2016年5月2日月曜日

「生まれ変わった気がする・・・」信念に関係するコーチング手法


【はじめに】

肩や両大腿部の症状で来院していただいていた患者さんが、しばらく通院していただいて、筋骨格系のしびれや関節のこわばりの症状に加えて、内分泌系や自律神経系に関連する身体のだるさや疲れ感など様々な症状に悩まされていたことがだんだんと見えてきた。4~5年前から糖尿病の治療も受けているという。経営者であり、心理的なことも幅広く勉強されているという印象が感じられた。また、拙著の「体の不調は脳がつくり、脳が治す」も読んでいただいており、PCRTにも興味を持っていただいていた。

【経緯と施術者の主観】

ある来院日のこと、しばらく定期的に通院されている過程で、患者さんはいつも以上の体調不良を訴えていた。PCRTの検査をしてみると、複数のEB(生体エネルギーブロック)反応が確認された。そのEB反応は、患者さんが訴える症状に反映しているようにも思えた。特に膵臓部のEBと脳下垂体部のEBが、毎回繰り返されて陽性反応が示されているので、術者の直感で、何か潜在的に深い誤作動が関係しているだろうと感じた。患者さんに、「ここは、集中して治療されたほうがいいかもしれませんね。」と集中治療を促す。

患者さんにも同意してもらい、治療間隔を開けずに、ほぼ毎日集中的に通院していただいた。集中治療の同意を得てから、2回、3回、4回目と無意識に関連するある信念のキーワードが示された。4回目の施術では、そのキーワード(信念)の背後にある信念を認識され、その信念がどこから形成されたのかも認識していただいた。そして、次の来院日、前回の施術で、お父様から受けた信念があたかも自分の信念であるかのように生きてきていた自分に気づかれたとのこと。そのことは、様々な事柄に関係しており、そのことに気づけたことで、心も身体もすごく解放され楽になったとのコメントを頂いた。

その後、遠方での出張から帰ってこられて来院していただいた。通常、今回のような出張であれば、身体に疲れるが残っているのだが、前回の施術から疲れを感じることがなく、何か生まれ変わったようで、未来へのビジョンが開けた感じだとのコメントを頂いた。今回の集中治療の過程で、今までの人生で、高級マンション、高級車、船など欲しいものはほとんど手に入れているが、何か満足していない、何かもやもやした自分がいるということも話していただいていた。今回の「気づき」でその背後に隠れていた理由や「心の構造」も明確になった様子だった。

【考察】

この患者さんの場合、心理系の勉強もされていたので、無意識に関連する「誤作動記憶」を積極的に探索しようとする意識があり、それが好結果をもたらしたように思う。通常では、このような深い気づきを得るためには、ある程度の治療回数が必要になる。また、身体の症状が、心の誤作動記憶に関係していると頭で理解できても、そのパターンから心の底から抜け出したいと思えるかどうかも大切なポイントになる。いくら治療法が優れていても患者さんの無意識が協力的でないと効果が引き出せない。本症例は、無意識がもたらす影響を十分に理解され、本気で自分自身を見つめようとした成果だと思う。

今回の症例での施術ポイントは、自分が信じている信念(心のルール)の出処がどこからなのかということだった。人は誰でも、意識的にも無意識的にも何らかの信念(心のルール)に基づいて生きている。その信念の出処は大きく分けて3つに分けることができる。

1. 生まれ持った生来的な信念
2. 他者に影響された信念
3. 強要された信念

1. 生まれ持った生来的な信念
生まれたときからの持ち備えている心の性質がもたらす信念

2. 他者に影響された信念
多くは両親よってもたらされた信念で、その他、恩師、教師、あるいは本などによる架空の人物などからもたらされる信念。あたかも自分が生来的に信じている信念として錯覚しやすい。

3. 強要された信念
暴力的な手段などの恐怖によってもたらされた信念で、それを信じているふりをしないと生きていけない状況にいる。

上記の3種類の信念の中で、自己矛盾や心の不一致が生じやすいのは、2番目の「他者に影響された信念」で、心身相関的にも体調不良を生じさせる誤作動記憶を生じさせやすい。

PCRTを使ったコーチング手法では、意識と無意識との不調和を示す信念を瞬時に特定できる。術者と患者との共同作業でそれを解きほぐしながら、誤作動記憶の調整が可能になる。多く慢性症状の本質的原因がこの信念の不一致に関係していることが多い。この治療価値を理解してくれている患者さんは、心の底から喜んでいただいているという感覚が伝わってくる。それは、治療者にとっては大きな喜びとなる。

2016年4月25日月曜日

疾病利得」にも対応できる治療者を目指して!


有名なフロイト博士やユング博士と並ぶ精神医学・心理学界の巨人の1人、アルフレッド・アドラー博士は以下のようにコメントを述べています。

『敗北を避けるために、時に人は自ら病気になる。
「病気でなければできたのに・・・・」
そう言い訳して安全地帯へ逃げ込み、ラクをするのだ。』

さらに、「人は人生の敗北を避けるために、あらゆるものを利用する」とも述べています。

これを心理学では「疾病利得」といいます。

病気で苦しんでいるのになんてことを言うんだ!そんな話は聞きたくもない!と憤慨する人がいるかもしれません。特に保険診療ではなく、自分のお金と時間を使ってくる自由診療の患者さんにとっては、あり得ないテーマだと思われがちです。しかし、一般的に心理的要因が影響を及ぼすことが知られている「うつ病」、「パニック障害」、「機能性胃腸症」以外にも様々な慢性症状の背後には「疾病利得」が関係していることがあります。

当の患者さん自身は、そのようなことは意識する由もなく、病気を治すことに一生懸命で、「病気さえ治れば・・・ができる」という思いの人がほとんどです。「その病気には「疾病利得」が関係しているかもしれません・・・。」などと治療者にいわれたりすると、信頼関係が悪くなることが予測されます。なぜならば、「疾病利得」に関する一般的な印象が、「ずるい」、「甘えている」などのネガティブな要素を含んでいるからです。

この「疾病利得」が関係する症状で厄介なのは、本人が偽っているわけでもなく、実際に身体に障害を引き起こしているというところです。「疾病利得」が関係していなければ治る症状も、この「疾病利得」が背後にあるから症状がぶり返してしまうのです。この「疾病利得」は、緊急事態でない症状も多々ありますが、時には命さえも脅かす症状を引き起こしてしまうのです。

「疾病利得」が関係する慢性症状の傾向として、ある程度の通院期間の間に共通する傾向が見えてきます。


  • 肉体的な原因や治らない医学的な理由(身体の異常)には興味を示し、本質的な心理的な原因や理由(心の関係性)には興味を示さない傾向。
  • 複数の症状を抱えて、改善している症状があるにも関わらず、改善されていな症状に注意を払う傾向。
  • しばらく通院されて改善されてきた徴候が増えてきたときに症状がぶり返す傾向。


「疾病利得」が単にいいとか悪いとではなく、その背後にはそれなりの意味や「成長の種」が隠されているのだと私は思います。また、人間であれば、多かれ少なかれ誰もが無意識的に経験している心身相関のプロセスだと思います。

「疾病利得」を客観的に判断できる治療者はごく僅かかもしれません。また、「疾病利得」の背後にある潜在的な感情や信念に関してアプローチできる治療者もごく少数でしょう。PCRTの治療者の場合、熟練してくると、「疾病利得」の関係性が見えてくるようになり、患者にそのことを知ってもらうべきか否かに悩まされることもあるかもしれません。

PCRTでは「無意識」という慢性症状の本質を対象に検査をしているため、「疾病利得」をある程度の客観性をもって判断できる検査手法があります。その検査をするか否かは、術者の判断と患者さんの同意によります。この検査をする前提条件として、治療者と患者との強い信頼関係、それに加えて、患者自身がそのことを認識し、その「疾病利得」サイクルから抜け出すことで、将来的にそれを超える利益を得られるということが求められます。

その利益とは、表面的な利益、すなわち頭だけで求めている利益ではうまくいきません。意識的にも無意識的にも心の底から求めているということが必須条件になります。つまり、「疾病利得」とは症状や病気を繰り返す負のサイクルパターンの中で、何か得られるものが潜在的にあるということです。よって、そのパターンから抜け出すためには、負のパターンにとどまる以上に得られる利益が必要になってくるということです。

「疾病利得」に対する患者さんへのアプローチは、治療者にとっても、患者との信頼関係を無くすかもしれないというリスクを伴うものです。この分野へのアプローチを試みる場合、ある程度のPCRTの熟練と経験が必要です。単に、患者さんにそのような傾向があるからと言って、すぐにアプローチできるようなテーマではありません。

上記のような情報のお膳立てができていて、しかも、患者さんがそのパターンから心の底から抜け出したいという意向がある場合に限って、PCRTではコーチング手法を織り交ぜながら患者さんをサポートすることができます。

PCRTという治療法は、本質的なアプローチを行うために、熟練すればするほど、無意識が引き起こす症状や病気につながる生体反応や行動パターンが見えてきます。見えるからと言って、すぐにアプローチできるとは限りません。負のサイクルから抜け出す準備と条件が患者に満たされているということが前提として必要になるということです。

「疾病利得」という厄介な問題に触れなければ、悩む必要もないかもしれません。しかしながら、本質を見ようとする治療者であれば、避けて通れない課題だと思いますし、「疾病利得」へのアプローチに挑戦する価値は大いにあると思います。

全ては患者が選択する事なのですが、単に心の問題として切り離すのではなく、患者に寄り添いながら、負のサイクルから抜け出す選択肢を提供できる治療者であるのかが重要な課題だと思います。自然治癒力の関係する慢性症状を対象とする治療者にとって、心と身体の関係性を検査し、治療できる知識と技量の研究は生涯のテーマだと私は思います。

2016年4月12日火曜日

症例報告:ゴルフのアプローチイップス

【はじめに】
60歳、男性。12~3年前よりアプローチの際に、イップスの症状がではじめたとのこと。以前はアマチュアの試合によく出場されていたという。症状が強くなるのは、簡単なアプローチをする際で、右手の動きを意識して、気をつけるようにすると、症状がある程度軽減するらしい。
長年患っていたイップスの症状が早期に改善された症例として報告する。

【初回施術】

〔目安検査〕
→アプローチイップスの症状イメージ→
〔EB特定検査〕
→陽性反応→恐れ→アマチュアの一定の評価ラインがあり、その評価からカットされるかもしれない→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→存在感→アマチュアゴルフ界における自分の存在感→実力がでれば出場できる大会が、守りに入っていけなかった→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→慈悲心→お母さま→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→虚栄心→ゴルフ関係→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→警戒心→最初にアプローチをミスしたとき→陽性反応→慈悲心→お母さま→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応

〔目安検査〕→最初にミスした際→警戒心→陽性反応→
〔EB特定検査〕→警戒心→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応

〔目安検査〕
→イップス発症前の最初にミスした際の直前の状態イメージ→
〔EB特定検査〕
→陽性反応→復讐心→誰よりも練習しているのになぜ・・・という自分に対して→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応

【2回目:4日後来院】

〔患者からのコメント〕
今回、初めてイップスの治療を受けて数日後にアプローチの練習をされたとのこと。練習ではイップスの症状は気にならなくなったとのこと。治療直後にすでに良くなった感覚があったともいわれていた。

〔目安検査〕→アプローチイップスの症状イメージ→陰性反応

〔目安検査〕→最初にミスした際のイメージ→陰性反応

〔目安検査〕→イップス発症前の最初にミスした際の直前の状態イメージ→陰性反応

前回陽性反応が示されたイップス症状に関係する目安検査ではすべて陰性反応が示されたので、メンテナンス的に全身の調整を行う。

【考察】
今回のゴルフのイップスの症例では一回の施術でほぼ改善したようだ。治療の前に拙著「身体の不調は脳がつくり、脳が治す」を読んでいただいていたことも影響していただろう。多くのイップスの患者の施術をさせていただいているが、一回~二回の施術で来院されなくなった患者もいる。この場合、患者からの情報も途切れ、検査もできないので、その後改善されているのかどうかは不明である。恐らく症状が改善されたので来院されなくなったのだろうと、治療者側としては考えたい。すべての患者において、イップス症状に関係する誤作動記憶の陽性反応は、治療後にはほとんど消去しているということから察しても早期に改善していると判断しても差し支えないだろう。今回の患者のように良くなったと実感されても来院して下さる患者は、自覚症状と照らし合わせて検査ができるので、治療者側としても施術に対して確信が持てるのでありがたい。

2016年4月7日木曜日

症例報告:投球イップスの改善(大学生)

【はじめに】
大学1年、男性の右投げピッチャーが投球イップスの症状を訴え来院。投球イップスに加え、キャッチボールでもイップスの症状を感じることがあるとのこと。高校一年生の時から発症。悪い時には投げることができなくなるが、高校一年生の時よりは良くなっているらしい。他治療院で電気治療やマッサージ治療を受けている。
4年ほど前から発症したイップスが、短期間でスムーズに改善した理想的な症例であるので報告する。

【初回検査・治療】

〔初回目安検査〕
  • ハード面の誤作動検査(機能的検査)
  1. 両肩関節挙上、頸椎左右回旋にて陽性反応を認める。
  2. 脊柱関節の神経関節機能障害の検査(アクティベータ・メソッドによる検査)では右骨盤部、L2、T8部に陽性反応。
  • ソフト面の検査(心身相関に関係する誤作動記憶によるエラー)
  1. マウンドで投げるイメージで誤作動反応、軽く投げるイメージで誤作動反応、遠投では陰性反応。
〔PCRTEB特定検査〕
  • 症状イメージ:マウンド投球
→「恐怖」→野球分野→バッターに当てる恐れ→他者からの批判や自責→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • 症状イメージ:マウンド投球
→「恐怖」→野球分野→試合でフォアボール→他者からの批判→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • 症状イメージ:マウンド投球
→「執着心」→野球分野→どうしたらちゃんと投げられるか→フォームを意識→誤作動反応・・・ここで、施術者は新たな意識改革の必要性があると感じ、「フォームはゴール
(結果)の後からついてくる」という内容の説明を行う。

投球イップスを抱えている多くの投手は、イップスを改善させるためのフォームの改良ばかりに意識を注ぐため悪循環から抜けだせないことが多い。むしろ、「どのような球を投げたいのか」の「結果」が肝心で、どのように投げたいのかのなどの「投げ方の技術論やプロセス」は重要ではない、むしろ、「結果」を意識せず、投げ方の「技術論」ばかりを意識してしまうと、身体のコントロールする神経系や筋肉系がうまく作動しなくなり、様々な誤作動が学習記憶されてしまう。究極的いえば、理想の送球ができれば、フォームなどはいろいろあってもよいということになる。スポーツ科学で、よく研究者がフォームのことをあれこれと理論的に解説することが多い。フォームの重要性を強調しているが、いい球を投げた結果、そのフォームが出来上がったのであって、いいフォームの結果、いい球が投げられた訳ではないことが多いのではなかろうか?そのような解説を聞くと、フォームがとても重要かのように錯覚してしまう。フォームの改良で良くなったという話も聞くが、どのような球を投げたいのかのゴール(結果)が最初にあって、それに伴ってフォーム(身体)がついてくるというのが自然だろう。つまり、どのような球を投げたいかという理想の結果が鮮明にイメージできれば、身体はそのように投げられるように自然に(無意識に)フォームを作ってくれる。「フォームはゴール(結果)の後からついてくる」。という考え方が大切になる。
  1. 上記の説明を終えて、理想の投球結果、すなわちどんな球を投げたいかを質問→「伸びあがる球」→PCRT検査→陰性反応
  2. フォームを意識した投球→PCRT検査→陽性反応(誤作動あり)
  3. 再度、伸びあがる球を投げた結果のイメージ→PCRT検査→陰性反応(誤作動なし)
  4. 患者にもマッスルテストで陽性反応と陰性反応の違いを体感してもらう。
  5. PCRTパターン呼吸振動法にて陽性反応から陰性反応へと施術→陽性反応の陰性化
  6. 施術終了
【2回目:2日後】

前回の施術後、練習でかなり改善されたとのこと。

〔PCRTEB特定検査〕
  • 前回の陽性反応はすべて陰性化。
マウンドから投球するだけでの誤作動記憶は調整されたので、実際の試合などの状況を想定してPCRT検査を行う。
  • 症状イメージ:実際の試合想定でのマウンド投球
→試合中、ランナーが一塁に出て、セットポジションからの投球→陽性反応→「恐れ」→過去の経験→点を取られて自責→PCRT呼吸振動→陰性反応
  • 症状イメージ:エピソード記憶
→近くのキャッチボールで暴投しちゃいけないという自分の姿のエピソード記憶→陽性反応→自信をもって投げている姿→陰性反応→陽性反応と陰性反応のエピソードイメージにカラーイメージを加えてパターン呼吸振動法→陽性反応の陰性化
施術終了

【3回目:4日後】

前回に引き続き調子がいいとのこと。

〔PCRTEB特定検査〕
  • 症状イメージ:試合想定での投球
→前回のランナー一塁でセットポジションからの投球→陰性反応
→左バッターに対する苦手意識→陽性→警戒心→デットボール→中学生のときのデットボールの記憶→陽性反応→PCRT呼吸振動法
  • 症状イメージ:近くのキャッチボール→陰性反応
  • 施術終了
【4回目:6日後】

前回に引き続き調子がよく、大学のリーグ戦も始まり、試合でもよかったとのこと。
  • 症状イメージ:キャッチボール
→近くのキャッチボールは良くなり、遠投も問題はないが、その中間ぐらいの20メートルぐらいの距離でのキャッチボールでイップスを感じるとのこと→陽性反応→虚栄心→理想の自分で評価されたい→PCRT呼吸振動法
施術終了

【5回目:8日後】

前回に引き続き調子がよく、イップスに関してはほとんど気にならなくなっているとのこと。
  • メンテナンス的に脊柱を中心に誤作動記憶を調整する。
  • 施術終了
イップスに関係する誤作動記憶の陽性反応が陰性化しており、本人も安心している様子なので、次回は2週間後に来院していただく予定。その間に練習や試合で何か気づいたことがあれば再検査を行う予定。

2016年4月5日火曜日

PCRT症例報告【チック症状の改善】(ジストニア)

【はじめに】

3歳9か月の男の子とその母親が、チックと吃音障害(どもり)を改善したいとのことで来院。母親によると、3歳4か月の時からチックの症状が顕著になりはじめたとのこと。目をパチパチしたり、不安で緊張が強くなると右手でグーパー、グーパーしたりする。毎日、夕方にテレビを見ているときに胸をブルブル震わせるのを無意識に繰り返す。母親が忙しくてかまってもらえないと不安になる様子。日々、観察しているとだんだんとガクガク身体を震わせる感じに変わり、心配で小児科を受診し、その映像場面を医師に見せると、てんかん発作ではなく、チックのようなものだろうといわれたとのこと。小児科医のアドバイスで夕方のテレビは見せていない。ひどくはないが、吃音(どもり)も少し出ている。4月から幼稚園の入園で不安もあり、体験入園でも目をパチパチさせていたらしい。

原因として考えられる家族の関係があったらしい。チックの症状を発症する以前、上の兄(9歳)のアトピー症状がひどくなり、強迫性障害も合わせて発症。アトピー症状改善のために、しみる温泉水をかけるときに大声をだすなど、兄が精神的に不安定状態だった。母親も兄のことが不安で兄にかかりっきりだったとのこと。また、兄の温泉治療で弟を実家に預けて寂しい思いをさせることが多かったらしい。本来はとても明るい子供だったのに、チックの症状が出始めたと同時期位に性格も暗く、不安げになり、赤ちゃん返りのように母のおっぱいを吸うようになった。なるべく不安にさせないようにして、兄の症状も改善し、フラワーエッセンスをとるようにして、以前よりは改善したとのこと。

母親の思慮深いサポートもあり、代理検査などを通して段階的に改善された症例を報告する。

【初回施術】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ

〔EB特定検査〕

第4チャクラ
→信念→「慈悲心」(お母さん)→A君に対して~してあげたい→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→信念→「羞恥心」→恥ずかしと思っていることPCRT呼吸振動による施術→陰性反応

第6チャクラ
→信念→「慈悲心」→A君がお兄ちゃんに対して心配していること→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→信念→「同情心」→A君がお兄ちゃんに対して・・・→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【2回目:4日後】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ

〔EB特定検査〕
第4チャクラ
→信念→「復讐心」(お母さん)→一年前の過去の友人に対して→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

第6チャクラ
陰性反応

施術終了

【3回目:3日後】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ
症状イメージ

〔EB特定検査〕

第4チャクラ
→感情→「恐怖」→お兄ちゃん→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
症状イメージ
→目のチック症状→信念→「復讐心」→お兄ちゃん→→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【4回目:5日後】

〔目安検査〕

肉体内外EB:第6チャクラ、第4チャクラのEB消失
症状イメージ→目の症状

〔EB特定検査〕

症状イメージ→目の症状、口の症状
→信念→「復讐心」→お兄ちゃんとけんかをすると負ける、物の貸し借りで我慢していること→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
テレビを見ているときの症状
→信念→「復讐心」→以前、保育園に預けられたこと→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【5回目:5日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:第6チャクラ
症状イメージ→目の症状、口の症状

〔EB特定検査〕

症状イメージ→目の症状
→信念→「自省心」→保育園で人が怒られるのを見て自分のことのように当てはめて反省する→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→慈悲心→「慈悲心」→お兄ちゃんがお母さんに怒られるのを可愛そうに思う→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了


【6回目:4日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:第6チャクラ
症状イメージ→目の症状→陰性症状、口の症状→陰性症状
症状イメージ→視力調整

〔EB特定検査〕

第6チャクラ
→「信念」→「同情心」→昨日のお兄ちゃんに関するトラブル→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

症状イメージ→視力調整(遠近刺激)
→感情→「意欲」→何に関しても一生腱命に集中する→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

チックの症状も軽減し、それに伴ってお子さんの表情が以前のように明るくなって良かったとの報告をいただく

【7回目:10日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:頸椎後部

〔EB特定検査〕

肉体内外EB:頸椎後部
→警戒心(母親)→子供達に対して厳しくする加減
→エピソード記憶→不安そうに息子さんを見ている自分→陽性反応→安心して息子さんを見ている自分→陰性反応→パターン呼吸振動法にカラー情報を加えて、陽性反応(赤)か陰性反応(緑)のパターン変換にて調整→陽性反応の陰性化

施術終了

【8回目:7日後】

お母さん曰く、全体的にチックの症状は改善されているが、口をモグモグしているときがあり、それがチック症状なのか、単なるクセなのか気になるとのこと

〔目安検査〕
症状イメージ:代理検査

〔EB特定検査〕
症状イメージ:代理検査
→恐れ→お兄ちゃんの声→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
エピソード記憶
→口をモグモグしている自分の姿(鏡を使用)→陽性反応→普通の自分の姿(鏡を使用)→陰性反応→パターン呼吸振動法にて陽性反応パターンから陰性反応パターンに変化して調整→陽性反応の陰性化

施術終了

【9回目:8日後】

〔目安検査〕
症状イメージ:代理検査
→口のクセ
→眠たい時→陰性反応
→怒られるとき→陰性反応
→お母さんが息子さんの症状を気にしている自分を客観視→陰性反応

施術終了

全般的にチック症状が改善され、お母さん自身も安心している様子なので治癒として様子を見ることにする。

【考察】
本症例で、順調に改善方向へと向かった背景に、PCRTに対する母親の理解と関わり方が影響を及ぼしているように思う。子供の治療と並行して、母親にも治療を受けていただき、AMとPCRT併用による治療効果を体験していただいた。施術者側の印象として、施術者、施術法に関して深く信頼を寄せていただけていることが感じられた。
チック症状を改善させるために、肉体面だけのアプローチでは改善が見込めないということは、一般的にも知られるようになっているのではなかろうか?西洋医学では精神面に作用を及ぼす薬物療法も行われているようだ。PCRTでは、心身相関に関係する誤作動記憶に直接アプローチするため、何が原因に関係し、関係していないかが検査で分かる。PCRTはこのような心因性が関係する症状に関しては、本質的、かつ合理的な治療法といえるだろう。







2016年3月31日木曜日

2型糖尿病で数値の改善


【経緯】

病院でⅡ型糖尿病との診断を受け、投薬治療を受けており、今回、インシュリン注射を受けたほうがいいと勧められたとのこと。どうしてもインシュリン注射の治療を受けたくないのでということで来院。患者は以前、腰痛とフワフワ感を訴えて当院を受診、膵臓の反応点で、毎回誤作動反応を示していたので、腰痛などの症状と合わせて膵臓のホルモン系の機能障害の治療も行っていた。当院に通院されながら、病院での投薬も受け、病院での検査結果もある程度落ち着いたので当院での治療を中止。9か月後、病院での投薬は継続していたが、血糖値、並びにヘモグロビンA1cの数値がインスリン注射の治療を受けなければならない数値に上昇しているとのことだった。

【初回】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:膵臓と脳下垂体(前頭部)にて陽性反応

〔PCRT・EB特定検査〕 *EB=エネルギーブロック
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「復讐心」→趣味で自己満足している自分自身に対して→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「自省心」→自分で自分のことを反省→PCRT呼吸振動法→陰性反応

施術終了

【2回目:3日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:膵臓と脳下垂体(前頭部)にて陽性反応

〔PCRT EB特定検査〕 
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「慈悲心」→自分自身に対して姉として可愛そう→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「信仰心」→姉としてこうあるべき→その信念を持ち続けて得られるものは→「存在感・重要感」→PCRT呼吸振動法→陰性反応
以前にも同じ反応が繰り返されていることを考慮して、もしも、同じ「~べき」で繰り返されているのであれば、思考停止状態になっているで、病気を作りだすバターンも変化しないことが多い。もしも、病気を本質的に改善したいのであれば、心の奥から柔軟性を引き出したほうがいいかもしれないといった内容をアドバイス。信念を変えることで何か失うものはあるのかどうかの質問も加える。

施術終了

【3回目:5日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:前回陽性反応を示していた膵臓と脳下垂体(前頭部)は陰性反応

〔PCRT・EB特定検査〕
  • 筋肉・関節系:頸椎下部のEB→「恐れ」→未来→最も恐れていること→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • エネルギー系:胸椎上部後方の肉外EB→「意欲」→患者認識→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • エネルギー系:胸椎上部後方の肉外EB→「恐怖」→患者認識→PCRT呼吸振動法→陰性反応

施術終了

【4回目:6日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:引き続き前回陽性反応を示していた膵臓と脳下垂体(前頭部)は陰性反応

患者からの報告:血糖自己測定検査でも数値がよくなっているとのこと。

〔PCRT・EB特定検査〕
  • 筋肉・関節系:胸椎上部のEB→「喜び」→患者認識→PCRT呼吸振動法→陰性反応
施術終了

【5回目:8日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:引き続き前回陽性反応を示していた膵臓と脳下垂体(前頭部)は陰性反応
患者からの報告:病院での検査でも、血糖値が下がり、インシュリンの分泌も正常の値を示しているとのこと。ヘモグロビンA1cの値も1~2か月で正常値になっていくでしょうとのこと。

〔PCRT・EB特定検査〕
  • 筋肉・関節系:胸椎中部のEB→「恐れ」→姉として他の兄弟に対する心配→PCRT呼吸振動法→陰性反応

施術終了

臓器反応点の膵臓と脳下垂体での陰性反応が継続しているため、2週間後の施術を提案する。

【考察】

糖尿病の原因として、一般的にいわれるのは栄養バランスや運動不足といった生活習慣が注目されやすい。しかし、最近では、糖尿病とストレスの関係性について語る医師も増えてきているようだ。長年、心身相関を臨床現場で研究している治療者にとって、慢性症状に心の関係性を考慮するのは当たり前のことだと思うが、心と身体を切り離して病気や症状をとらえる医療者が多いのが現実である。糖尿病に限らず、慢性病の多くはメンタル系、すなわち無意識レベルで学習された誤作動記憶が関係していることがほとんどである。その誤作動記憶は、奥に隠れている「~べき」や「~ねばならない」という深い信念が関係していることが多い。本症例の患者も、ご自分が無意識的に信じていた信念が、健康に影響を及ぼしているという認識が深まったため、別の思考の選択肢が生まれたようだ。それがターニングポイントとなり、誤作動記憶が上書きされ、健全な変化へと促されたのだろう。

2016年3月29日火曜日

投球イップスの改善(高校生)

【経緯】
高校3年生の男性、右投げピッチャーが投球イップスの症状を訴え来院。高校一年生の時からイップスの症状があり、イップスの症状に加え、投球フォームも改善したいとのこと。高校1年生の時からピッチングが思いっきりできない。特にあまり親しくない人とのキャッチボールでいい球を投げようとするときに悪化する傾向があるとのこと。親しい人とのキャッチボールでは症状が軽減する。ベースボールスクールにも通っており、以前よりは良くなっているらしい。

【初回】

〔初回目安検査〕
  • ハード面の誤作動検査(機能的検査)では、前頭部、両側頭部にてエネルギーブロック(EB)の陽性反応を認める。脊柱関節の神経関節機能障害の検査(アクティベータ・メソッドによる検査)では左骨盤部、T8部に陽性反応。
  • ソフト面の誤作動検査(心身相関に関係する誤作動記憶によるエラー)では、マウンドで投げるイメージで誤作動反応。
〔PCRT検査〕
  • マウンド投球→「虚栄心」→ストレートでの球の切れ、伸び、勢いの他者評価→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • マウンド投球→「恐怖」→大学への進学予定でそこの野球部でイップスが治っているかどうか→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • マウンド投球→「信仰心」→野球分野→フォームを改善すべき→陽性反応・・・ここで、施術者はフォームに関する新たな意識改革の必要性があると感じ以下の説明を行う。
投球イップスを抱えている多くの投手は、イップスを改善させるためのフォームの改良ばかりに意識を注ぐため悪循環から抜けだせないことが多い。むしろ、「どのような球を投げたいのか」の「結果」が肝心で、どのように投げたいのかのなどの「投げ方の技術論やプロセス」は重要ではない、むしろ、「結果」を意識せず、投げ方の「技術論」ばかりを意識してしまうと、身体をコントロールする神経系や筋肉系がうまく作動しなくなり、様々な誤作動が学習記憶されてしまう。究極にいえば、理想の送球ができれば、フォームなどはいろいろあってもよいということになる。スポーツ科学で、よく研究者がフォームのことをあれこれと理論的に解説することが多い。フォームの重要性を強調しているが、いい球を投げた結果、そのフォームが出来上がったのであって、いいフォームの結果、いい球が投げられた訳ではないことが多いのではなかろうか?そのような解説を聞くと、フォームがとても重要かのように錯覚してしまう。フォームの改良で良くなったという話も聞くが、どのような球を投げたいのかのゴール(結果)が最初にあって、それに伴ってフォーム(身体)がついてくるというのが自然だろう。つまり、どのような球を投げたいかという理想の結果が鮮明にイメージできれば、身体はそのように投げられるように自然に(無意識に)フォームを作ってくれる。「フォームはゴール(結果)の後からついてくる」。とうい考え方が大切になる。
  • 上記の説明を終えて、理想の投球結果、すなわちどんな球を投げたいかを質問→「伸びのある球を投げる」→PCRT検査→陰性反応
  • フォームを意識した投球→PCRT検査→陽性反応(誤作動あり)
  • 再度、伸びあがる球を投げた結果のイメージ→PCRT検査→陰性反応(誤作動なし)
  • 患者にもマッスルテストで陽性反応と陰性反応の違いを体感してもらう。
  • PCRTパターン呼吸振動法にて陽性反応から陰性反応へと施術→陽性反応の陰性化
  • 施術終了

【2回目:26日後】

前回の施術後、かなり改善されたが、キャッチボールの際に安定しない時があるとのこと。ピッチングでも満足のいく投球ができない時がある。

〔PCRT検査と施術〕
  • 前回の陽性反応はすべて陰性化。
  • キャッチボールで安定しない時の記憶→陽性反応→「慈悲心」→過去の野球人生→中学の時仲の良い上手だった友達が高校の野球部を辞めたこと→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • ピッチングで満足のいかない投球の記憶→陽性反応→「羞恥心」→中学では野球選手として認められていたが、高校では認められなくなったこと→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • フォームを意識しての送球→陽性反応VS投げた結果を意識して送球→陰性反応→陽性反応と陰性反応でPCRTパターン呼吸振動法→フォームを意識しての送球→陰性反応
  • 施術終了

【3回目:20日後】

イップスの症状は全然大丈夫とのことで完治。バッティングの際に痛めた腰痛で治療を受ける。

【考察】

3年間ほど、イップスの症状を抱えていたにも関わらず、比較的早期に改善された症例だと感じる。いろいろと悩んだ末にたどりたどりついた治療院だった様子。施術者、ならびに治療法のコンセプトに対する信頼関係が前提条件として揃っていた結果である。フォームを意識過ぎると、身体のシステムに不調和が生じやすいという情報は、今まで聞いたことのないアドバイスだっただろう。恐らく、フォーム改良の努力は、改善をかなり遅らせていたかもしれない。そのことは当院の治療の結果を振り返っても明らかである。高校を卒業し、大学への進学も決まったとのこと。大学でも大いに野球をエンジョイしてもらいたいと願う。

2016年3月27日日曜日

FCC移転のお知らせ

この度、ファミリーカイロプラクティックセンターが入居している第一簀の子ビルは、オーナーの都合により、全テナント退去となりました。そのため、当院は5月より天神に移転することになりました。長年、慣れ親しんだ場所を離れることで、何かとご迷惑をおかけすることになりますがよろしくお願いいたします。移転先は、昭和道理沿いの天神サンビルです。一階にサブウェイがあります。天神3丁目バス停の目の前で、地下街の出口は西1番になります。電話番号の変更はございませんのでそのままご利用ください。

福岡市中央区大手門1丁目で開業させていただき21年になります。振り返りますと、この地で得た経験やご縁はかけがえない人生の財産になったと思います。ほんとうに多くの人に支えていただいた21年でした。米国から帰国後、開業の地を探すために、生まれ育った北九州市から探し始め、それから福岡市へと足を運びました。歩き回りながら何軒かの不動産を尋ね、いくつかの物件を見せてもらいました。最初は、北九州市で開業するか、福岡市で開業するかいろいろと悩みましたが、街並みを歩きながら私には福岡が合っていると感覚的に感じました。

現在のビルオフィスも自分の足で見つけました。昭和通りを歩いている途中でたまたま空き室のサインが目に入り、そのサインに記載されていた電話番号から不動産会社にたどり着き、そこから賃貸契約を結ばせていただきました。最初は当ビルの4階の15坪ぐらいのオフィスからスタートして、5年位で部屋が狭くなり、たまたま空いた5階の20坪ぐらいのオフィスに移転しました。

開業当初は、一人でチラシをポスティングをしたりして治療院を紹介しながら開拓していきました。最初の1~2年は、他の仕事でも探さなければ、このままでは開業の継続は難しいという不安をいつも抱えていました。来院して下さった患者さんの支援もあり幸運にも少しずつ患者さんが増え始め、一人での営業は手が回らなくなり、パートで働いていただける人を看板の広告で募集したところ、たまたま通りかかった人が来てくれるようなりました。私にとっては最初のスタッフでした。

それから患者さんが増えるに伴って、一緒に働いてくれるスタッフも増え、多い時には4~5人のスタッフが働いてくれた時期もありました。開業から21年の間に多くのスタッフに働いていただきました。数か月で辞めたスタッフもいましたが、長く支えてくださったスタッフには心から感謝しています。ほんとうにその人たちの支えがなければ、今のような発展はなかったと年を重ねるごとに感じさせられます。

この21年を振り返ると、ほんとうに『ついている』というか、『運がいい』としか言いようがないことがたくさんありました。私を支えてくださったスタッフとのご縁はもちろん、来院してくださる患者さん達にも恵まれ、多くの患者さんに支援していただいて今日があります。そのような皆様の支援に恥じることないように、今後もさらなる発展を目指して、多くの患者さんや社会に貢献できればと願っています。

今後ともよろしくお願いいたします。

2016年3月2日水曜日

花粉症の改善報告がたくさん!

花粉症のシーズンですが始まっているようですが、「今年は全然大丈夫!」という報告を何人かの患者さんからいただきました。毎年この時期になるとマスクが欠かせないという患者さんも2年ほど前に治療させていただきましたが、今年もマスクすることなく過ごしているとのこと。中には、「アレルギーの治療をしてもらって以来、すっかり良くなっていたのですが、また、少しぶり返しているようで・・・」という患者さんもおられましたが、全般的にアレルギー治療効果の喜びの報告をたくさん聞かせていただいています。

アレルギー治療で大切なポイントは「情報」=「エネルギー」としてとらえるということです。また、アレルギー症状を創り出す脳の記憶=プログラム化としてとらえることも大切です。アレルギー症状を引き起こす脳のプログラム化は、単一の情報の場合もあれば、複合した情報の場合もあります。いずれにせよ複数のプログラム化が複雑に関係しており、施術では絡まった糸を解きほぐすように整理して、アレルギー情報に慣れさせるように、無意識レベルの脳を再学習させていきます。

アレルギー症状の程度によって、完治までの治療回数は様々です。比較的治療回数を要するのは意識と無意識の不一致の度合いが高い場合です。しかしながら、患者さんが主体的に無意識の自分を理解しようと努める限り治療効果が徐々に表れてきます。花粉症対策には、マスクをしたり、対症的な薬を使ったりで、毎年症状に悩まされるのが当たり前かのように、根本的には治らないと諦めている患者さんが多いのではないでしょうか?

PCRTで治療効果を引き出すためには、単にハウツー的な手法ではなかなか効果が引き出せないかもしれません。PCRTの概念をしっかり理解して、単に反射系の施術だけでなく、大脳辺縁系や大脳皮質系へのアプローチが必要です。PCRTによるアレルギー治療の効果をもっと分かりやすく伝え、さらに多くの患者さんに喜んでいただければと願っています。

2016年3月1日火曜日

摂食障害の改善

【経緯】
最初は首や背中の痛みの改善目的で来院されていた患者さんから「言いにくいことだけど相談がありまして・・・」と、長年、「摂食障害」で悩まれているとのことで相談を受けた。摂食障害にも色々あるが、相談を受けた患者さんは、満腹感を感じるまで食べて、嘔吐を繰り返すというタイプとのこと。以前は太っていたが、そのパターンを繰り返すことで理想の体型を保てていたという。

一回目の施術
〈PCRT検査〉
お腹いっぱい食べないと気が済まないというイメージ=陽性反応
太ってしまう恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒自分がどんな風であっても認めてあげたい=陽性反応

二回目の施術(5日後)
〈患者のコメント〉
施術後、気持ちが楽になった気がします。
〈PCRT検査〉
お腹をいっぱいにする恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒太っていても自分の存在を認めてあげる

三回目の施術(4日後)
〈患者のコメント〉
お腹いっぱいにして吐く習慣はなくなったけど、その代わりに下半身のむくみや下腹部の張りが気になります。
〈PCRT検査〉
飲み物全般+執着心=吐きやすくするために飲むことに意識が向いていた。忠誠心=趣味=ダイエット=太らないようにすべき

四回目の施術(3日後)
〈患者のコメント〉
吐く習慣がなくなったので当然なんでしょうけど体重が3キロぐらい増えて、お腹の張りやむくみが気になります。
〈PCRT検査〉
慈悲心=苦しんでいる自分に対して 成長(価値観)=乗り越えようとしている自分に対して満足度が低い 復讐心=今までダイエットのためにお腹いっぱいまで食べ、嘔吐していた自分

五回目の施術(3日後)
〈患者のコメント〉
前回の施術の後、以前のように体重に対してはあまり気にならなくなり、今のままの自分でいいという意識がでてきました。今は、お腹を満たしたいというよりも、口を満たしたいという習慣が気になっています。
〈PCRT検査〉
口さみしくなるとき=陽性反応
⇒警戒心⇒つながり・愛情⇒お母さんとのつながり⇒痩せた時自慢の娘といわれた⇒お母さんに認められたい(承認)

六回目の施術(4日目)
〈患者コメント〉
吐いたりする行為はなくなったが、数年前から夜中に起きて甘いものを食べる習慣があります。その行為も異常だと思っていませんでしたが、最近、嘔吐する摂食障害がよくなって、それも異常な習慣だと感じるようになりました。
〈PCRT検査〉
夜中に甘いモノが欲しくなる記憶=陽性反応
意欲⇒つながり・愛情⇒ご主人⇒聴覚⇒ご主人からの言葉の満足度が低いための欲求

【考察】
摂食障害にも様々なパターンがあるが、満腹感を得られるまで食べ嘔吐を繰り返すというパターンは比較的多いかもしれない。今回ご紹介させていただいた患者さんの摂食障害は15年以上も続いたとのこと。深層心理的に深い内容が絡んでいたにも関わらず、このPCRTの検査で施術を進めていくと比較的早期に改善がみられる。早い人では1回から2回の施術で異常な過食の欲求がなくなり、だんだんとスマートな体型、というよりも本人らしい理想の体型になっていく患者さんもいる。恐らく通常の心理療法やカウンセリング療法であれば、ここまで深い誤作動記憶にたどり着くには相当な時間がかかるだろう。PCRTは摂食障害など、深層心理に関係する無意識の誤作動記憶の施術には効果的ではあるが、本人が本当に心から治したいという気持ち(コミットメント)の度合いが強くなければ効果が得られないというネックはある。しかしながら、摂食障害に限らずメンタルヘルスに関係する障害で、本人のコミットメントの程度が高ければ高いほど、PCRTによる施術効果は高いと感じている。

2016年2月20日土曜日

開催15年のANJ主催のAMセミナー

今年初めてのAMセミナーを大阪で開催した。日本で初めて米国と同等の国際基準のAMプログラムを開催し今年で15周年。その間、多くの先生方に受講していいただいた。熱心な先生には指導者としての立場でもご協力いただいている。

ANJセミナーは、米国からの教育マニュアルをそのまま日本語に翻訳して指導させていただいている。日本の風土に合うように指導法の工夫にも力を入れてきた。日本のインストラクターチーム内でのトレーニングやミーティングを頻繁に積み重ね、いかに効果的なセミナーに発展させることができるか色々と試行錯誤してきた。

いかにして二日間のセミナーを充実させるか?ティーティングとコーチング手法を織り交ぜながら、受講者がいかに効率的に知識やスキルをマスターすることができるのかの指導要綱を研究し続けてきた。長年の研究の中での大きな気づきの一つは「手とり足とり教え過ぎない」というものだった。

問題点を何度指摘しても、多くの受講生は同じ問題を何度も繰り返す。「それはなぜか?」それは、「自ら考えて、自ら気づきを得ようとしていないからだ」ということが見えてきた。シンプルにいえば、受け身で教えてもらおうとするのか、主体的に学び取ろうとしているのかの違いだ。

一見、手とり足とり指導員から教えてもった方が上達は早いと思われるかもしれないが、そうとは限らない。基本的に自ら学び取ろうとする姿勢がないと上達はし難い。今では受け身で学ぶのではなく、受講者自らが学び取る姿勢や受講者間で学び合う姿勢は、とても効果的な学習スタイルになっている。

受講者からのフィードバックやアンケートからも満足度が高いことが伺えるが、現在の指導法に甘んじずにさらなる研究を積み重ねていきたい。

2016年2月7日日曜日

「生体(生命)エネルギー」とは


「生体エネルギー」というと、非科学的だという理由で怪しいと感じる人も少なくはないかもしれません。血液が流れているということは、心臓の鼓動や脈拍を触れることで感じることができますし、西洋医学的にも広く知られています。しかし、「生体エネルギー」が身体を循環しているということはあまり知られていません。その大きな理由の一つが、目には見えない存在だからです。「生体エネルギー」は様々な角度で説明されています。

神経学的な視点でいえば、電気信号のようなものです。例えば、脳や神経系の一部が損傷すると、神経が発する神経エネルギーは途絶えて、その末端で支配されていた筋肉や臓器は動かなくなります。死を迎えると、脳や神経が損傷していなくても神経エネルギーを含むすべての生体エネルギーは循環しなくなります。

東洋医学的には、「生体エネルギー」を「気」と呼び、その循環経路を「経絡」と呼んでいます。「経絡」は古くから鍼灸治療で活用され、経絡を流れる「気」(生体エネルギー)の循環を改善させるために「ツボ」に鍼で刺激したり、お灸を施したりします。また、「経絡」以外にも肉体内外を通り抜けて循環する「チャクラ」と呼ばれるエネルギーの通り道もあり、古代のインドから伝えられています。さらには、このような肉体内外を循環する経絡やチャクラ以外に「オーラ」と呼ばれる肉体外に湧き出るエネルギーもあります。

もしも、これらの生体エネルギーが正常に循環されずに滞ってしまうと、様々な症状や病気が引き起こされます。「経絡」、「チャクラ」、「オーラ」に関係する肉体内外の生体エネルギーがブロックされているかどうかは、自然治癒力が正常に機能しているかどうかの重要な判断基準になります。これらの生体エネルギーブロック(EB)が開放されると、ほとんどの症状が改善されているということを長年の臨床研究で確認してきています。

では、このEBの存在をどのように判断するのでしょうか。すでにご存知かと思いますが、身体を使った生体反応検査法で判断します。異常のある部位を押さえたり、手をかざしたりしてもらうと、レッグテスト(下肢長差テスト)やマッスルテスト(筋抵抗テスト)で陽性反応が示されます。

このような生体反応検査による陽性反応を感じて、最初は驚かれる方が多いのですが、身体を使った検査法に慣れてくると、当たり前のように陽性反応が感じられるようになります。そして、肉体内外のエネルギーブロックを解放させることが健康維持のために大切であるということがご理解いただけるようになってきます。

EBは症状があるときだけ存在するとは限りません。体調不良を自覚していなくても、陽性反応が示されることも多々あります。特に体調不良を感じていなくても病気の予防や健康維持のためなど、メンテナンス的に当院をご利用ください。

オーラの絵図はSacred Mirrorsより引用させていただきました。
チャクラの図は「光の手」バーバラ・アン・ブレンナ著より引用させていただきました。

2016年1月25日月曜日

「生体反応検査法」の原理とは?

先日、ナノテクノロジーを使って早期がん検査の開発を行っているという番組をたまたまテレビで見ました。最近ではナノテクノロジーの発展に伴い、一滴の血液だけでがんを判別する方法を開発したということを紹介していました。その早期発見につながる原理となったのは、分子レベルでの電荷状態の応用です。簡単に言うと、がん関連物質がもつプラス荷電状態を利用して、マイナスの荷電の検査用チップに吸着させてがん有無判定を行っているとのことです。

私はこの番組を見て、以前行っていた生体反応検査法の研究でいろいろと臨床現場で試していた時のことを思い出しました。留学時代、様々なカイロプラクティックのセミナーを受けて、生体の異常のある部位を触ると、筋力が弱化したりすることを学んでいました。その詳しい原理は分かっていませんが、その学びをヒントに生体に磁石を当てながら、生体反応検査法を行っていました。磁石にも色々な種類や磁力の強さがあり、強い磁力の磁石も海外から取り寄せたりして、様々な角度から生体のエネルギー反応を研究していました。

その時に明らかに感じたことは、症状や病気に関係する自然治癒力は、磁力や電荷などのエネルギー的な観点でとらえる必要があるということです。そして、自然治癒力を引き出すことを目的にしている治療者は、身体を「物質的」にとらえるのではなく、「エネルギー的」にとらえることが必要であるということを確信しました。身体の状態を「物質的に診る」のか、あるいは「エネルギー的に診る」のかでは、症状や病気に対する考え方も治療法も随分と異なります。

カイロプラクティックを例にいえば、物質的に診るカイロプラクティックの場合、「背骨がズレているから腰が痛い」となりがちです。エネルギー的に診るカイロプラクティックの場合、「身体をコントロールしている神経エネルギーが滞っているから腰が痛い」となるでしょう。私は、「エネルギー的」という意味をナノテクノロジー的にいえば、「分子レベルで生体内のプラス、あるいはマイナス電荷のバランスが調和されていない状態、偏りのある状態」だと考えています。

研究会では、図のような仮説図を描いて説明していた時もありました。エネルギー的に異常がある部位を私たちはエネルギーブルロック(EB)と呼んでいますが、そこには分子レベルでマイナスの電荷ばかり、あるいはプラスの電荷ばかりが偏って、生体エネルギー的なバランス異常をきたしているという仮説です。今回のような最新技術による科学的な研究をみると、私が想像しているEBの仮説もまんざら捨てたものではないと改めて感じました。

いつの日かこのような仮説が科学的に検証され、社会に役立つことを願いながら、今後も臨床での研究を継続していきたいと考えています。

2016年1月4日月曜日

明けましておめでとうございます。

昨年は、ファミリーカイロの20周年からあっという間に1年が過ぎました。多くの人に支えられて今日があることをしみじみと振り返ることができました。今年も皆様の健康のお役に立てることに感謝しながら、様々なことに挑戦し、成長を積み重ねていくことができればと願っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

ライフコンパスアカデミー(LCA)では、昨年も多くの先生方にアクティベータ・メソッド(AM)、PCRT研究会、臨床スキルのプログラムにご参加いただきました。2015年の大きな節目として、PCRTが10周年を迎え、第50回の研究会を開催することができました。ここまで継続できたのも熱心に参加してくださった先生方のお蔭だと深く感謝しております。

2016年のLCAは、筋骨格系に即効性のあるAM、様々な「慢性症状」に効果的なPCRT、そして、単に症状の改善だけでなく、より豊かな人生をサポートするコーチ養成講座のプログラムも計画しております。今年も、LCAは「挑戦」「成長」「貢献」をテーマに掲げて前進してまいります。

皆様にとって実りのある一年でありますことをお祈り申し上げます。

2015年12月7日月曜日

治癒効果に欠かせない「信頼」と「コミットメント」

「慢性症状が改善する人と、改善しない人の違いは何か」ということを長年探求している治療家の立場で考えると、治療効果を引き出す前提条件として、「信頼」と「コミットメント」が最重要課題であるとつくづく感じます。これは、行動心理学を取り入れたコーチング手法を臨床に取り入れるようになってからさらに明確になってきました。

私たちが患者に施す治療、あるいは施術というものは、外科医や歯科医が行う治療とは大きく異なります。例えば、外科医が骨折の手術をする場合、何回も治療を繰り返すということはありません。1回、あるいは2回ほどの手術で完了する。治療が成功するかどうかは、外科医の技量が90%以上影響を及ぼすのではないでしょうか?

患者が外科医自身の「人間性」を信頼しているか、外科医が施す「治療法」を信頼しているか、あるいは、完治するまで治療を継続し続けるという患者の「コミットメント」がどれだけ高いかということはあまり関係しないでしょう。外科医が有資格者である以上、その技術技能を疑うことも少ないでしょうし、何度も手術を繰り返すわけでもありません。

外科医と患者との信頼関係や、患者の治療に対するコミットメントは、構造的な問題を修復する限り、あまり問題にはなりません。その場合の治療が成功するかどうかは、ほとんどドクターの専門の技術技能に委ねられるのです。

さて、患者自身が持つ自然治癒力を引き出すことを目的とする治療の場合の「信頼」と「コミットメント」の影響はどうでしょうか?構造的な修復を目的とした治療とは性質が異なります。自然治癒力を引き出すことを目的とする治療者と患者との関係において、それは重要課題であり、治療を成功させるためには必須条件になるでしょう。

目には見えない「自然治癒力」というものは、「無意識」の心との関係性が深く、深層心理に深く影響されます。例えば、2年以上も腰痛の慢性症状を抱えている患者さんの場合、一回目の治療で効果が実感できたので、治療計画通りに通院され、徐々に症状が改善されて完治する。これは、慢性症状改善の通常の道のりです。

その一方で、通常の道のりから外れる患者さんもいます。同じような症状で、継続すれば基本的には治る可能性のある慢性症状なのですが、そこにブレーキをかける4つの要因があります。

一つ目は、「患者と術者」との信頼関係
二つ目は、患者と術者が選択する「治療法」に対する信頼
三つめは、自分自身の「自然治癒力」に対する信頼
四つ目は、患者の治療継続に対する「コミットメント」

一つ目の患者と術者の信頼関係は、簡単に言えば、人と人との相性です。言葉では表すことができないけれどもお互いに、あるいはどちらか一方で、合う合わないなどの違和感がある場合です。

二つ目は、術者が施す治療法に対して、患者が期待している治療法と食い違っている場合、あるいは、治療法の意図や目的が理解しがたい場合などです。

三つ目は、患者自身は治すつもりで来院しているのですが、無意識的に自分の症状が改善されることが信じられない、すなわち自分の治癒力が信じられない場合です。この場合、過去の治らない記憶が潜在的に学習記憶されている場合や医学情報による制限された信念、あるいは治ること、健康になることで重い負担がかかったり、責任が生じたりすることを潜在的に避けている場合があります。

四つ目は、患者が症状を継続的に治そうとする覚悟(コミットメント)が本当にあるかどうかです。コミットメントがある場合、患者は、完治するまで粘り強く治療を継続されます。そこまでの時間とお金を費やしてまで、治そうと思わない場合もあります。コミットメントは言葉だけでは分からない傾向があります。

「藁をもすがる気持ちで・・・治したい!」という患者さんが、完治していないのに一回、あるいは数回の治療で来院されなくなるという場合もあれば、言葉少なく、あまり信頼されていないのかなと感じる患者さんや「なかなか治らない」と不満をいいつつも、継続的に治療を受けるなど、その人がどのように行動するのかを確認するまでは言葉だけでは「信頼」と「コミットメント」の質や程度は分からないものです。

一言に「信頼している」といってもその種類は程度、質など様々な関係性があります。言葉で信頼しているというのは簡単ですが、その信頼というものは、結果的には行動で表されるということだと思います。

患者に信頼される側の治療者自身も、どの程度、あるいはどのような性質で信頼関係を維持しようとしているのか、また、治療者として患者に貢献するために生涯を掛ける覚悟、コミットメントがあるのか、自分自身に問いかけることは大切なことだと思います。

2015年12月1日火曜日

「身体に聞く検査法」とは?「無意識への問診」


当院で治療を受けていただいた方はすでにご存じの方も多いかと思いますが、調整を行うか否かの判断は、「通常医療」とは異なる「身体に聞く検査法」に基づいています。そして、その検査結果に基づいて「身体の働き」や「生体エネルギー」の調整を行っています。

「身体に聞く検査法」は、目で確認できるような西洋医学的検査だけしか信じられないという方にとっては「不可思議な検査法」になるかもしれません。この「身体に聞く検査法」には、当院で行っている「下肢長比較」と「筋肉テスト」による検査法があります。これは、米国のカイロプラクティックという療法から始まりました。

下肢長比較による検査法は1920年代、筋肉テストは1940年代から体系化され、多くのカイロプラクティックドクターによって治療の判断基準として使われてきました。このような検査法は、信頼性のある科学的論文で、一部客観性が証明されていますが、心‐脳‐身体の関係性は複雑で、研究のための「客観性」を再現するのはとても困難とされています。

しかしながら、このような検査法を信じていただける患者さんには、的確で再現性のある検査ができますので、その検査結果による治療効果は高くなります。逆にいうと、このような検査法が信じられない患者さんの場合は、検査法が不安定になり、それに伴って治療効果がうまく引き出せないこともあります。

この「身体に聞く検査法」のすごいところは、無意識の誤作動記憶にアクセスできるところです。私たちの心‐脳‐身体はほとんど無意識の世界で活動しています。内臓系での消化やホルモン系の代謝、あるいは、筋肉の緊張やリラックスもほとんど無意識的(約95%)にコントロールされています。

この無意識のコントロール系が誤作動を起こして、その誤作動が脳や身体に記憶化されると、様々な慢性症状が生じてしまいます。この慢性症状を引き起こす誤作動の記憶を検査するためには、無意識の心‐脳‐身体に聞くのが早いのです。「意識の心」ではなく「無意識の心」へのアプローチがポイントです。

「意識への問診」も大切ですが、身体に聞く「無意識への問診」の方が数段価値が高く、信頼できると考えており、それゆえに、ほとんどの検査法は「身体に聞く検査法」に委ねられています。このような検査法は非科学的だと揶揄されがちですが、信頼関係が保てる限り、脳は高性能の検査結果を出してくれるといつも感じています。これからも「身体に聞く検査法」に磨きをかけて、皆様の健康にお役に立つことができればと願っています。

2015年11月18日水曜日

中級2研究会を終えて・・・

先日、PCRT研究会では、システム思考のPCRTなどの総論から始まり患者教育のポイント、アレルギー治療、五感チャートの応用、信念や価値観に関する説明の仕方や上級の意味記憶とエピソード記憶に関連する誤作動の調整法などを学びました。

今年の基礎1から連続して参加され、臨床現場で活用されている先生方は、段階を踏みながら明らかに上達されている様子が伺えました。生体反応検査法も着実に安定してきており、PCRTの本質的な概念もしっかりと把握していただいているように感じました。

症例報告では、受講されている先生方からは、慢性の肩こりが「金属アレルギー」に関係していたという症例報告と、「2か月間続いている胃痛の症状改善」の症例報告をプレゼンテーションしていただきました。2例とも今回の講義内容と関係した内容で、興味深い症例報告でした。

症状改善が有効的だった要因の一つに、施術前のオリエンテーションを強調されていたのが印象的でした。患者さんにPCRT検査法の意図や意味を上手に説明され、患者さんとのラポールをしっかりと築きながら慢性症状の改善に努められた様子がよく分かりました。

PCRTは通常の医療はもちろん、通常の代替医療とも異なる治療法ですので、患者さんにPCRTの施術内容を理解していただくことは、治療効果を引き出すための必須条件になります。

今回の研究会でも、患者教育としてのPCRTで治療効果を引き出すための5つのポイントの説明の仕方をご紹介しました。

1. 生体反応検査法
2. 心身相関
3. 意識と無意識
4. 誤作動記憶
5. 脳(無意識)の言語反応の検査

この5つのポイントを患者さんに理解してもらうと、施術がスムーズに進行し、多くの患者さんが積極的に治療に関わってくれます。心理学や心身相関に興味のある患者さんは喜んで治療を受けてもらえることが多いのですが、そのような患者さんばかりではないので、今後も患者教育に関して研究を深めて工夫していきたいと考えています。

2015年11月6日金曜日

「記憶と情動の脳科学」を読んで

PCRT研究会を開催する前から、慢性症状には「メンタル系」との関わりが非常に強いということと、慢性症状に関係する生体のバランス異常は、構造面ではなく生体エネルギー面に目を向けなくてはならないということが分かっていました。

其の後、心身相関と生体エネルギーの知識を取り入れながら、その視点で臨床研究を積み重ねていきました。すると、「記憶」という脳科学の分野にも密接に関係があることが分かり、脳科学の分野にも目を向けて知識の領域を広げていきました。

脳科学分野の本にはかなり目を向けてきたつもりでしたが、最近、まだ読んでいない脳科学系の本に偶然出会いました。それは、PCRTに密接に関係する『記憶と情動の脳科学』「忘れにくい記憶」の作られ方という題の本で、内容もとても興味深く、PCRTで臨床研究してきたことを裏付けてくれるような内容でもありました。

慢性症状の原因が、「誤作動記憶」にあるということに触れてはいませんが、「記憶」と「情動」(感情)が密接に関係しており、長期記憶には「情動」が深くかかわっているということを分かりやすく説明しています。PCRTの視点でいえば、慢性症状を引き起こしている脳の誤作動が、長期に記憶されているから症状が長引いているとう説明の裏付けとなります。

この本では「情動」という一般的には聞き慣れない言葉と使っています。英語では、情動はEmotion、感情はFeelingsです。PCRTでは、一般の人にも理解しやすいように、EmotionもFeelingsもまとめて「感情」という用語を使っています。とくにPCRTで扱う感情は、潜在的、あるいは無意識的な感情であるということが、「ミソ」です。

この本で興味深いところは、長期の記憶には、「情動」が深く関係しているというところのほかに、「捏造される記憶」、『「思い出すこと」=「創り出すこと」』、「蓄積してきた記憶が組み合わされる」『「予測」は過去の記憶があってこそ』などで、PCRTの理論背景と通じることが多く見受けられます。

著者のジェームズ・マッガウ氏は、「学習」と「記憶」の分野で研究を継続しているアメリカの神経性物学者で、半世紀にわたって記憶に関する神経生物学的プロセスを研究してきました。このようなPCRTと密接に関連する著書に出会えるということは、臨床研究を積み重ねている臨床家にとっては多大な喜びです。

パブロフから始まった「古典的条件付づけ(条件反射)、「道具的条件付け」「学習」、「行動」、「習慣」、そして「記憶」に関するこのような研究成果には、「慢性症状」を改善させるヒントがたくさん含まれていると私は考えています。

今後も、このような研究者の著書に遭遇できるようにアンテナを張りながら、臨床と勉強を継続していきたいと思います。

2015年11月3日火曜日

「部分」と「全体」との調和

先日は、偶然にも同じような原因パターンを抱えた患者さんお二人が来院された。主な症状は関節痛。原因となる本質な無意識的な思考パターン、すなわち「誤作動記憶」の性質が同じだった。

症状の原因から結果の大まかな流れをまとめると、無意識的な思考パターン⇒神経系への誤作動記憶⇒筋肉・関節の機能障害⇒症状

一人目の患者さんは、股関節と腰の痛みを訴えて来院。趣味でダンスをされている患者さん。以前はラテンを熱心に練習されていたが、最近になってモダンバレエを練習されているとのこと。

「練習の際にはどこを意識していますか?」と尋ねてみると、背筋を意識されているとのこと。PCRTの検査をしてみると、神経系に誤作動があることを示す陽性反応が示される。

今度は、「ご自分が理想となる全体的なイメージはできますか?」と尋ねると、最初は「???、あ~プロの人が踊っているイメージならできます・・」

「では、ご自分がプロの人のように踊っているかのようなイメージをしてみましょうか」

PCRTの検査をしてみると、誤作動反応は示されない。

「部分だけ意識し過ぎると、パフォーマンスが悪くなるので、全体的な理想のイメージをされたほうがいいですね」

二人目の患者さんは、肘関節の痛みを訴えて来院。高校の水泳部に所属しており、最近、本で腕の使い方や腕の働きに関係する筋肉の使い方の情報を独学で学んだとのこと。

「泳ぐときはどこを意識していますか?」と尋ねると、水をかく際の腕の使い方だという。

そのイメージで、PCRTの検査をしてみると誤作動反応が示される。

「部分的な技術ではなく、理想的な泳ぎになる全体的なパフォーマンスを意識して泳ぐイメージではどうですか」

そのイメージで、PCRTの検査をしてみると誤作動反応が示されない。

ということは、運動の種目は異なっても、共通する点は、部分的な技術改善を試みて練習すると、かえってパフォーマンスも偏り、神経や筋肉の働きが不調和になって、関節痛や筋肉痛などの症状を生じやすくなるということになる。

これは多くのスポーツ障害に共通する原因の一つである。パフォーマンスを向上させるために、指導者や教本など様々な技術論を指導されたり、学んだりすることで、いつの間にか、意識が身体の「部分」ばかりに偏って、「全体」との調和が保てなくなる。そして、かえってパフォーマンスが悪くなったり、故障しやすくなったりする事例は少なくはないようだ。

スポーツの技術を向上させるための部分的な指導を受けることも大切だが、「部分」と「全体」との調和は必須条件。むしろ、理想の全体的なパフォーマンスを先にイメージして、後から身体の部分がそのイメージについてくるという考え方の方が、自然にバランスが取れて技術も向上できていくようだ。

これは、人生におけるパフォーマンスという大きなゴールにおいても、同じようなことがいえるのではなかろうか?

例えば、人生において、仕事、家族、お金、家や車、健康、人間関係など様々な課題がある。どれも大切な課題であるが、もしも、お金や物質面だけの豊かさばかりに目を向け、健康面や人間関係をおろそかにしてしまうと、人生全体のバランスはどうなるだろうか?

大切なのは、自分にとっての人生をどのように過ごしていきたいのかという「全体」と、それを可能にさせる「部分」との調和ということになるだろう。「部分」と「全体」との調和は、スポーツに限らず、人生全体にも影響を及ぼすということを、常に意識しておく必要があるようだ。

2015年10月28日水曜日

治療効果を引き出す「エネルギー医学の目」「心身相関医療の目」「脳科学の目」

最近、「患者教育手法」が治療効果を引き出すうえで必修条件になるということをつくづく感じる。特に心身条件反射療法(PCRT)のように、通常医療とは異なる考え方で治療を提供する場合、多くの患者さんが一般常識的な「西洋医学の目」で診てもらうことを期待しており、最初は不思議な治療と思われる傾向が強い。また、施術者も「西洋医学の目」で診る知識や検査技術を訓練することで、患者さんからの信頼を得ようとする傾向があるだろう。それも大切な信頼関係になるかもしれない。

その一方で、西洋医学的に基づく一般常識的な知識が、自然治癒力を妨げていることも少なくはない。例えば、身体の構造面や機能面ばかりに目を向けて、「心と身体の関係性」には目を向けようとしない。あるいは身体の不調は、身体の構造や機能異常だけにあるという思い込みが強い場合、その「信念体系」は自然治癒力の妨げになることがある。

例えば、先日来院された中学生女子の場合、病院で腰椎分離症と診断を受け、3か月間ほどコルセットを着用していたそうだ。腰痛は約一年半前から、肩関節の痛みは5か月前からあり、頻繁に痛みを繰り返しているとのこと。週に5日バトミントンの練習を行っており、特定の動きができなくなっているらしい。

初回の施術では、肉体面の機能異常障害を脊柱中心にAMで調整した後、さらにメンタル面との関係性による誤作動記憶の調整を行った。特に「恐れ」に関するキーワードは、肉体面に影響を及ぼしていた様子。症状が改善されないことによって、バトミントンの試合に負け、さらには練習が楽しくなくなり、最終的にはバトミントンを辞めることになるのではないかという未来へのネガティブな空想が関係していた。

2回目、8日後の来院日、初診時の症状はかなり改善されていたが、腰に違和感があるとのこと。PCRTの検査をしてみると、「意味記憶」の誤作動が関係していた。脊椎分離症との診断を受け、無意識的に動きを制限していたようだ。「意味記憶」とはどのような影響を及ぼすのかという本質を分かりやすく説明して調整を行った。

その後、二回ほど来院され、腰痛や関節痛はほとんど良好とのことで喜んでいただいている。もしも、このような「意味記憶」による誤作動記憶の調整をしていなければ、恐らく腰痛の慢性化は継続していただろう。施術によって肉体面のバランスをしっかりと調整しても、無意識の脳は、繰り返し慢性症状を引き起こさせていただろう。

このように、慢性症状を本質的に改善させるためには「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係する誤作動記憶の調整はとてもパワフルだと感じる。ただし、このような治療法はほとんど一般には知られていないので、「西洋医学の目」で診てもらうことを期待している患者さんにはあまり効果が引き出されないかもしれない。

PCRTの「誤作動記憶を調整する」という治療法の意図や理屈をある程度納得していただけているかどうかは、治療効果を引き出すための前提条件になるだろう。PCRTの治療法の説明、いわゆる「患者教育」は、患者さんとの信頼関係を築いて治療効果を引き出すためにはとても大切な要因になるだろう。PCRTを希望される患者さんには「エネルギー医学の目」「心身相関医療の目」「脳科学の目」で診ているということをしっかりと理解していただけるように努めたい。

次回のPCRT研究会では、PCRTの患者教育手法や「意味記憶」や「エピソード記憶」の上級編もご紹介させていただく。

2015年10月23日金曜日

2015年度PCRT中級2

11月15日と16日にPCRT中級2を開催します。
今回は以下の内容を予定しています。


  • アレルギー治療の基本ステップ
  • 花粉症・慢性鼻炎の治療
  • 食物アレルギーの治療
  • 皮膚症状の治療
  • サプリ・化粧品・薬剤など適合検査法と調整
  • 五感チャートの応用
  • 分野・立場・時系列チャートの応用
  • 潜在感情・価値観・信念について
  • 信念と価値観に関わるワーク
  • 信念チャート①&②の質問の仕方
  • 価値観チャートの質問の仕方
  • 意味記憶とエピソード記憶の上級治療


今年から新しいPCRTプロコルチャートに沿った手順をご紹介しています。以前よりもかなりマニュアル化され、PCRTが導入しやすくなりました。また、アレルギー治療の検査でもアレルゲンチャートを使うことで、よりスピーディーに、的確に検査を進めることができるようになりました。

アレルギー症状を本質的に改善させるためには、特に潜在感情や信念、価値観などの大脳辺縁系との組み合わせがとても重要になります。次回の研究会ではそのあたりのプロトコルを詳しくご紹介させていただく予定です。

PCRT治療法が進化するにつれて、治療者の検査領域の幅が広がり、信念と価値観に関係するチャートを使う頻度も多くなる傾向があります。潜在的な信念に関わる誤作動記憶の治療はパワフルです。パワフルであるがゆえに、信念と価値観のチャートの使い方を誤ると患者さんに誤解を招いて信頼関係に影響を及ぼすこともあるかもしれません。

このような潜在意識に関わる誤作動記憶の治療を行うためには適切なトレーニングが必要です。奥深い治療法をマスターされたい先生方には喜んでいただけるトレーニングになると思います。

先生方のご参加を楽しみにしております。

2015年10月21日水曜日

今年最後のAMセミナーを終えて


先週末、東京都内でAMセミナーを開催した。多くの臨床家に参加していただき、活気にあふれた二日間だった。

今回は基礎編、中級編、上級編と3クラスが同時進行したセミナーだった。AMセミナーでは、毎回、初心者、中級レベル、上級レベルと経験の浅い先生から経験豊富な先生方が混同して参加されている。経験豊富な先生でも、初心にかえる、基礎編を謙虚に学び、偏った我流がないかどうかを確かめて修正点を学ぶ。

常に新しい情報を期待している先生方もいるだろう。もしかすると、そこには、すでに『知っている』、『できている』という慢心が潜んでいるかもしれない。臨床現場では、多くの先生方が一人で自分のペースで施術を行い、だれも評価してくれない。だから何ができていて、何ができていないのか、分からないことも多いのではないだろうか。

AMが熟練されると、5分ぐらいで基本的な施術は完了することが多い。しかしながら、一人の患者さんに20~30分も掛けて施術を行うことが当たり前になっている先生も少なくはない様だ。施術時間が短ければよいというものではないが、本質的に必要な部位だけ調整すれば、時間は短縮するだろう。

もしも、AMの施術に20分以上も費やしているAM治療者であれば、改善点はたくさんあるはずだ。新しい情報を取り入れることも大切だが、もっと基本を重視して、無駄な矯正や無駄な動きがないか自分自身を振り返り、本質的なAMのスキルに磨きをかけたほうが賢明かもしれない。

施術のテクニックを学ぶには、セミナーに参加する以外に、教科書やDVDなどから学ぶこともできる。それらも必要な学びの手段であることは言うまでもない。だが、さらに大事なことは、『体験すること』『感じとること』ではないかと、つくづく感じる。

体験して感じるから、頭で学んだことが腑に落ちて、さらに盲点が見えてくることもある。頭と身体の両方を使いながら学びを深めなければ、実践で使える血肉とならないだろう。新しい情報を得ると脳は喜ぶが、そのような情報に振り回されて、地に足がつかない状態も危険がはらんでいるかもしれない。

今後も本質的な施術を目指す治療者の教育に関わり、多くの患者さんに貢献できればと願う。

2015年10月17日土曜日

イップスを予防するための治療

先日、送球イップスで通院していた高校一年生の男子生徒が約1か月半ぶりの来院。その後は、イップスの症状も改善されて調子は良好とのこと。2年ほど前から生じていたイップスが、4回の施術でほぼ改善されていた。

今回は、数日前の試合で、初回のセカンドからファーストへの送球でボールが引っかかり、送球がそれたとのこと。その後、3回までは違和感があり、それ以降、問題がなかったという。

PCRTの検査を行ってみると、最初にひっかけた際の送球イメージでは反応が示されなかったが、その後の送球イメージでは陽性反応が示された。感情チャートで検査をしてみると、イップスが再発するのではないかという不安と先輩に申し訳ないという感情が関係していた。

最初のボールを引っ掛けた送球では反応が示されなかったが、念のために、その送球をする前の状況を尋ね、場面をイメージしてもらうと陽性反応が示された。初回のセカンドの守備で、ツーアウトの場面、感情チャートで潜在意識に関係するキーワードを調べてみると、意欲的に頑張ろうという潜在感情が関係していた。

「頑張ろう」という意欲は、肯定的でその意識自体には問題はないが、身体を緊張させる誤作動記憶を生じさせる人が多い、特にこの傾向はスポーツ選手に良くあるパターンだ。その場合は「試合だからといって張り切ると身体が緊張しやすくなるので、いつもの練習通り(平常心)を意識してみてはどうか」ということを提案する。

患者さんによるとバッティングでも調子が悪くなっているとのことで、尋ねてみると練習でのバッティングには問題がないという。検査をしてみると、同じような試合での意欲に関係する誤作動記憶が絡んでいた。この誤作動記憶も施術によって正常に切り替えた。

高校一年生ではあるが、PCRTによるイップスの治療を良く理解してくれている。今回、調子はとてもよかったらしいが、送球やバッティングでの違和感を感じたため放置せずにすぐに来院してくれた。もしも、このような目には見えない誤作動記憶を放置してしまうと、恐らく脳のプログラムは自動的に症状を引き起こすことが多いだろう。

これからもイップスを予防するために、自分の身体と心の状態を把握して、必要に応じて利用していただければと願う。

2015年10月14日水曜日

アレルギー症状の改善

【はじめに】
食物アレルギーや花粉症など症状を抱えている患者さんが来院。アレルギーが原因で、頭痛、不眠、胃腸障害などを生じる。食物アレルギーは20年ほど前からあったが、特に4年前ぐらいからひどくなり、食べるものにはかなり制限がでているとのこと。ほとんど限られたものしか食べられない様子で日常生活に様々な支障を期待しているようだった。病院でのアレルギー検査でも様々は反応がでていたとのこと。信頼関係のある当院の患者さんを通じてご紹介していただいた。

【初診時】
アレルギー検査は、患者さんの希望とPCRTプロトコルに照らし合わせながら、食物に関係する検査から始めた。PCRTの検査にて、卵、乳製品、サバ、アジ、イワシ、カニ、エビなどに加えて、人間関係に関係する複数の信念が関係していたことが判明した。PCRTの施術にて陽性反応を陰性化させる。

【二回目】
約一か月後、患者さんの希望により、遠方からの来院でもあることから2枠をご予約いただき通常施術よりも時間を掛けて施術を行う。今回は、以前から摂取している健康食品の検査も合わせて行う。6種類ほどの健康食品の中で、3種類は陽性反応を示し、PCRTの施術にて2種類は陰性化したが、一種類は陰性化されなかった。
前回行ったサバ、アジ、イワシ、カニ、エビは陰性化。アレルギー症状が長期化している患者さんの多くで、大脳皮質系の誤作動記憶、すなわち意味記憶やエピソード記憶が関係している場合が多い。本症例の患者さんも、経験に基づくいくつかの意味記憶が関係していたので、信念に関係する施術と合わせて行う。

【3回目】
約一か月後に来院。2枠での施術。前回と同様に、以前から摂取している健康食品を検査。一種類の健康食品以外は、すべて陰性反応を示す。化粧品も検査し、陽性反応を切り替える。果物全体、小麦、ピーナッツ、卵、青魚なども意味記憶の誤作動で反応が示されたので、潜在感情や信念と合わせて調整を行う。

【4回目】
約一か月後に来院。2枠での施術。前回と同様に、以前から摂取している健康食品や化粧品を検査。一種類の健康食品だけが数回施術を試みても合わないので、必要なければ控えたほうがよいとのアドバイスを行う。以前は食べられなかった卵も食べられるようになり、今まで制限してきた食品もかなり食べられるようになったと喜ばれていた。香辛料なども食べられるようになりたいとのことで、香辛料を検査。カレー粉と唐辛子に陽性反応。このように長期にわたってアレルギー症状を抱えていると、アレルギー体質が当たり前の自分になってしまうことが多い。これは「エピソード記憶」として脳に定着しており、適切な治療をしなければ、治ること自体に脳が抵抗を示すことになる。

【考察】
まだ、治療途中ではあるが、アレルギー治療を施すごとに、症状を引き起こす誤作動記憶の反応が消去され、患者さん自身も本来の食生活を取り戻している。患者さんの年齢は60代、20年ほど前にアレルギー症状を発症。それ以前はそのような症状には悩まされなかったことから考えて、後天的にアレルギーを生じさせるように学習記憶した結果によってアレルギー体質になったことが推測できる。言い換えると、再学習すれば、元の体質に戻すことが可能であるとうこと。そのようなアレルギー症状に関する捉え方やPCRTによるアレルギー治療のポイントを説明させていただいた。本来は「治る力」を備えていることと、治療法に関する理解を得られたことが、良好な結果を生み出してくれたと感じる。

アレルギー症状を改善するためには、様々なアレルゲンを身体に合わせていくことが必要である。単一のアレルゲン情報だけで症状が改善される場合もあるが、そのアレルギー情報と一緒に条件付けされた背後にある潜在感情、信念、意味記憶やエピソード記憶に関連する治療と組み合わせて治療をすることが大切である。PCRTではそのような誤作動記憶を特定して本質的な施術を行い、様々なアレルギー症状の改善に努めている。

2015年10月9日金曜日

『成長』は自分への「問いかけ」から始まる

先日のコーチング・セッションで、たまたまでてきた大切な「気づき」がある。小学校の教師であるクライアントさんは、チームコーチングを使った学級経営を行っている。担当のクラスの小学生に対して価値観を問うアンケートを試みている。

そのアンケートの問いが、自らに問いかける内容が多かったためなのか、最初に比べるとクラスが、全体的にとてもよい風土になってきたとのこと。クラスを受け持ってからチームコーチングを取り入れ、価値観を問うアンケート以外にも、ゴールや人間関係に関するアンケートなども行ってきた影響もあるだろう。

アンケートで自らのことを問うことで、知らず知らずのうちに「他者批判」ではなく、「自己反省」をする子供が増えてきたのではないかとのこと。そして、セッションでは、「問う」ということがいかに大切かという話題になった。

とても大切なことなので、改めて整理してシェアさせていただく。「問いかける」ということは「成長」のために欠かせない。能力的な成長には他者への問いかけが必要であるが、人間的な自己成長には特に自らに「問う」ということ大切になる。つまり、「問いかけること」は成長の源になる。逆にいえば、「問いかけること」を辞めてしまうと、そこから成長が止まることになるだろう。

「問う」ということを内向き」と「外向き」に分けてみよう。

  • 「内向きの問い」とは自分自身の思考、言動、行動、習慣などについて問うということ。
  • 「外向きの問い」とは相手の言動や行動、あるいは会社、組織、社会などついて問うということ。
  • 内向きの問いをすることで、「自責、自己反省」という傾向が生じるだろう。
  • 外向きの問いをすることで、「他責、他者批判」という傾向が生じるだろう。
教師は、子供の能力的な成長を支援する一方で、人間的な成長も重視している。人間的な成長が伴わなければ、学級経営もうまくいかなくなり、能力教育にもマイナスの影響が出てくるということを経験的にも学んでいるとのこと。

受け持った当初のクラスと比べると、かなり雰囲気が良くなっているとのこと。「他責、他者批判」の傾向より、「自責、自己反省」の傾向の方がクラスの風土が良くなることは明らかだろう。

この自分自身への「問い」は、生徒に限らず、教師に対しても大切なことであり、教育現場に関わらず、あらゆる分野で「問いかける」の大切さを忘れないようにしなければならないだろう。

『昨日から学び、今日を懸命に生き、明日への希望を持て。
大切なことは問うことを辞めないことだ。』
アインシュタイン

2015年9月28日月曜日

4年間継続していた身体の至る所が「つる」症状から解放される!

 【はじめに】

年齢54歳、性別男性、2年前に腰部脊柱管狭窄症の手術を行う。4年ほど前に、船上での過酷な仕事に就いて以来、身体の至る所が「つる」症状に毎日のように悩まされているとのこと。

一般的には「足がつる」という「こむら返り」の症状を訴える患者さんは多いが、両足に加えて、肩から腕、背中などもつるというケースは珍しい。「足がつる」原因は、一般的には筋肉疲労、運動不足、カリウムやナトリウムなどの電解質不足などによると云われる。

また、一過性ではなく、頻繁に繰り返し起こる場合には椎間板ヘルニア、糖尿病、動脈硬化、甲状腺異常などの疾病、降圧剤、抗高脂血症剤、ホルモン剤などによる副作用などが原因とされる。

病院でも検査を受けており、身体全体が「つる」症状につながるような異常は見当たらず、症状緩和のために当帰芍薬散という漢方薬を処方される。ひどい時には、多めにその漢方薬を服用するが、根本的な改善には至らないとのこと。

痛みで我慢できない時には、青あざができるほど筋肉を叩くようにほぐしているとのこと。当帰芍薬散を毎日服用し、マッサージも定期的に受けてはいるが改善が見られないとのこと。

さて、このような慢性症状を抱えている患者さんをどのように見立てて、どのようにアプローチするのがベストなのか?足がつるという現象は、筋肉に異常収縮が生じる現象で、自分の意識では、筋肉を緩めることはできない。

器質的な病気がないとすれば、筋肉の異常収縮を生じさせるように学習記憶された脳の誤作動によると、PCRTの治療者は考えるだろう。筋肉をほぐしたり、神経系の調整を目的とした反射系の施術でも効果はあるだろうが、慢性的に繰り返すということは、もっと上位の脳の学習記憶が関係していると考えるのが妥当だろう。

【経過】

この症状が発症した経過から考えても、単に神経系、並びに関節系や筋肉系だけの問題ではないことが伺える。PCRTの検査を行ってみると、関節系の誤作動反応よりも筋肉の抑制系の反応、すなわち筋肉調整を行っている神経系の抑制系異常が示された。分かりやすくいうと、力がうまく抜けない異常反応が両上肢、両下肢に示された。

初回の治療からAM+PCRTの施術を併用する。潜在感情や信念に関係する誤作動記憶の調整も行う。2回目の施術もAM+PCRTで潜在感情と信念に関係する誤作動の調整を行う。3回目の施術では、患者さんの希望で2枠の予約を取っていただき、施術時間は通常の2倍の20分間で治療を行った。

その分、奥深い誤作動の調整ができたようだ。4回目も2枠治療で、身体がつる症状はかなり軽減、以前からあった右坐骨部の症状を訴えられたので、その部位の治療を行った。

5回目の2枠治療では、かなり症状が改善されたとのこと。6回目(一枠治療)ではほとんど症状が改善されたとの報告をいただいた。4年間抱えていた症状が改善されてから、約3週間継続しているので、患者さん自身もかなり自分の身体に自信が持てた様子が伺えた。

【考察】

この患者さんの治療経過を振り返ると、自分の治癒力を制限していた、「意味記憶」や「エピソード記憶」の調整を行ったことが、改善の転機になったようだ。もしも、この大脳皮質系領域の調整を行わなければ、何度も症状をぶり返すことになっていただろう。

このような自分の治癒力を制限する信念(思考パターン)の検査や施術法を修得しているPCRTの治療者はまだまだ少数ではあるが、このような慢性症状にはとてもパワフルだと感じる。慢性症状の多くは、このように知らず知らずに学習された脳の「誤作動記憶」によるものであるということを多くの人に知ってほしいと願う。

2015年9月24日木曜日

「治る力」それは「目には見えない力」です!

「あなたの腰痛の常識は、いまや非常識!」というフレーズで、NHKの「ためしてガッテン」で紹介されていた腰痛に関係するクイズです。

ℚ1:ギックリ腰は痛みが取れるまで安静にする
ℚ2:ヘルニアがあるので腰痛とは一生の付き合いだ
ℚ3:腰が痛い時は常にコルセットをした方が良い
ℚ4:腰痛はすべて腰の異常(構造異常)が原因で起こる

この文章はすべて「誤り×」です。

これは日本整形外科学会がまとめた「腰痛診療ガイドライン2012」に基づいて作成された問題です。恐らく多くの人が不正解だったのではないでしょうか?一般の人に限らず、多くの医療者でさえもこの4つ問題の回答に首をかしげる人がいまだに多いと思います。それ故に、昔からの腰痛の常識は、いまや非常識といわれているのです。

科学的なデータ(JAMA268:760-765,1992)によると約85%の腰痛は医学的(構造学的)には原因不明です。つまり、ほとんどの腰痛は骨や軟骨など構造異常が原因ではないということが世界的な研究で証明されているのです。このことは20数年前より専門家の間で知られ、ここ数年の間に、日本でも一般の新聞や雑誌などでも多く取り上げられるようになっています。

先日、数人の患者さんに「先生が以前から言われていたことが、テレビでも紹介されていましたよ・・・」「腰痛の原因は腰ではなく脳にあるとか・・・」と教えていただきました。私流にいうと脳の「学習記憶」、すなわち「誤作動記憶」に原因があるということ。後で調べてみると、NHKスペシャル「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム~」というタイトルの番組でした。番組では3か月以上長引く腰痛を対象にしており、腰痛に関する最新の研究による知見が紹介されていました。

その番組で強調している治療革命の大切なポイントは、今まで常識とされていた腰痛の構造異常、すなわち、骨や軟骨などの変形があっても、それは直接的な腰痛の原因ではないということです。しかしながら、医療従事者も含めまだまだ多くの人達が、「腰痛の原因は構造異常にある」と思い込んでいるのではないのでしょうか。なぜ、いまだにそのような誤った常識が変えられないのでしょうか?

それは、目に見えるモノをだけを異常としてきた現代医学が基本とする科学至上主義の慣習にあるかもしれません。『目に見えるモノだけを基準にして、目に見えないものは切り捨てる』そのような医療が主流になっている限りは、「腰の構造異常がないのになぜ腰が痛いのか?それは不思議だ・・・」ということになるのではないでしょうか?

私たちの身体は、ほとんど目には見えないモノでコントロールされているのです。特に心の動きは目には見えませんが、心と身体は密接に関係し合っています。そのような目には見えないモノと肉体との関係性を診ることは、健康を保つうえでとても大切なことだと私たちは考えています。

目に見えるモノだけを基準にする医学的常識にとらわれずに、目には目みえないモノを感じとることも大切しながら健康を維持していきましょう。本当の「治る力」は、目に見えるモノの力ではなく、目には見えないモノによる力であるということをしっかりと認識するこが、心と身体を豊かにするうえでとても大切なことだと思います。

2015年9月18日金曜日

ライフコンパス創業17年の誕生日 9月18日

本日、9月18日は弊社ライフコンパス創業17年の誕生日です。ファミリーカイロは開業して21年目になります。今日まで本当に多くの人に支えられて成長させていただきました。また、今日はスタッフの計らいで、お祝いの花束とケーキをいただきました。ありがとうございます。これからも、多くの人に喜んでいいただける治療院、会社を目指して、コツコツと歩んでいきたいと思います。

今から120年前の1895年9月18日は、私の母校があるアイオワ州ダベンポートの治療院でカイロプラクティックが誕生した日でもあります。つまり、今日は、カイロプラクティック発祥120周年の記念日でもあります。私にとってカイロプラクティックは、職業のみならず、人生にとってもかけがえのないモノを与えてくれました。今後もカイロプラクティックに感謝しながら、多くの患者さんに喜んでいただければと願っています。