単に知識、技術だけの能力だけでは貢献できない。人としての「在り方」「人間力」が問われる。どの職業でも同じではあるが、人間力を磨き続けることは必要不可欠だろう。人に役立つための根底には「能力」よりも「人間力」が求められるだろう。人間力というバックボーンがあっての知識や技術的な能力が必要である。LCAでは単に技術技能を提供するだけでなく、治療家としての在り方も深く追求し続ける学習共同体でありたい。


2018年4月11日水曜日

患者(クライエント)への「質問力」その10【フィードバックのスキル】

患者(クライエント)への「質問力」その10【フィードバックのスキル】

コーチングのスキルの中で、フィードバックというスキルがある。治療者(コーチ)が相手の鏡になったように、相手の表情や使った言動を客観的に伝えたり、治療者が直感的に感じたことを自分のメーセージとして、評価や判断を入れずにありのままに伝えるスキルである。例えば、相手が「〜された」とか「〜と言われた」というような被害者用語を繰り返し使っている場合、治療者は「あなたは、以前から『〜された』という言葉を多く使われているようですが、自覚はされていますか・・・」というようにフィードバックすると、患者(クライエント)は、「はっ」と気づいて、変化が促されることも少なくはない。このようなフィードバックは、相手を批判しているかのように受け止められる危険もはらんでいるが、あくまでもクライエントの鏡になって無意識的な心の癖をフードバックすることで、クライエントが気づかない盲点の視野を広げる手助けになる。

フィードバックの中には、相手の話す内容を整理して一つのキーワードで表現したり、相手の話した内容をまとめて表現する「要約のスキル」もある。対話の中で、相手が話している内容にまとまりがなく、話している本人も話の内容を整理できない場合がある。その場合、治療者が「それは、〇〇ということでしょうか?」と話の内容の要点を整理して言い換えることがある。もしも、その要約が相手の話したい内容にぴったりであれば、よく理解してくれていると相手は感じる。対話の中では、できるだけ相手が使っている言葉を大事にして「おうむ返し」をした方が、信頼関係を得やすいが、話の内容がまとまりがなく整理が必要な場合は、あえて、異なる言葉で言い換えたり、要約することで信頼関係を深めることができる。だが、相手が慣れない言葉で表現をしてしまうと相手との距離が離れてしまうこともあるし、相手が伝えたい内容の意図とは反する言葉で言い換えてしまうと、信頼関係を損なう要因にもなるので注意が必要だ。

相手の話をまとめたり、整理をする要約のスキルを使った以外に、相手の気持ちを察して先取りして共感するスキルもある。例えば、子育てのストレスを抱えて体調不良を生じさせているようなクライエントであれば、お母さんに、「お子さんは何歳ですか?」と尋ねて、お母さんが、「2歳です」と答えたとする。治療者が「その年頃は大変ですよね・・・」と共感のフィードバックをすると、相手は「私の置かれた立場をよく理解してくれている」と受け止められがちになり相手との距離が縮まる。けれども、やみくもに共感すれば効果が得られるというわけではない。子育ての経験もないのに共感をしても、不自然になるだろうし、相手の痛みや苦しみは本人でしか分からないことも多々あるので、相手の立場にたって正直に感じたままをフィードバックするのが信頼関係を気づくコツになるだろう。

また、クライエントの苦しみや悩みを共感しながらも、治療者は第三者的な立場で、クライアントがその負のサイクルから抜け出すことのできる視野を広げ、幅広くフィードバックすることが大切で、共感して患者の立場に入り込んだり、第三者の立場で引いたりしてバランスよくフィードバックしながらクライエントをサポートしていくことが大切だろう。

2018年4月6日金曜日

患者(クライエント)への「質問力」その9【傾聴のスキル1】

患者(クライエント)への「質問力」その9【傾聴のスキル1】

治療者は患者(クライアント)が何を求めて来院されたのかに関心を寄せ、患者のニーズをしっかりと把握することが必要になる。そのために患者に寄り添いながら傾聴の質の向上を目指さなければならない。傾聴の質を高めるためにはいくつかのスキルがある。最初のスキルは「あいづち」と「うなずき」である。それらは、言語的には「ええ〜」、「はい〜」、「そうですね〜」、「なるほど〜」、「ほ〜」などで相手の承認を促す。非言語的にはうなずいたり、会釈をしたり、アイコンタクトをしたり、身を乗り出したりして相手の話に興味を示す行為がある。言語的にも非言語的にも対話の中で相手の「あいづち」と「うなずき」があると、真剣に傾聴してくれているというのが分かるので話しやすいというのは誰もが経験していることだろう。

また、相手の話すペースや姿勢に自然な感じで合わせることでさらに話しやすさも増すだろう。これを「ペーシング」、「ミラーリング」とコーチングでは呼ばれており、相手が話しやすい状態を作り出すことをいう。例えば、対話の相手が腕組みをしていたり、足を組んでいたりすると、あいづちやうなずきがあっても心を開いた対話は期待し難いだろう。ただし、ただ単に「あいづち」と「うなずき」があればいいというものではない。時折、対話で絶え間なくうなずく人もいるが、「本当に理解しているのだろうか?」「理解してくれているようだが、表情が不自然に感じる・・・」などと、何となく心の奥で違和感を感じることがある。その場合、表面的には問題のない対話に見えても、心の奥に響くような対話にはならないこともある。あえて言えば、表面的なテクニックで飾られた「建前」の対話という感じになるのだろう。心に届く「本音」の対話をするために、まずは、心から相手の立場に立って相手の心に寄り添って、判断や評価を入れない傾聴が求められるだろう。

初対面の相手に対して、相手の立場になり、相手の心になるというのはそう簡単にできるものではないだろう。ある程度の対話を重ねていく中で相手の置かれている立場や状況が見えてくる。そうすると相手の立場に立って相手の心に寄り添いやすくなる。だが、クライエントをサポートする立場にある治療者が全面的に相手の立場になることができれば、クライエントをサポートしやすくなるのかというとそうでもない。それはなぜかというと、もしも、完全にクライエントの立場になりきってしまうと、クライエントと同じ目線になり、クライエントが気づく必要のある盲点も見えなくなって、視野が狭くなる場合がある。相手の立場になりつつも、第三者的な立場をとって、客観的にクライエントの置かれている状況を認識する必要もある。治療者は、クライエントの立場になったり、一歩引いて客観的に見たりしながら、クライエントに寄り添って承認するスキルが求められるだろう。

対話の際の表情や姿勢などの外的な要因と合わせて、思考や心の内的な要因も大切である。聞く態度に問題がなくとも、相手が話している内容や心情をしっかりと理解できていなければ、対話が弾まなくなり相手はその不自然さに違和感を感じるだろう。相手の話す内容をしっかりと理解して、相手が言わんとしていることを把握している人は、対話の中で時折、話の要点となるキーワードをポツリと相手に返すことがある。これは「おうむ返し」というように呼ばれることもあるが、「おうむ返し」のスキルは単に相手の言葉を真似るのではなく、相手の話の中で要点と思われる「言葉」をうなずきながら繰り返すスキルである。相手の話の内容をしっかりと理解せず、あまり意味のないところで言葉を引っ張り出して「おうむ返し」を使うと、相手は共感を得られずに対話の距離が離れてしまうかもしれない。

2018年3月30日金曜日

花粉症の改善 

花粉症の改善      201845FCCニュースレター

この時期になると、花粉症の話題があちらこちらで目につくようになります。当院でも花粉症の症状を訴える患者さんも増えていますが、その一方で、「今年は花粉症がいいみたいです・・・」と改善の報告をしてくださる患者さんもいます。この時期に鼻水や目のかゆみなどの症状が現れると、それをひっくるめて「花粉症」と呼ぶことが一般的に定着しているようです。しかしながら、当院で症状の原因を検査してみると、単に花粉だけではなく、PM2.5などの大気汚染物質や繊維類などにも条件付けされて、症状を引き起こしている方も少なくはありません。

花粉症の原因は患者さんによって様々です。花粉症を改善する上で、大切なのは「無意識」との関係性です。無意識的に条件付けされた感情や信念(思い込み)などが、アレルゲンと共に組み合わさって脳に記憶され、自動的に症状が引き起こされている場合もあります。花粉の時期と関係する3月や4月は、卒業、入学、あるいは転勤、転職などが多く、そのような環境の変化に伴って心も動きやすい傾向があります。人との出会いや別れ、あるいは喜びや悲しみなどで涙が関係する時期でもあるでしょう。

そのような感情が関係する際、涙と同時に鼻水が出てきます。今にも泣きそうな感情に加えて、花粉などのアレルゲンに刺激されるとさらに涙や鼻水が出やすくなります。もしも、そのような潜在的な悲しみの涙が花粉のアレルゲンと組み合わさって条件付けされて脳に記憶されると、花粉のアレルゲンによって刺激されることで、悲しくなくても悲しみ状態のスイッチが入り、涙や鼻水が出やすい症状が再現されるというわけです。

これは、長年の臨床経験に基づく独自の仮説ですが、全ての花粉症が悲しみの潜在感情に関係しているわけではありません。隠れた信念などの「心の枠組み」が関係している場合もありますし、単に花粉やほこりなどのアレルゲンが条件付けされている症例もあります。また、何年も花粉症状が継続していると、アレルギー症状を起こすのが当たり前かのように脳が学習してしまっている方も少なくはありません。それは、経験や情報によって意味づけされた結果による症状なので、その原因に対する治療が必要になります。

このような治療法はまだまだ知られていませんし、半信半疑の方も少なくはないと思いますが、治療法を理解していただいている方はほとんど治療効果が示されています。最近の風潮では、「治る」という情報は無く、「花粉を避けましょう」という情報ばかりが飛び交っており、あたかも誰もが花粉症になるかのような報道が目立ちます。外に出る際にはマスクするのが当たり前という人も少なくはないと思います。しかし、数年来花粉症に悩まされていた患者さんが、当院のアレルギー治療で改善され、「花粉症が治るということを知らなかったあの数年の花粉対策(マスクなど)は何だったのだろうか」ということも話されていました。

花粉症などのアレルギー症状は、人それぞれに原因が異なり、治り方もそれぞれですが、当院の治療で多くの方が改善しています。お悩みの方はぜひご相談ください。