患者さんの中には、「痛み」はどこからきているのだろう?という関心は多いようです。
例えば、急性腰痛では、「重いものを持ったから」「急に腰を捻ったから」
慢性腰痛だと「姿勢が悪いから」「座り過ぎ」「内臓から悪いから」
首の痛みだと「目からきているのか」「枕が合わなかったから」「寝方が悪かったから」
肩関節痛、肘関節痛、手関節痛、股関節痛、膝関節痛、足関節痛などの手足の関節痛では「使い過ぎ」「運動のし過ぎ」などです。
事故などで肉体的な損傷を受けた場合、その損傷部分が原因で痛みを感じているというのは分かりやすい因果関係ですが、痛みの原因が曖昧な場合も少なくはありません。
原因があるから、その結果として症状がでる。
これは痛みの改善のためにはとても大切な関心事です。
私たち治療者も、患者さんの痛みを早く改善させるために、このテーマについて長年に亘って追究し、検証してきました。
それは、本質的な原理原則的なコンセプトで、単に「内臓が悪い」とか「使い過ぎ」、「姿勢が悪い」、あるいは「背骨がゆがんでいるから」といった一元的なものではありません。
それは「関係性」の問題です。
「関係性??」、「原因が関係性にある??」と原因と関係性がどのように結びつくのという疑問が生じるかもしれません。
人間の身体は、とても複雑で、あらゆる臓器や器官、組織、細胞が互いに関係し合いながら生かされています。それぞれの役割を担って働きながら、それらすべての部分と部分がつながり関係性をもって全体の働きを構成しているのです。
人間は生きている限りすべての部分が、何らかの役割をもっています。例えば関節の動きには複数の筋肉が関係し、それぞれの役割を担って、スムーズな動きを創り出しています。つまり、腰痛や膝関節痛などの関節系の痛みに関係するのは主に筋肉の問題です。
例えば背骨の関節で一部の筋肉がサボってしまったり、過剰に働き過ぎたりすると、関節系と筋肉系の関係性が悪くなり、背骨にゆがみや痛みを生じさせたりします。
では、一部の筋肉がサボったり、過剰に働き過ぎたりする原因は何でしょうか?筋肉は神経によってコントロールされていますので、脳・神経系との関係性で引き起こされているのです。
脳・神経系は身体全体の司令塔です。この司令塔である脳・神経系と筋肉系との関係性が良くなれば、関節は落ち着くべきところに落ち着いて、動きもスムーズになり、バランスのとれた姿勢を保つことができます。
脳・神経系の働きが正常であれば、筋肉系も、関節系も正常に働き、その結果として無理のないスムーズな動きを保つことができます。このように、関節の痛みの信号は、関節系、筋肉系、神経系の関係性の悪さだといえるのです。
また、この司令塔である脳・神経系は、関節系や筋肉系からなる筋骨格系だけでなく自律神経系、内分泌系、免疫系、循環器系、リンパ系などとも関係し合いながら健全な働きを維持しています。
どうでしょうか?痛みの「原因」が一元的でなく、「関係性」によって引き起こされているということをご理解いただけたでしょうか?
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