2020年10月1日木曜日

ピンチをチャンスに変える調和

最近ではコロナウイルス感染者数の数が段々と減少傾向にあるものの、まだまだ油断ができない状況が続いています。緊急事態宣言が発令されてから、ほとんどの人がマスクを着用しています。マスクをするのが当たり前で、していない人の方が目立つというような状況は以前では考えられないことでした。特に人との接触をできるだけ避ける様にするということ自体が大きな変化です。この様な変化の時にこそ、ピンチをどのようにチャンスに変えていくのか、その心構えが問われているのかもしれません。

今回の危機を乗り越えるために今何をすべきなのか?今までにない大きな変化の中で何を考えどのように行動すべきなのかが問われているのかもしれません。この様な厄介なウイルスも大自然の中の一部であり私たち人間が共存していくべきモノと言えます。しかしながら、このような状況になると、できるだけ“悪いモノ”を避け、攻撃するという思考が働きやすくなります。その思考は人間関係においても知らず知らずのうちに、“悪いモノ探し”のように「対立」を生じさせる傾向があります。「対立」・「避ける」よりも「共存」・「受け入れ」の方が大自然との調和という観点から言うと健康的だといえます。

 

人間も含めて、“生き物”は閉鎖的になると不健康になります。心も身体も開放的な健康を維持するためには適度な心と身体の“動き”が必要です。それは身体や脳への適度な刺激です。特に人間は刺激を必要とする生き物です。“刺激”は生命体のエネルギー源でもあります。もしも、何もない閉鎖空間で動きや刺激がなくなると生命体は不健康になります。身体の健康を維持するためには適度な運動が必要です。人は往々にして“楽をしようとする”傾向が誰にでもありますので、今回のコロナ禍は、活動をしない言い訳になっているかもしれません。活動しないことが習慣になると結果的に不健康の道へと進む恐れがあります。“しんどいな〜”と思っても少し頑張る習慣を身につけると、身体は自然に鍛えられ強化されていきます。よく、“無理をしないように”と相手をいたわる気持ちを込めて言いますが、少しは無理をした方が、身体には程よい刺激になり、強くしてくれる刺激として捉える方が健康的と言えるでしょう。

 

活動を止めてしまうと、精神的にチャレンジすることもあきらめてしまいがちです。人は生きていく上で、心の成長は必要不可欠です。心の成長のためには、自分の心にチャレンジすることも必要です。チャレンジすることでネガティブな感情も湧き上がってきますが、ネガティブな課題も成長の種になります。その種は目を逸らしたくなる様な課題かもしれません。でもその課題に向き合うことで成長の種は確実に育っていくことでしょう。誰の心にも自分では認めたくないネガティブな心が潜んでいるモノです。それが自然の姿です。大自然はすべてポジティブとネガティブで調和されています。昼があれば夜があり、晴れの日があれば、雨の日もあります。


私たちは人生を通じてネガティブな心と共存しながら心の調和を図り、成長し続けていく生き物です。心の健康を維持すためには、誰の心にもあるネガティブな心を受け入れて、その上でそのネガティブな心を、自分にとって意味あるものに書き換えること。すなわちその「解釈力」が問われているのです。そして、このような時期だからこそどのように解釈するのか、その究極的なポジティブ思考が問われているのかもしれません。


2020年9月18日金曜日

お陰様で(有)ライフコンパス創業22年

お陰様で(有)ライフコンパス創業22年

 

918日はカイロプラティック誕生の日、弊社ライフコンパスもこの日に因んで創業の日とし、今年で22歳になりました。ファミリーカイロプラクティックセンターを開業してからは26年になります。米国で発祥したカイロプラクティックは今年で125年目を迎えます。日本国内ではいまだにカイロプラティックの法制化が実現しないままではありますが、カイロプラクティックの恩恵を受けている者として、臨床現場でその灯火をつなげていくカイロプラクターでありたいと願っています。

 

今月9月号の「致知」という人間学を学ぶ月刊誌で「人の諭(さとる)ところはその習うところによる。習うところはその志すところによる。義に志すか利に志すかによって、ついに君子となり、小人となる」という文節が目に止まりました。開業当初は生活のため、あるいは小さな虚栄心のために、「利」の方へ傾きがちになっていたと思います。今でもそのような心が潜んでいるとは思いますが、生涯を通じて仕える仕事として、天命としてこの仕事に向き合う時、やはり目先の利益よりも「義」に尽くす姿勢が私たちを守ってくれている、来院してくださる患者さんが私たちの「義」に答えて守ってくれているということを心の底から信じられる様になりました。

 

私たちは患者さんとの利害関係で治療を行なっているわけですが、長い臨床経験を通じて、その背後に隠れている「義」を大切にするということが人生において肝心なのだということが見えてきます。これは人間関係すべてにおいて言えることではありますが、患者さんとの「義」をどれだけ大切にしていけるかが、私たちの人生や周りの家族に影響を与えているのだと思います。もしも、人生の品格を表す「品格の道」があるとするならば、その品格の道は「義」を大切にしている「道」でありたいと思うところではあります。しかし、時折、「義」を欠いているような行動をしているのではないかと、反省の日々を過ごしているのも事実です。

 

「義」を磨くためにはどうすればいいのか?簡単に答えられる問いではありませんが、あるとすれば、人間学の勉強に照らし合わせた日々の生活の経験から培っていくモノではないでしょうか。学問的に人間学の理屈を学んだからといって身につけられるモノではないでしょう。やはり日々の経験、体験を通して様々な思いを凝らして身につくモノだと思います。「人間を磨く」「魂を磨く」という言葉を時折目にしますが、それは、苦しいことと、辛いことの経験が染み込んだボロボロの布巾を通じてのみ磨くことができるということを肝に銘じておかなくてはならないと思います。

 

今後も、100年以上継続できる会社を目指して、自分の心、会社の心を磨いていく所存です。

 

今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

2020年6月3日水曜日

コロナ禍後のPCRTセミナーについて

コロナ禍の影響で、医療関係をはじめ、ビジネスや教育現場など様々に影響が及んでいます。LCAのセミナー活動も変化せざるを得ない状況で、LCAスタッフの協力を得て、セミナーに関係する動画配信を行っています。本年度からPCRT基礎1では動画による教材を販売しております。また、4月から「治療哲学」の動画を8本、「調整メカニズム」の動画7本撮影しました。現在、基礎2の動画も作成しています。

今まで動画の配信やオンラインセミナーには、「体験型セミナー」を重視するが故の抵抗感がありました。今回は必要に迫られてその準備をしてみると、今まで思いもつかなかったメリットがたくさんあることに気づかされました。

web講義のメリット
l  主催者側はある程度伝えたいポイントが正確に伝えられる。
l  受講者側は分かりにくいところは繰り返し観ることができる。

web講義のデメリット
l  ライブで質問ができない。
l  ライブでの気づきや受講者間の交流ができない。

上記のことも踏まえて、次回のPCRTセミナーでは、セミナー前のweb講義にプラスして16時間の実技セミナー(体験セミナー)を開催します。web講義だけだと、大切な「体験・経験」ができないデメリットは大きいと思いますが、web講義と連動して実技セミナー(6時間)を行うことでそのデメリットは解消されます。

受講希望者はセミナーを申し込まれると、実技セミナー前の予習教材として動画とデジタルのテキスト(PDF)で学習してもらいます。さらにClassroomというサイトを使って、セミナー前課題として、質問事項など記載していただき、課題(アンケート)を提出していただきます。実技セミナー当日にはあらかじめ動画で学習していただいた内容からの質疑応答をさせていただきます。セミナー後も課題(アンケート)をClassroomにご提出していただき、質問事項などは講師が答えて、後で受講者に動画で配信させていただきます。

初めての試みなので改善点は多々あると思います。今回の動画撮影に多大な時間を費やしています。スタッフ一同で様々な角度から考察と工夫を重ねており、恐らく今まで以上に学習効果が高く、より密度の濃い内容のセミナーになると信じています。


よろしくお願い致します。

2020年5月28日木曜日

LCA人間学勉強会を終えて「本質を見抜く

2020年5月24

今回のLCA人間学のテーマは「本質を見抜く」でした。本質とは何か?とても幅広く深いテーマです。私はセミナーで治療法を指導させていただく立場の人間として、以前から「本質的・・・」という言葉をよく口にしています。今回の勉強会を通じて、私が話している「本質とは何か」というその伝え方を改めて工夫しなければならないと思いました。

治療、施術に関しての「本質」というと、症状の原因は何かということ。対症療法に対して原因療法の方が、より「本質」といえるでしょう。でも、もしかすると、人によっては原因療法であれ、対症療法であれ治ることが「本質」であれば、治る過程や症状の因果関係などは関係ないと言い切るかもしれません。

このように考えると「本質」の正しい答えというよりは、その人それぞれに考える「本質」があるということにもなります。でも、私は症状が「なぜ治るのか、なぜ、治らないのか」にとても興味があり、治療家としてずっと結果を追求してきました。そのような意味では原因療法、本質的療法を追究し、ある意味ではそのことに執着してきた治療家だといえます。

治療家の中で根本療法といっている人に遭遇することがありますが、症状の原因と結果を追求すればするほど、「根本」とは言えない深い領域があることは認めざるを得ないと私は考えています。それが故に、「根本療法」とは言い難いところがあり、その方向性を含めて本質的療法という様にしています。

今回の「本質を見抜く」というテーマで、治療法に限らず、物事の見方捉え方において、本質を見抜くためには「蟻の目、鷹の目、魚の目」で多角的、多面的にみる観方も大切だという話もしました。「人生万事塞翁が馬」という「本質」に触れたことわざの様に、今はコロナ禍で不幸に悩まされても、その不幸が原因で幸運を引き寄せたという話はよく耳にします。

大切なのは、この困難をどのように受け止めて、どのように今を生きるか。私たち自身の「本質」が今問われているのだと思います。もしも、今回の禍を否定的にだけ受け止めるのであれば、それはあなたにとっての「本質」になるでしょうし、肯定的に受け止めるのであれば、それもあなたにとっての「本質」なのだと思います。

私は今回のコロナ禍によって、自分自身の成長が試されているような気がしています。「今までに考えたことのない『知恵』をもっとだせ」と誰かが叱咤激励している様な声が聞こえてきます。

2020年5月21日木曜日

環境に適応できる健康体質

令和2514

新型コロナウイルス感染症の影響で、外出制限や世界中の人々がマスクを毎日着用するなど、私たちにとっては初めての経験です。心も身体も閉鎖的にならざるを得ない状況です。人に限らず動物や植物などの生物が閉鎖的になると、内部の秩序(バランス調整)が乱れるということは様々な実験でも明らかです。生物は外部環境との調和の中で生かされています。そのような健康維持のための基本条件に制限がある状況ですので、いかにして、この様な状況でも健康を維持していくことができるかを考えなくてはなりません。

まずは、感染予防に関してですが、このことは連日の様にニュースで情報が入ってきますので語るまでもありません。心構えとしては、人と人との関わりの中で、「自分自身も無症状感染者かもしれない」という自覚をもって、人との接触には十分に注意を払うことです。今回のウイルスに関しては謎めいた情報が錯綜しています。分かっているのは通常のインフルエンザよりも感染力が強く、急変して死亡する人がいること、また、無症状の人もたくさん存在しているということです。

長年健康に関して研究している一人の治療者として、興味深いのは急変する様な重症患者と無症状患者や軽症患者の違いです。免疫系の違いと言えばそれまでなのですが、免疫系の何がどの様に違うのか?重傷者の多くはサイトカインストームという免疫系の暴走によって、正常な細胞まで攻撃されてしまい、容態が突然悪化するとのことです。これが起こる人と起こらない人の違いは何か、どういう人に起こりやすいのか、どうすれば防げるのか、残念ながらまだ分かっていません。

最近、欧米や日本国内での抗体保有率に関する情報が少しずつ明らかになってきており、無症状の感染者が思いのほか多い可能性が示されています。その一方、抗体ができてからもウイルス感染が持続するケースも結構あるようで、集団免疫ができればウイルスが収束するということでもないのではないかという見解もあります。であるならば、人類はインフルエンザと同じようにこのウイルスと上手に「共存」あるいは「共生」する必要性が高いということになります。恐らくそれを可能にしてくれるのはワクチンや命を守ってくれる新薬の開発です。それと大切なのは私たち自身の免疫力や適応力を上げなくてはなりません。

「ウイルスと共生するなんて、滅相もない・・・」と思う方もいるかもしれませが、命に影響のない通常の風邪ウイルスなどは、むしろ過剰に避けない人の方が適応力が高まり、無症状患者の体質のなるのかもしれません。ウイルスに自然感染することで、免疫系が自然調整の仕方を学習記憶し、自然免疫が身につきやすい体質に変化する可能性もあります。今までの歴史をみてもウイルスは変異し続けているようです。もしかすると、その変化に人間が追いついていないのかもしれません。人間もその流れに適応して、感染しても自然免疫を獲得しやすい体質になるように学習記憶し進化し続ける必要があるのではないでしょうか。

世界中で命に関わる感染症に注目が集まっています。世論に歩調を合わせた捉え方も大切ですが、人類、生命、共生という広い視点で捉えることも大切だと思います。「ローマは一日にして成らず」の言葉のように、健康は長年の習慣の積み重ねです。健康は与えられると言うよりも自らが創り出すものです。刻々と変化する環境に適応できる健康体質をコツコツと創っていきましょう。

2020年4月30日木曜日

LCA人間学勉強会の報告 2020年4月26日 14時〜15時まで(1時間)

皆様、こんにちは、LCA代表の保井です。先日、LCAスタッフと人間学に興味のある先生方を交えて、人間学の勉強会をZOOMで開催しました。ファシリテータは保井が努めました。勉強会の教材には、人間学誌「致知」の総リード(冒頭文)の「人を創る」というテーマの1ページを使いました。参加者にはあらかじめ課題を読んでいただき、感じたことをフィードバックしてもらいました。教材を読んで勉強会前に感じたこと、勉強会の後に感じたことをそれぞれフィードバックしていただきましたので、一部ご紹介させていただきます。

人間学誌「致知」の総リード(冒頭文)を「人を創る」を読んで感じたことを箇条書きにしてください。(勉強会前のフィードバック)


     孟子の言葉「天下国家を思うならもっとも身近な我が身を修めよ」とあるように何かを始める時にはまずは自分の人間力を磨くための努力をすることの重要さを再認識しました。そして人間力を磨くためには日常のほんの小さなことからも磨く事ができるものだと感じる事ができました。
     「他責の人でなく、自責の人であれ」と「人生全てが当たりくじ」という言葉に同じことを思いました。コロナによる影響です。世の中が不景気になり将来の心配をしていたのですがむしろこの出来事がチャンスであると心から思う必要があると気づかされました。どんなことでも、最終的には自分の心次第なんだと思います。
     肯定的な意図が見え隠れする患者さんで、こちらに依存してくる人がいると、以前は患者さんのせいにしていましたが、人間学の勉強を進めると、だんだん私自身の問題なのかな〜と感じるようになりました。
     治療院経営において成功していく為の集客方法や治療テクニック、会話技術などの戦術に関する情報は世の中に大量にある。それらを身につけて実践していく事も大事だが、それ以前にその戦術を使いこなす自分自身の人間力、あり方、器が最も大事である。それがなければいくら小手先のやり方を身につけたところで末永く繁栄してゆくことはできない。
     この人生において人間力を身につけて大きな人間になっていこうという目標を持ち、そこを目指そうと揺るがない決心をする必要がある。 生きていくと辛い事、悔しい事、嫌な事はたくさんあるが人のせいにしないで、目の前の結果は全部が自己責任だと引き受けて全力で生きて行くことが大事である。心を磨き人間力を身につけていくことが大事。



 今回のセミナーで心に残ったフレーズを箇条書きにしてください。(勉強会後のフィードバック)
     自分のやっている事を自分自身が納得できているか!
     ドロドロした人間関係の中で自分を磨く。不愉快、ジェラシーを感じる時に、自分の中のどこからそれがきているのか他責ではなく自責で考える。
     居心地の悪いところに身を置くことで自分を磨く。居心地の悪さを感じながら行動していく。
     3秒で行動する。やらない思考が浮かんでくる前に動く。
     知識をつけるよりも自責の念を常に持って実践していく。
     自分の行動に、自分が納得できるか?自分を振り返ることができるか? /心の流れを見れているか?
     日常の小さなことから学べる。人間力は、苦悩の中から学ぶ。目の前で起きていることは、どういう意味があるのか?
     人間力を身につけることが大事。人との関係性の中で人間力は磨かれる。
     心が動いたときそれを客観視する必要がある。心が動いたときに自分の理論で相手を攻撃してはいけない。そこから学ぶことが大事。
     居心地が悪く苦手だと思う環境こそ自分を成長させ磨いてくれる場所。居心地が良く自分が優位に立てる場所ばかりに留まってはいけない。
     自分自身が育たないとまわりは育たない。
     治療技術だけにひかれて集まった患者さんは治ったらすぐに離れていく。人間力に惹かれると長い付き合いとなる。
     おごり高ぶらず謙虚に常に学び続ける。他者への感謝、優しさを忘れてはいけない。
     人の批判をするのではなく自分ができる事に意識を向ける。すべては自己責任である。
     この様な勉強会に参加するにあたり、自分の考えを話す事が恥ずかしい気持ちや、自分の至らない考えがばれてしまうという怖さなどもありましたが、とても良い学びになりました。参加させて頂きまして本当にありがとうございました。

 今回の学びを実生活でどのように活かしたいですか?箇条書きにしてください。
     心が乱れている時は、他責になっている。心の流れ・動きを意識する。日常生活の中で、自分の心を磨く。
     どんな患者さんでも、自分に意味がある。
     自分の行動に、自分が納得できるのかを意識できるようにする。他人ではなく自分の内側に注目する。
     楽な方向、心地よいと思う方向に進もうとする自分を律して即行動を心がける。
     自分を磨くことにコミットする。自己責任の気持ちを常に忘れずに生活する。
     常に神様が見ているという意識を忘れない。
     ただ流されて生きるのではなく、今後の人生で人間力のある人物に成長していくという事を決意し、今日からそれを意識して生活する。その上で治療師として経営者として具体的な目に見える結果を出し続け、世の中に貢献しながら繁栄していきたい。

私自身は20年ほど前に人間学の勉強の必要性を感じて、それ以来、コツコツとことあるごとに勉強してきましたが、いつになっても反省することばかりです。人間学関連の本や雑誌を読んだり、勉強会に参加したりしてきましたが、やはり大切なのは日常生活の中から培われる経験、体験で、そこからでしか本物の人間力は養われないのだと考えています。本勉強会では、ご自分の経験や体験を通じて、自己を振り返り、それをメンバーと共有することでさらに人間力を磨いていく場になっていると思います。興味のある方は、次の機会にぜひご参加ください。



2020年4月24日金曜日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で思うこと

連日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の問題で、今までにない未知の経験に直面しています。長らく患者さんの健康のサポートをさせていただいている私にとって、今回のウイルスは通常の風邪やインフルエンザなどとはちょっと性質が異なる様で複雑な心境です。自然治癒力を高めることを主にしている治療家にとって、感染症は適応外の症状です。抵抗力、免疫力を高める手助けはできても、ウイルスを撲滅するような治療はできません。

今回のウイルスで厄介なのは、重症化して早期に亡くなってしまう人がいるということです。病院でも最善を尽くされていると思うのですが、助けることができないのです。亡くなる方やその家族が気の毒なのはもちろんですが、全力を尽くして力及ばなかった医療従事者の気持ちを察すると心が痛みます。この感染症に効く薬は、そのうちに開発されるとは思いますが、なぜ、このようなウイルスが突然現れるのかわかりませんし、今回の新型コロナウイルスは突然変異を繰り返しているともいわれています。

私は治療家として機械論と有機論を対比して、主に筋骨格系に関する治療哲学を語ってきました。今回の恐ろしい新型コロナウイルスに関しは、治療の対象外ではありますが、機械論と有機論の観点で捉えると、ウイルスとの闘い(機械論)と共生(有機論)の視点が生まれます。今回の感染症は私にとっては今までにない未知の感染症ですが、人類の歴史を振り返れば、人類は様々なウイルスと闘い、共生してきた事実があります。

感染力の強いウイルスに対しては、「避ける」、「闘う」という機械論的な捉え方も必要ですが、その一方で、「共存」「共生」するという有機論的な捉え方も必要だと私は考えています。数週間前にはなりますが、たまたま観ていたテレビ番組で、感染症の専門家の方が、新型コロナ感染症に関するインタビューを受けていました。その方は、感染防止策は推奨しつつも、「最終的にはコロナウイルス との共生・共存を目指すべきだ・・・」「致死率を下げながらコロナと共存するしかない・・・」という趣旨のことを語っていました。

その時、私は「あっ、同じことを考えている・・・」と思わず呟きました。このような時期に、「ウイルスと共生する・・・」とは心の中で思っていても言いづらい状況です。限られた患者さんにコロナのことを質問されたときだけ、私の意見として、「ウイルスと闘うことも必要だと思いますが、ウイルスと仲良くすることも必要だと思いますよ・・・」などと細々としか話していませんでした。だからこの専門家の意見は共感できる専門家がいるという意味で心強く感じました。

後で、この教授のことをネットで検索すると、感染症と人類史の専門家であることが分かりました。この教授は「過去20年でSARSMERS、新型コロナウイルスと3種の新型ウイルスが発生していることを挙げ、これは人類が無秩序に生態系に進出したことで野生動物のウイルスが人間に感染するようになったことやグローバル化が大きな理由だ」と述べています。

さらに、同じ様に考えている人は他にいないのかと検索してみると、感染症の専門家の医師が、『「ヒトとウイルス」共生と闘いの物語』というタイトルで論文を書いていました。その論文の中で、『「きれい好き」が感染症を増加させる』という一つの原因論を述べていました。事例としてA型肝炎を挙げ、子供の頃にかかると無症状か非常に軽症に終わるとのことで、現在70歳以上の人たちは、当時の衛生状態が悪い状況で、小児期に知らず知らずのうちにA型肝炎に感染して免疫を持つようになったのだろう』と述べています。現在のように衛生状態が良くなると、抗体をもたなくなり、ヒトの感受性がどんどん高くなってきて感染症が増加する原因の一つと考えられるといいます。

また、「ウイルスにせよ細菌にせよ、ヒトと共に生きているのだから、人間の生活様式が変化すれば、それに従って変化するはずで、今はそれが顕著に起きている状況だ・・」と述べています。論文の最後に、「ヒト自身も大量の微生物を持っているはずですし、やはりウイルスにしろ、細菌にしろ、ずっとヒトと一緒に生きてきたものであって、人間の行動の変化によって、共に変化してきました。結局は、どのように感染症とつきあっていくのか、そのつきあい方を間違いない様にすべきだと考えます。」と述べています。

スウェーデンは多くのヨーロッパの国と異なって外出禁止措置は取らず、レストランなどの営業も続けるなど独自の路線でウイルス対策をとっているとのことです。そのためか、スウェーデンの保健当局が首都ストックホルムでは市民が新型コロナウイルスに対する集団免疫を来月には獲得する可能性があるという見解を示したとメディアが伝えているようです。ウイルスとの共存ともみられる有機的な方向性が見えてきます。

さらに、イギリスの新聞「テレグラフ」はスウェーデンの保健当局の疫学者、アンダース・テグネル博士が「ストックホルムには免疫を持った人が多く現れ始めている」と発言したと伝えました。さらに、来月にも集団免疫を獲得するだろうという見通しを示したということです。人と人との接触を極端に制限するロックダウンのような措置が長期的にみて本当に効果があるのかどうかは定かではありませんが、日本に住んでいる以上は、政府の方針通りにできるだけ不要不急の外出は控え、人との接触は避けるべきなのだと思います。

今回のウイルスは、分からないことが多々ありますが、命を脅かす感染症なので、自分や他者を守るためにマスクの着用や手洗いは必要ですが、同時に抵抗力や免疫力を高めることも必要です。部屋に篭りすぎて閉鎖的になると、体や心の秩序が乱れて不健康になりやすく免疫力も低下しやすくなる恐れがあります。心や身体をできるだけ解放させて免疫力を上げましょう。天気の良い日には日光の光を浴びて、適度な運動、散歩することなどを心がけましょう。

この様な時期だからこそ、明るい未来に向けてできることがあると思います。闇雲に恐れるのではなくできるだけウイルスの性質を理解して恐れ、行動を柔軟に変化させてこの難局を乗り越えていきましょう。