2018年8月2日木曜日

身体は「症状」を記憶する

 今回のテーマを見て、「えっ?身体が『症状』を記憶する?それってどういうこと・・・?」と思った方がいるかもしれません。でも、当院をしばらくご利用いただいている方なら何のことなのかある程度お分かりいただけるでしょう。筋肉や内臓の働きを司る脳や脊髄の神経系には、コンピューターのメモリのように高性能の記憶装置が備えられています。私たちはその記憶装置のお陰で充実した健康生活を営んでいます。でもその一方で、記憶装置があるがゆえに慢性症状を繰り返して不健康な症状に悩まされる場合もあります。

例えば、梅雨の時期になると調子が悪くなる。台風が近づいてくると頭痛がする。このようにある条件付け(学習記憶)で症状が繰り返されるパターンがあります。このパターンはご本人が自覚している場合と自覚していない場合があります。最初は、「気のせいかな?」と思うのですが、毎回、その条件付けが再現されると、これは気のせいではなく確かにそのようにパターン化されていると確信します。しかし、通常の医療ではこのような場合、薬で症状を抑えるしかなく、当院に来院されて初めて症状につながる原因である誤作動記憶のパターンにアプローチできることが分かります。

複雑な原因が関係している慢性症状は、何が条件付け(記憶)されて症状を引き起こしているのか、自覚できないことがほとんどですが、当院で身体の反応を診る生体反応検査をすると、何が記憶されているのかすぐに分かります。長く放置された慢性症状ほど複雑化する傾向にあり、治療回数もそれなりに必要になります。しかしながら、回数を重ねるごとに、誤作動につながっている記憶が正常なパターンに上書され、消去法のように複数の誤作動がだんだんと消えていきます。

誤作動は主に脳と脊髄に記憶されており、当院では症状の原因となる『誤作動の記憶』を脳の三層構造に照らし合わせて検査していきます。脳の第一層目は、「脳幹脊髄系」、あるいは「反射系」と呼ばれており、この領域はメンタル面が関係しない「身体面だけの誤作動の記憶」が関係します。脳の第二層目は、「大脳辺縁系」と呼ばれており、この領域は感情や信念、価値観などの情動を司るメンタル系領域の記憶に関係しています。無意識の情動脳の領域です。脳の第三層目は、「大脳皮質系」と呼ばれる領域で、経験や様々な情報から得た理性的な知識によって条件付けされた理性脳の記憶に関係します。いわゆる「思い込み」によって生じる症状に関係する脳の領域になります。

症状に関係する脳の記憶は、私たちが普段ほとんど意識していない無意識的な内容ですが、当院の検査でその件に関連することを質問されると、ほとんどの患者さんがそのことを認識されます。症状に関係している誤作動の記憶を認識することができれば、パソコンやスマホを再起動するように誤作動を消去します。症状の程度や抱えている期間によって、誤作動の記憶の深さや数は人それぞれですが、治療回数を重ねるごとに誤作動は調整され、それに伴う症状もだんだんと改善されていきます。

誤作動を調整した後で大切なことは、何が症状の原因に関係していたかをしっかりと認識して記憶しておくことです。「慢性症状=記憶」です。脳の可塑性といって脳の神経回路は常に変化する機能を備えています。新たな学習と記憶の繰り返しで、新たな神経回路のネットワークが構築されます。施術によって原因パターンに気づいて学習し、記憶すれば神経回路が強化され変化が促されますが、記憶しなければ、元の症状を引き起こす神経回路に戻ってしまうわけです。

「全ての慢性症状=記憶」とは言い切れないにしても、多くの慢性症状には「記憶」が関係しているということを忘れないでください。「記憶」が慢性症状に深く関係しているということをもっと多くの人に知っていただけることで、たくさんの人々の健康レベルが向上すると思います。現代ではこのことを知らない方がほとんどです。慢性症状で悩んでいるご家族や知人の方がいましたら、症状の原因が「記憶」に関係しているかもしれないということをお伝えください。慢性症状から解放される可能性は十分にあると思います。

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