2012年10月15日月曜日

「台風が来るときには必ず頭痛がする」???

15年来頭痛で悩まれていた患者さんから随分改善されてきたとの報告をいただいた。施術をはじめてから約3か月間、10回目の施術を終えていた。初診時には頭痛以外に首や肩のコリも慢性的にあるとのことだった。

脳神経外科も受診されており、MRIなどの検査を受け頓服薬を処方されたとのこと。緊張型の頭痛は月に1~2回、偏頭痛は数か月に1回。偏頭痛がひどい時には吐き気を伴い、一日寝たきりの状態だったとのこと。

施術では、アクティベータ療法とニューロパターンセラピーを併用した。この患者さんの場合、来院時には頭痛がない場合が多かったので、頭痛があるときのイメージをしてもらい、条件づけされた「緊張パターン」を検査して施術することが多かった。

15年来抱えていた慢性的な頭痛だったので脳に学習記憶されていた「緊張パターン」も複数重なっていた。その中でも特徴的だったのが「台風が来るときには必ず頭痛がする」、というパターンだった。

通院中に、何度か台風が近づいたりしていたので、実際にその台風で頭痛がぶり返すのかどうかを確かめることができた。身体の検査反応に従って2回ほど台風に対する治療を行った後には、台風による頭痛は改善されたとのことだった。

台風に限らず、雨や曇りなどの気圧の変化でも頭痛や肩こりなどの体調不良を訴える患者さんも少なくはない。病院でその症状を訴えると「気のせい」ではないかということで済まされたという患者さんもいた。

私もこのような本質的な治療法を研究するまでは天候の変化で頭痛や肩こりが生じるということには理解に苦しんだ一人でもある。現在では、天候の変化で症状を訴える患者さんはもちろん、患者さんが症状を訴えなくても症状の因果関係を検査していると、気圧に対する過敏反応が明らかになってくることも少なくはない。

このような気圧の変化が原因で体調不良を引き起こすパターン(学習記憶)を抱えている人は少なくはないと思うし、それに対する治療法があるということも知られていないだろう。このような環境の変化に対して身体に適合、あるいは調和させる治療法をもっと世間で当たり前になるように広める工夫が必要だ。

患者さんへのインタビューです。

2012年10月9日火曜日

PCRTアドバンス1研究会報告(その2)

次に今回のアドバンス1の研究会で大切な内容は、「ハード面からソフト面への施術移行」だろう。この心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)の初期の研究会から、心と身体の関係性に対するアプローチの仕方をご紹介してきた。しかし、メンタル面のへアプローチの仕方が強調され過ぎたようで、メンタル面の良し悪しにフォーカスしてしまい、メンタル的な問題が身体に影響を与えているかのようなとらえ方をされている施術者も少なくなかったようだ。

確かに、以前は「緊張パターン」に代わる「リラックスパターン」を創らなければ症状が改善されないかのような伝え方をしていた。そうなると考え方や感じ方を変えないと症状が改善されないと受け止められてしまう。患者さんによっては、ご自分の気づきのより考え方や感じ方を変えることで症状も改善されるという事例もあるが、それは一部にしか過ぎない。

「意欲」や「喜び」など肯定的な感情も神経系の誤作動に影響を及ぼしている場合も多々あり、考え方や感じ方を変える必要などなく、心身バランスの誤作動を調整することで多くの症状が改善される。

「意欲」や「喜び」の感情の反応がでると、患者さんの中には、「頑張り過ぎですかね?」、とか「喜び過ぎですかね?」などと感情の程度が悪いのではないかと質問されることがある。意欲や喜びを抑えるという感情のコントロールが必要なのかもしれないが、それは不自然なことであり、表面的に建て前で繕うことができても、内面的な本音を繕うということはできない。

人が時には思いっきり喜んだり、思いっきり怒ったりすることはむしろ自然の姿だろう。小さな子供が思いっきり笑わなくなったり、怒ったりしないのは何か不自然を感じる。子供は本来、本音で感情を表に出すのが自然である。その感情が表に出ていないということは何か不自然さを感じてしまう。
大人になると本音と建前を倫理的にコントロールすることができるようになるが、内面は本音を小手先でコントロールすることは困難でありそれは不自然なことでもある。

大人の場合、感情を表に出すか出さないかは倫理的、社会的に求められることがあるので感情を出さないふりをすることも求められる。しかし、心の奥底で感じる感情までも抑えたり、コントロールすることは困難で、不自然といえるだろう。

心の奥底から湧き出てくるネガティブな感情を理性によってコントロールすることも必要になることもあるが、そのような精神論的、あるいは倫理道徳的な問題は、心身条件反射療法では関与しない。あくまでも、心身の関係性で生じた神経学的、ならびにエネルギー学的な誤作動の調整に関与する。

極端な例えになるが、骨が折れたら専門家に修復してもらうように、心身の誤作動が生じたらその専門家に調整してもらうことが必要になるということである。単にメンタル面が関係しているから、メンタル面を強化すればよくなるという問題ではない。

あくまでも心と身体の関係性に生じている誤作動の問題だということをご理解していただきたい。

我々が注目しているのは、神経学的、あるいは生体エネルギー的な誤作動であり、精神論的な考え方の良し悪し、あるいはメンタル面の強い弱いではない。

患者さんの中には、最初からメンタル面の改善を求めて来院される方もいらっしゃる。そのような患者さんに対しても、やはり、心身バランスの誤作動の調整にフォーカスして施術を継続していると、結果的にメンタル面の問題も改善される場合が多い。

あくまでも「メンタル面の良し悪しではない。」「精神が強い弱いという問題ではない。」ということ繰り返して強調しておきたい。

これは、身体だけの機能を診る調整ではなく、メンタルだけにフォーカスする心理療法でもない。これは、身体とメンタルの関係性による誤作動を調整する治療法である。現代医療の隙間を埋める医療といっても過言ではないだろう。

私達人間は、この心身の誤作動を知らない間に創り出してしまう。知らない間にその誤作動が自然に調整される場合もあれば、慢性的に誤作動が継続してしまう場合もある。その場合は専門家に施術してもらう必要がある。

慢性症状が長い間続くと、その誤作動は一つや二つではなく、複数が絡み合っていることが多い。その場合、消去法のように誤作動を少しずつ消すように施術を繰り返していく。すると、誤作動が段階的に消えていくと同時に、症状も段階的に改善されていく。

このような施術は、患者さんとの信頼関係が必要不可欠である。そのためは施術者自身がこの施術法をしっかりと理解していくことが大切だろう。分かったつもりにならないで、本当にこの理解でいいのかという謙虚さも持ち備えながら繰り返しテキストや講義内容を復習し、この施術法の本質を理解していただければと願う。

このような反復学習の繰り返しによってこの治療技術がご自分の血肉となり、患者さんとの信頼関係の密度も増してくるのだろう。

2012年10月8日月曜日

PCRTアドバンス1研究会報告(その1)

先週末、PCRTアドバンス1研究会を開催し、今回も熱心な先生方にお集まりいただいた。予想通り盛り沢山な内容になり、消化不良も否めないといった感じだった。来年度からは、消化不良にならないようにプログラムを見直していく予定。

教える側についつい「分かっているだろう」という思い込みがでてきて、大切なところを端折ってしまっているということに後で気づかされる。学ぶ側の理解度を知るためには、教える側から学ぶ側へ幅広く質問を投げかけることが大切で、もっと質問を多くしなければ、その隙間は埋まらないだろうということを改めて学ぶことができた。

これは、特に教える側に問題があると思う。理解しているかどうかの確認のための質問を鋭くしていないので、学ぶ側も「分かっているつもり」になってしまい本当に伝えたいことが伝わっていないということがある。

もしも、教える側の意図する内容が伝わっていなければ、説明の仕方を変えなければならないということである。研究会では、毎回のように新しい研究成果を発表させていただいているが、その研究は、まったく新しい施術法というよりも、前の研究成果の延長線上であることが多く、前の研究内容を深く理解していなければ、その新しい研究内容も理解しがたいということになる。

人間の身体は未知な部分がたくさんある。ある脳神経学者がいうには脳神経科学の研究で分かっていることは1割にも満たないという。それは科学的に理論づけられない神経学的な反応、あるいは生命エネルギー的反応が、脳・神経系の世界にはまだまだたくさん隠されているということでもある。

世間一般では、科学的な証明、科学的な根拠があるから信頼できるという判断があるようだが、一割にしか満たない科学的理論ばかりを根拠にするということは、既成概念にとらわれてそれ以上の概念が生まれにくいということにはならないだろうか?

もちろん、すでに科学的に証明されている理論は大切であり、その理論を活用することで新たな発見もある。しかし、まだまだ知られていない脳・神経系の理論がたくさんあるという前提で研究を進めていかないと、効果的な成果は望めないだろう。

今回紹介させていただいた、「持続振動調整法」によって新たな治療概念が生まれたのではないかと考えている。筋肉系の検査で機能的に働いているかどうかの検査は広く知られているが、機能的に筋肉系が弛緩、すなわち正常に緩んでいるかどうかの検査は知られていない。この検査、治療法は、臨床上とても重要であり、今まで臨床的に活用されていない部分でもある。


恐らくこの手法は幅広く臨床で応用されることが予測される。この手法で多くの患者さんに喜びを与えていただければと願う。

その2につづく・・・・

2012年10月4日木曜日

自由というルールの鳥かごにいる自分

「自由という鳥かごの中に自分がいるような気がする」

これはある患者さんが気づかれたコメントでした。

誰にも束縛されることなく自由に生活ができているその一方で、自分でレールを敷いて、どの方向へレールを向けるか、ルールを決めて生きていかなくてはならないという責任。そこには義務が伴い、自由であるはずの自分が自由でないような感じになってくるという矛盾に気づかれたとのこと。

また、自分で敷いていくレールも本来はいくつかの選択ができるレールがあってもよいはずであるが、一本のレールしかないような錯覚をしていたとのこと。その背後には「変化」することに対して過敏になっている自分に気づいたとのことだった。

この患者さんは、症状に関連する「緊張パターン」を通じて自分の生き方や人生についての気づきを得ている様子。どのような生き方がいい悪いという議論もあるだろうが、まずは、自分に合った生き方を見つめなおし、現実の社会にうまく適応し、調和できるように変化していく段階なのかもしれない。

急ぐことはない、自分に合ったペースでゆっくりと適応すればよい。

人は自由を求めるが、いざ自由を与えられたとき、何をすればいいのか、どの方向に行けばいいのか分からなくなる傾向もある。自由という「考え方」に縛られるということもあるだろうし、何が自由なのかが分からなくなるということもあるだろう。

人は多かれ少なかれ、何かの組織に属していると言えるのではないだろうか?例えば、夫婦、家族、サークル、グループ、学校、会社、団体、都道府県、国、地域、地球という具合に、何らかの組織に属している。

ただ、その組織には、ルールが存在するから自由が奪われているように感じる。例え無人島で一人で自由に生きていくにしても、自分で作ったルールに従って生きなければ、自然環境に適応できなくなるだろう。そこには自然という厳しいルールがあるからである。

人は人と関係し合いながら生きている、そして、その関係性にはルールが伴う。自分が作ったルール、他人が作ったルール、組織が作ったルール、あるいは表にはでない暗黙のルールというものもある。そのように考えると自由というものはルールがなければ存在しないということがいえるだろう。

逆にいえば、ルールがないところには自由というものは存在しないということにならないだろうか?自由という何らかの欲望を実現するためには最低限のルールが必要なのだろう。ルールがあって初めて、自由という欲望が現実に満たされる。

本当に自由を感じられる人は、大なり小なりの組織の関係性の中で自分と他人、あるいは組織のルールを明確に認識しながら、互いのルールを尊重し、互いのルールをすり合わせながらうまく適合させていくことで、自由という欲望を生み出しながら生きていく人なのかもしれない。



戦争のない平和な社会では、人との関係や組織との関係を持つか持たないかの選択の自由は平等に与えられている。一人であろうが他人や組織との関係性の中で生きようが、ルールというものは存在する。そして、そのルールを尊重し合わなければ、本当の自由はありえないということなのだろう。

2012年9月21日金曜日

治癒力のスイッチと誤作動(エネルギーブロック)

人間は本来自然治癒力を持ち備えています。病気や様々な慢性的な症状を抱えてしまうとついついそのことを忘れてしまいがちになります。

慢性的な症状がなぜ続くのか?それは、簡単に言えば、本来機能すべき「治癒力のスイッチ」が入っていないのです。「治癒力のスイッチ」を止めているものは何でしょうか?それは、身体のすべての働きをコントロールしている脳・神経系の誤作動です。

この誤作動は目に見えて分かるような機械的な誤作動ではなく、エネルギー的な誤作動です。電気信号の伝達異常や電波の周波数がうまく合わずに、ラジオの音声に雑音が入っているようなものです。

ニューロパターンセラピーでは、このようなエネルギー的な誤作動(エネルギーブロック)を検査して調整します。調整の目的は、生体内外の電気信号がうまく伝わるようにチャンネルを合わせるようなものです。

症状の程度や慢性症状を抱えている期間の長さなどで、身体に学習記憶されている誤作動の数は様々です。誤作動の数が多ければ多いほど施術回数が必要になります。

施術を繰り返し継続することで、消去法のようにこの誤作動反応が消えてゆき、少しずつ「治癒力のスイッチ」が入るようになってきます。

そして、この「治癒力のスイッチ」を持続的に入れていくためにも、身体のメンテナンスが大切になります。自動車や飛行機のメンテナンスを怠ると故障しやすいのと同じ理屈です。

また、人間は本来、自然治癒力と共に学習記憶という機能も持ち備えております。一度、治癒力が引き出せなくなる学習記憶をしてしまうと、その身体に染みついたクセを変えるためにはそれを修正する時間が必要です。

枯れた盆栽を生き返らせるには一日ではできません。盆栽に必要な栄養分と適度に鋏を入れながら手入れが必要です。盆栽を枯らさないコツは繰り返し鋏を入れて手入れをすることだといわれています。鋏を入れることで適度な刺激を受けて、生命力を保っているのでしょう。

人間も同じで、慢性的な病気や症状から回復させるためには、時間を掛けながら適度な刺激が必要です。施術を通して、適切な刺激を繰り返し受けながら治癒力のスイッチを全開させて健康を保ちましょう。

2012年9月10日月曜日

2012年度PCRTアドバンス1のご案内

心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)代表の保井です。

今度の9月30日と10月1日に開催されるアドバンス1でご紹介するトピックは以下を予定しております。

 言語神経反射検査
 五感パターン
 感情チャート
 パターン振動
 呼吸法に関して
 セルフイメージの検査、施術法
 交通事故によるトラウマ
 スポーツ障害
 心因性視力障害
 脊柱関連症状(腰痛、肩こり、頸部痛、背部痛など)
 顎関節症
 頭痛

上記の項目をご紹介する前に、最近開発したハード面の新たな施術法もご紹介させていただく予定です。ブレインマップ、持続圧振動法に続く新たな手法です。

いつものことですが、新たに施術法を開発した後、そのネーミングを何にしようかと考えます。今回のネーミングは、「持続振動検査治療法」とします。そして、前回ご紹介した「持続圧振動法」を「持続圧検査治療法」に変更したいと思います。

今回ご紹介するその「持続振動検査治療法」は、シナプス前促通の概念に対して、シナプス前抑制の概念が関与しているのではないかと考えています。臨床的に分かりやすくいうと、筋肉系を緊張させる興奮性シナプスの誤作動に対して、抑制性シナプスの誤作動を検査して施術する治療法であるといえます。

つまり、筋肉を働かせる神経系の誤作動に対して、筋肉系を緩める神経の誤作動の施術法になります。この施術法の理論的背景は仮説ではありますが、臨床的に患者さんには分かりやすく説明できるようです。

「本来、リラックスさせる(緩めるための)神経の働きが悪いのですよ・・・」という具合に説明すると患者さんも納得されます。恐らく施術者にとっても新しい神経生理学的概念での施術法になるのではないでしょうか?

今までご紹介したハード面の施術法と同様に即効性がありますので、筋骨格系の症状がある患者さんにはとても効果があります。

新たな施術法を発見するたびに、早くご紹介したくてワクワクしています。でも、それをシンプルに分かりやすく説明するにはいつも一苦労します。

そのハード面の施術法以外にもPCRTの特徴でもある五感パターン、感情チャート、言語神経反射検査のご紹介、さらには症例別のアプローチの仕方をご紹介させていただきます。

いつも盛りだくさんになる傾向があるので消化不良にならないように工夫したいと思います。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

2012年9月4日火曜日

先生、今日は「念」が入っていますね・・・

「先生、今日は念が入っていますね。」
施術が終わるころに、一人の患者さんがさりげなく話された。

以前、その患者さんとの遠隔施術の時に、「念」についての話題がでてきて、互いに共感し合っていたので、その患者さんが何を意味しているのかピンときた。

・・・ということは以前の施術は念が入っていなかった???
他の患者さんも「念入りに治療をしてもらわないと・・・」なんて、冗談半分にいわれることがあるが、いつもどの患者さんにも基本的な治療院のルール(時間など)の中で念入りに治療をしているつもりだが・・・・

その後、自分自身の心の動向を冷静に客観視してみると確かに念が入っている時と入ってないことがあることに気づかせていただいた。今回、「念が入っていますね。」といわれたのには理由がある。

それは、いつものパターンではあるが、新しい施術法を発見して、それをできるだけ多くの患者さんに試して、その効果を再確認したかったのと、その施術法で患者さんに喜んでいただきたかったという理由があった。

振り返るといくつもの施術法を生み出すたびに、そのたびにワクワクして施術に念が入っていただろう。そして、その施術法の効果が当たり前になってくると、効果が出るのが当たり前だから念も入らなくなる・・・

自分にはそのようなパターン(心の習慣)があることは以前から分かってはいたが、それが直接的に患者さんに影響を与えていたのだということを、今回は真摯に気づかせていただいたような気がする。

「念」とは目には見えないものであるが、それを込めるかどうかでは様々な成果が異なるだろう。治療院の経営も、患者さんの満足度を高めるために治療技術の向上やコミュニケーションスキルの向上が重要であるが、そこに情熱がプラスアルファーされなければ患者さんへの真の満足度へとつながらないだろう。

情熱とは、私流にいえば真心であり、今回気づかせていただいた「念」を込めるということもその情熱に含まれるのだということが自分なりに理解できた。今後は、治療院の公平なルールの中で、いかにして一人一人の患者さんへ「念」を込めることが出来るかを工夫していきたい。

また、たとえ目の前に患者さんがいなくても、離れている患者さんの健康を願って念を込めることも大切だと思う。不思議な話ではあるが、その後でその患者さんから予約の電話が実際に入ってくることもあったりする。

やはり、目に見える人に念を込めることも大切だが、目には見えないところで念を込めることの方がもっと大切なような気がする。

「念ずれば花開く」
これは詩人、坂村真民さんの詩の一句である。よく引用される名句ですが、この句に隠されている意味はとても奥深いように思う。

「念」というのは貯金のようなもので、一度や二度願いを込めたからといってその願いが成就するわけではないだろうし、そこに自分の欲得のための邪念ではその念も真逆に振り返ってくるだろう。

純粋な「念」の貯金は増えたり減ったりして一向に貯まっていない気もするが、純粋な心で、邪念を無くし、ご縁のある人から組織や社会のための成長や健康、安全を念じ続けられる自分になりたい。

(坂村真民さんの自筆の画像はサイトから引用させていただきました。ありがとうございます。)

2012年9月1日土曜日

6~7年以上抱えていた膝関節の問題

30代の男性が、交通事故による腰痛を訴えて来院。腰痛の方は数回の治療で完治したが、6年ほど前より膝の症状があるという。いつもスポーツをしているタイプの男性で、毎日走っているとのこと。走ったりすることで膝に症状がでたりはしないが、深くしゃがみ込むと常に左膝に違和感があるという。

本人によるとこれは構造上の問題で手術をしなければ治らないとあきらめていたとのこと。膝の検査を細かくしていくと、筋肉系のアンバランスな反応が多く示された。その異常反応への治療を継続していくうちに、6~7年抱えていた膝の違和感がほとんど解消された。構造異常の問題だと諦めていたのでとても喜ばれていた。

一般的には関節に痛みなどの症状があると、関節の構造上の問題に目を向けて、レントゲンやMRIなどの検査で構造異常が分かれば、その構造異常=痛みの原因と結びつけて外科的な手術を行ったりする。しかし、慢性的に生じた関節痛の多くの原因は、筋肉系のバランス異常であると私達の仲間の自然療法家は考えている。

骨や軟骨の変形は、筋肉系のバランス異常が慢性化した結果であり、関節は本来動かすために存在するので、その関節の機能に異常をきたすと、関節を構成する骨と骨同士がつながろうとして、鍾乳石のように骨にとげがでて変形がでてくるのだと考えられる。

関節の変形が直接的に痛みの原因になることもあるかもしれないが、バランス異常が原因で生じた骨や軟骨の変形が直接的に症状の原因になることはかなり少ないのではないかと考えられる。構造異常が症状の原因だと決めつけることは簡単であるが、それは本質的な原因ではないことは、臨床家による多くの改善例や最新の科学的文献からも指摘されている。

まずは関節をコントロールしている筋肉系や神経系のバランス調整を試みて、それでも症状が改善されなければ関節構造を修正するという選択肢も考慮してはどうだろうかと思う。

2012年8月31日金曜日

食事制限による成長不良

先月、1歳半の男の子が来院。最初はお母様よりお子様のアレルギーのことで相談を受ける。生後数か月後から湿疹の症状があらわれ、最初の病院ではステロイド治療などを受けて一時症状が改善される。その後、症状が悪化して他の病院で治療を受ける。そこでは主に除去療法が中心で6か月ほど入院されたとのこと。

生後、10か月より体重が増えていないとのことで、このまま体重が増えなければどうなるのだろうと深刻に悩まれていた様子。食事制限をかなり厳しく行われているとのことで、食べているものが随分と限られている印象を受けた。

乳幼児の場合、お母さんの健康状態も影響を及ぼすので、一緒に施術を受けて頂いた。食事を中心にしたアレルゲンとそれに絡んだ感情面を特定しながら、食事全体が身体のバランスに影響を及ぼさないように施術を行った。

施術を開始して、徐々に改善傾向へと向かい、今まで制限していた食品が食べられるようになり、体重も1キロほど増えて、お母さんも安心された様子。まだ卵やその他の食品にアレルギー反応は示されるが、施術前に比べると、メンタル的にも安定感が出た様子。

様々な医療情報が錯綜する中で、何を信じていいのか分からなくなってしまったのだろう。西洋医学では科学情報が基本になり、科学というモノを基本にするあまり、様々な情報が錯綜してしまう。
科学的情報は大切な情報ではあるが、それが医療のすべてではなくほんの一部分にすぎないという認識が大切だろう。科学的医療が全てであるかのごとく盲信してしまうのは危険である。

科学はとても進歩しているのは事実であるかも知れないが、かといって生命体の病気、健康のことが全て解明されているわけではない。人間の生命体にはまだまだ解明されていないことがたくさんある。

自分の健康を自分で守るためには、医療技術を信じるよりも、まずは自分の身体の治癒力を信じることが大切である。その上で、自分の体調に応じて自分にベストな医療を選択することが必要だろう。

人間は本来、時間の経過とともに治るという力、すなわち自然治癒力というものを持ち備えているということを忘れないでほしい。我々自然療法家は、その治癒力の扉を開き、本来の生命力を発揮させるお手伝いをさせていただいている。

健康を損なったとき、この自然治癒力を発揮させる有機生命論的医療を選ぶのか、機械構造論的医療を選ぶのか、その時々の症状によるだろう。どちらがいいとか悪いとかの問題ではなく、もちろんどちらが優れているか否かの問題でもない。

けがをした時に機械構造論的医療はとても効果を発揮してくれる。しかしながら、原因が分からず知らず知らずに自然に病気になった場合などは、有機生命論的医療を選択して自然治癒を引き出して治していくのが賢明かもしれない。

今回の症例では、身体に合わないものを除去して、症状を押さえてしまう機械構造論的医療では結果的には改善にはつながらなかった。有機生命論的に合わないものを身体に調和させて自然治癒力を引き出すことで症状が改善された。

このような自然治癒力の効果をもっと多くの人に知っていただき、気軽に利用していただける環境を目指して、医療に貢献できればと願う。

2012年8月11日土曜日

012年度、45周年AMI instructorカンファレンス レポートその3

カンファレンス3日目の朝、ライフカイロプラクティックウエストの学長によって将来のカイロプラクティックが関わるヘルスケアの再構築に関するプレゼンテーションがあった。その後、カイロプラクティック業界では著名な研究者であるDr. John Trianoによってメカノトランスダクション【mechanotransduction】についてのプレゼンが行われた。メカノトランスダクションとは機械的刺激(情報)を生化学的シグナルに変換すること。
私は数年前より筋膜や硬膜などの軟部組織への神経学的な誤作動を発現させるために、ストレッチや持続圧などの手法と合わせて、圧迫、伸展、振動など局所的な力学的な刺激を加えて検査、ならびに施術に応用して臨床的な研究を積み重ねてきた。この臨床研究とトランスダクションの科学的研究はとても関連性が深いと直感的に感じた。

臨床家達は臨床現場では施術の効果の有効性を毎日のように感じながらも科学的な根拠が乏しい。近年注目されているこのトランスダクションというメカニズムの解明は、我々の施術効果を細胞や分子レベルにおいて科学的な根拠に基づいて裏付けしてくれる可能性が大いに高い。将来、このトランスダクションの研究が広く発展し、我々の施術効果が科学的な根拠にも符号しているということが広く知れ渡ることを期待したい。

その他、Dr. Louis Sportelliという50年以上もカイロプラクティック業界に携わっているドクターのプレゼンもあった。米国のカイロ業界の会長や世界カイロプラクティック連合の会長などを歴任し、現在では多くのカイロプラクターが加入する保険会社の会長を務めている大御所である。余談ではあるが、他のプレゼンターの講義がある際、カイロプラクティックを謙虚に学んでいる姿勢に感心させられた。

アクティベータ・メソッドの本の編集にも携わっているDr. Regecca Fishcherによって、Track 3 アドバンスの最新の教材がプレゼンされた。その後、実技のテーブルに分かれて、最新のアイソレーションテストの疑問点や問題点を出し合ってノートに書き込み、そのノートを回収して再編集に使う予定。教科書になるまでには様々なプロセスを経て、修正を繰り返しながら、臨床の現場で患者に喜んでいただけているのだと再確認することができた。

その他いくつかのプレゼンテーションの後、インタビュービデオがスクリーンで紹介された。それは、アクティベータ器によって奇跡的に昏睡状態から回復されたという体験談をもつ女性へのインタビューだった。その女性の顔がなんとなく私の隣に座っているドクターによく似ていると思いながら尋ねてみると、驚いたことにその本人だった。今回はそのような特別な意味があって招待されたらしい。そのドクターは、カイロプラクターになる数年前、今から18年ほど前に事故で9か月間昏睡状態になってしまい、病院で入院生活を送っていたとのこと。病状に変化がなく母親は藁をもつかむ思いで、以前通院していたカイロプラクターに何とかできないかと治療を依頼したらしい。

その時は、治療を依頼されたドクターも回復できるのかどうか半信半疑だったがアクティベータ器を使って環椎を施術したところ、それから奇跡的に意識が回復したという。アクティベータ器によって命を救ってもらったので、アクティベータ器を使うドクターになりたいという思いを胸にカイロ大学へ入学し、現在では命を救ってくれたそのドクターのクリニックでパートナードクターとして勤務しているとのこと。

我々は、昏睡状態の患者に施術を依頼されることはないので、昏睡患者を治療することはほとんどない。しかし、恐らく効果があるのだと思う。我々の治療の対象外だという思い込みがあるだけかもしれない。別のカイロプラクティックテクニックでも施術によってこん睡状態の患者が覚醒したという話を聞くが、恐らく共通しているのは脳・神経系への振動による刺激だろう。やはり、自然治癒力、すなわち、生命エネルギーの力は「振動」と深く関わりを持っていると思う。今後もアクティベータ・メソッドの潜在的な可能性に大いに期待したいし、私の臨床研究のコンセプトである「振動」というテーマをさらに深めていきたい。

この米国のカンファレンスと同時期に、東京では通常のAMセミナーが開催されていた。そこで渡米前にAMJのインストラクターたちと話し合い、スカイプを使って米国のカンファレンス会場から東京の会場へ最新情報を伝えることを計画していた。カンファレンスでドクターファーにスカイプでの交流を依頼したところ、快く引き受けてくださり、実現することが出来た。途中、音声がうまく伝わらないこともあったが、ドクターファーが、リアルタイムで会場のスクリーンに登場したことは受講者にとってサプライズであり、とても喜んでいただけたようである。日本国内で私が不参加のセミナーは初めてだったが、菊地マネージャーのリーダーシップによって、他のインストラクターの先生方が一致協力して、充実したセミナーが開催されたとのことだった。

カンファレンス最終日の夜には、ディナーパーティーが開催された。パーティーでは45周年の記念式典が開かれ、グローバルに発展するドクターファーの功績とその歴史に関わるドクターたちが称えられた。また、現在、米国内で活躍しているディレクターやカイロ大学のインストラクター、並びに世界各国で活躍しているインストラクターが表彰された。私も日本を代表して「International Director of the Year」と「International Development Ward」という二つの賞をいただいた。一つは国際的に最も活躍したディレクターという表彰で、もう一つは国際的な発展に貢献したということで、イギリスのインストラクター達と共に表彰を受けた。

この表彰の陰には日本のインストラクターをはじめ、事務局のスタッフ、並びにそのメンバーを支えてくれている家族の力は大きい。また、毎回熱心にセミナーを受講して下さる先生方やアクティベータ・メソッドを利用してくださる患者さんたちのネットワークのお蔭だと思う。来年度はドクターファーの来日セミナーが計画される予定。今後もさらにAMI社との信頼関係を保ちながら、アクティベータ・メソッドの啓蒙に貢献することができればと願う。

2012年8月10日金曜日

2012年度、45周年AMI instructorカンファレンス レポートその2

二日目からはすべてのインストラクターが集まって、オープニングセレモニーが荘厳な儀式で開催された。そして、ドクターファーによるイントロダクションの後、パーカー大学学長のドクター・マンシーニが次のプレゼンターとして紹介された。彼は34歳の最年少でユニバーシティーの学長に就任したことで話題となり、現在、テレビやユーチューブなどのメディアを通じてカイロプラクティックをアピールしている。テレビに出演した際の裏話や今後どのようにしてカイロプラクティックの業界を発展させるか将来の抱負を述べていた。
パーカー大学はカイロプラクターの経営面に力を入れているカイロ大学でもあり、ドクター・マンシーニは、開業を成功するための秘訣などもプレゼンされた。日本のAMセミナーでも紹介していることではあるが、以下のことを強調していたのは印象に残った。

 一人一人の患者に対して、最も重要な人であるかのように接する。(その人の存在を認める)

 患者が何を求めているのかをしっかりと把握する。

そして、成功するためには何を得たいかよりも、どのようになりたいのか?どのような行動をしたいのか?を考えることが先決で、理想の人をモデリングすることが近道であることを強調していた。まずは、理想とする人の行動をまねることから始める。その人が得ているものではなく、その人の行動をまねる。さらにはその人の習慣をまねることが重要で、成功するためにはそれなりのプロセスがあり、そのプロセスをまねることが成功の秘訣であるということを述べていた。

生き残ることに情熱を持つのではなく、人に仕えることに情熱を持つことが大切で、人に仕えることで自分が守られるということを強調していた。さらに、現代社会ではネットを開けば様々な情報を得ることができるが、そのような情報を得ることに情熱を費やすことよりも、直接人や聴衆に会うことが大切であると述べていたのが印象的だった。

Dr. Gregory Kawchukは、脊柱のスティフネス(凝り)とその効果や振動診断学の研究をされている研究者。ヘルニアなどがある際、生体の振動数などがパターン的に変化するなどの研究をしている。信頼度の高い研究をするためには、生きている生体を同じ条件にすることが求められる。同じ条件を再現するために、生きている動物の背骨にピンを刺して、矯正の瞬間に生体内の組織ではどのような変化が生じているのかをロボット工学の技術を使って分析したデータが発表された。ヘルニアや変性などの障害のある椎間板には特徴的な波長のパターンがあり、そのデータはとても興味深かった。

インソールの研究と販売を行っているフットレベラーの会長のプレゼンでは、今年からアクティベータ・メソッドと共同で販売を促進するとのことで、足のスキャナーや研究データなどがプレゼンされた。やはり、科学的な研究によるデータには説得力があると改めて感じさせられた。

次は、著作権専門の弁護士によるトレードマークの活かし方の説明や、メディケアという米国の65歳以上の人や身体障害者などを対象とする医療健康保険制度に関する最新情報。日本で開業している私には直接的にはあまり関係ない情報ではあるが、共通する問題はたくさんあるように感じた。

そして、いよいよ今回の目玉となるアクティベータⅤがドクターファーによって紹介された。今までの手動による器具から電動に進化したため、形状も大幅に変化した。このアクティベータⅤが開発されるまでには6年の歳月が費やされたといい、開発途中には数多くの失敗があったというエピソードなども紹介していただいた。

今回公表されたアクティベータⅤには大きく3つの特徴がある。

 最初の特徴はコードレスである。現在市場にでているカイロプラクティックの矯正電動器具のほとんどはコードがついている。そのため施術者の動きに支障が生じる。アクティベータⅤは充電式を取り入れているため、コードレスで従来の器具と同じような動きで施術ができる。

 次の特徴は、振動器具先端とグリップとの角度である。他の電動器具の多くは電動ドリルのように先端とグリップとの角度は90度に近い角度であるが、アクティベータⅤの角度は、関節面にコンタクトしやすい工夫と、手首への負担を軽減させるための角度が配慮されているとのことである。

 最後にアクティベータ振動器具の研究課題の中で重要なポイントとされるのは、機械的受容器に影響を及ぼす振動周波数である。人間工学の研究者との開発で機械的受容器への振動周波数の重要性が明らかになって以来、理想的な振動周波数の研究開発が進化し、今回公開されたアクティベータⅤではその理想的な数値がさらに高くなったとのことである。

このアクティベータⅤが繰り出す振動は、従来のハンマーで振動させるバネ式のパーカッションフォースとは異なっており、ソレノイドという仕組みから繰り出される周波数が特徴らしい。ソレノイドとは電気的エネルギーを直線運動の機械的エネルギーに転換する コンバーター。コイルで鉄の芯を動かすような仕組みとのこと。つまり、電気信号で機械的な作用を行なわせるような用途に使うもの。

ポジティブな側面の一方でネガティブな側面もあるだろう。器具である以上は故障がつきものである。どのように故障が生じるのか今のところ見当もつかないが、ある程度の想定はしておきたい。振動を繰り出すのはボタンを押すだけの操作なので力はいらないが、器具全体は以前の手動器具よりも重くて大きい。

あえて言えば、一つ一つの矯正後にアクティベータⅤを置く場所に少し気を使う。慣れていないせいもあるが、以前のようにホルダーに入るような大きさではない。臨床で使ううちに色々な問題や改良点が多々あるのではないかと予測されるが、少しずつ患者さんに使って、実際の効果を確認していきたい。

ドクターファーによるアクティベータⅤの開発の経緯が紹介された後、その開発研究に携わったMichael Liebschner,Ph.D.によるプレゼンが行われた。彼は脊椎バイオメカニックスやバイオメディカル工学の専門家でもあり、現在は医学部で脊柱・骨バイオメカニックスやバイオ・メディカル・エンジニアリングを研究しているとのこと。アクティベータⅤの効果を科学的に裏付けるデータなどを紹介していただいた。

その後、アクティベータ・メソッドを基本にしたクリニックで週に400人以上の患者を診ているドクターによるプレゼンテーションが行われた。クリニックはオープンスペースで施術テーブルが3台あり、ドクターが施術をする際には患者がすでにうつ伏せですぐに開始できる状態。一人の患者にかける時間は2~3分で、患者に必要なことを問診して、必要なところに矯正を行い施術を終える。患者とのアイコンタクトもほとんどないらしい。

施術では特に無駄な動きがないように工夫されているようで、そのポイントもいくつか紹介してくれた。当たり前のことではあるが、治療をするかしないかの選択をするのはすべて患者で、それを終えるかどうかを決めるのも患者の選択であるというコメントは印象的だった。また、患者に真摯に仕えれば、患者は真摯に答えてくれるというコメントにも深く共感することができた。

その後、アクティベータⅤを使った実技をインストラクター同士で行った。インストラクターがそれぞれにアクティベータⅤを使った感想を述べ、その可能性について期待を寄せていた。(その3に続く)



2012年8月9日木曜日

2012年度、45周年AMI instructorカンファレンス レポートその1

AMI instructorカンファレンスのレポートを書くのは久々になる。1997年に30周年記念のAMIインストラクターカンファレンスに招待していただいて以来、毎回招待していただいていている。2007年度の40周年記念のカンファレンス開催後は毎年のカンファレンスは中断され、今回は5年ぶりにカンファレンスが再開された。2012年度の今年は45周年記念のカンファレンスとなった。5年ごとの記念式典に毎回出席させていただくことが出来、アクティベータ・メソッド発展の歴史に触れる機会を与えていただけることをとても光栄に感じている。

水曜日の午前中の診療を終え、夕刻に福岡空港からハワイ経由でAMIインストラクターカンファレンスが開催されるアメリカのフェニックスへと飛び立つ。途中、ハワイ空港でフェニックス行の飛行機が8時間も遅れるというハプニング。会場のホテルにカンファレンス前日の夜中に到着するはずが、カンファレンス当日朝に到着するということになってしまった。

しかしながら、ハワイアン航空会社の配慮で、ワイキキビーチ近くにあるマリアットというホテルでディナーを提供してくださることになり、3時間ほどワイキキビーチに滞在することができた。思わぬハプニングではあったが、ハワイでプチバケーションを楽しむことができた。そのレストランは、初めて日本の先生方とアクティベータのハワイセミナーへ参加した時のホテルのレストランだったのでとても懐かしく感じた。

一日目、カンファレンス開催の約1時間前に到着して、ホテルで朝食をとりカンファレンスに参加。前回の40周年以来、5年ぶりに米国のインストラクター達との再会を歓び合った。1997年から遠距離ではあるが15年来のお付き合いである。私はすでに古株に属しており、カンファレンスでの再会はそのたびに国境を越えた不思議なつながりを感じさせてくれる。

全米のインストラクターと世界各国のインストラクターが100名以上参加とのこと。今回予定されているプレゼンターも一流の講師陣。初日の講義は、各地域のディレクターやカイロプラクティック大学の講師たちを対象に、コーチングやコンサルタントを行っている人間行動科学の専門家によって行われた。

カンファレンスの数か月前にはインストラクター全員にネットを通じて行動と動機付けに関するアンケートが行われており、会場では47ページに亘ってまとめられていたレポートがアンケートを受けたインストラクター一人一人に配布された。このレポートは行動科学に基づいており、自分自身の強さと弱さを客観的に理解することでより効果的な行動や人間関係に役立てるというもの。

次はリーダーシップの研究に関する専門家によるプレゼン。参加者のほとんどがリーダーであり、リーダーシップに関する幅広い研究はとても重要である。私は、数年前より治療技術の研究と合わせて、コーチングやリーダーシップ論の勉強も行ってきているが、単に治療技術だけに限らず、人との関係性や治療院や組織をいかにして有機的に発展させるかは私たちの重要課題であり、すべてはリーダーに組織を守り発展させる責任がある。

今後、大きな組織のリーダーに限らず、治療院の院長もリーダーシップ論やコーチングの勉強はとても重要になるだろう。治療技術の習得だけにとどまって、人との関係性や治療院や組織がうまくいかなければ、その治療技術は宝の持ち腐れということになる。今後も、リーダーシップ論やコーチングは治療技術の研究と同様に両輪のごとく学んで社会地域の人々に幅広く貢献することができればと再認識することができた。( レポートその2に続く)