2016年9月27日火曜日

連載11 「制限する信念」に気づくためのスキル

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載11 「制限する信念」に気づくためのスキル

「制限する信念」とはどのようなものなのか?分かりやすい事例を踏まえて説明させていただきます。「制限する信念」とは、言い換えるとき「機能不全の考え方」でもあります。その考え方(信念)を持つことで、精神的にも肉体的にも不都合な結果を招くことになるので、機能不全の考え方を機能的な考え方、すなわち「非合理的な考え方」を「合理的な考え方」に変えてみませんか?と提案する「論理療法」です。

この論理療法とは、アルバート・エリスという臨床心理学者が提唱した心理療法です。認知行動療法やコーチング、カウンセリングでも応用されています。これは「制限する信念」をわかりやすく分析して、それを書き換える理論としては、とても効果的な手法になります。

理論療法はABC理論やABCDE理論とも言われており、それぞれの英語の頭文字に合わせて、理論的に心の現状を認識して、基本的にはある出来事が直接的に人の感情や行動を引き起こすのではなく、その人の感じ方や受け止め方、すなわち「信念」が結果として感情や行動に影響をもたらすという大前提があります。コーチやカウンセラーはその非合理的な考え方や受け止め方を軌道修正できるようにサポートして、より良い結果へと導けるようにアプローチしていくわけです。

AActivating event):刺激となる出来事 
BBelief):制限する信念(考え方や受け止め方) 
CConsequence):出来事に直面したときの結果(感情や行動) 
DDispute):自分の中にある非合理的思考への反論 
EEffects):反論することでもたらされるよりよい結果

例えば、出張で新幹線や飛行機に長時間乗っていると腰が痛くなるというクライアントさんがいます。クライアントさんによる思い当たる腰痛の原因は、新幹線や飛行機に長時間座っていることのようです。長時間座っていると腰に良くないということは一般論でもありご自身もそれを信じている様子です。

事情をもう少し詳しく聞いいてみると、10ヶ月ほどまえから職場が変わったとのことです。以前の職場でもデスクワークが多く、新幹線や飛行機での出張があったということです。クライアントさんも話しながら、何が違うのかを考えてた様子で、以前の出張ではもっとゆったりした座席で新幹線や飛行機を利用していたらしく、職場が変わって以来、経費削減で狭い座先に変わって出張が億劫になったと言われていました。

客観的に評価すると、転職による身体的な疲労は以前とさほど変わりが無いようですが、心理的には大きな変化が見られるようです。端的に言うと、出張に関する会社の待遇に不満がある様子です。身体的な異常を原因とする腰痛というよりも、むしろ心身相関的な心理面が関係した腰痛の可能性があります。

ABCDE理論に当てはめると以下のようになります。

A(刺激となる出来事)=出張で新幹線や飛行機に長時間座ること
B(制限する信念)=以前とは異なる窮屈な座席に長時間座っていると腰に良く無い


C(出来事に直面した結果)=腰痛と不満

ここで、コーチは、刺激となる出来事になっている「出張で新幹線や飛行機に長時間座ること」は、会社の事情で変えられないということを認識した上で、「制限する信念」=「非合理的な考え方」を「合理的な考え方」に変えてみませんか?と提案することができます。

もしも、クライアントがABC理論に基づいた心の現状を客観的に納得されると、制限する信念を認識した上で、自分にとって合理的な考え方を探します。もしも、「窮屈な座席でも腰痛にならない人がたくさんいるので、その状況に柔軟に対応できる自分を信じる」ということが、心から信じられるようになると、おそらく腰痛と不満は軽減するでしょう。

D(非合理的思考への反論)=「窮屈な座席でも腰痛にならない人がたくさんいるので、その状況に柔軟に対応できる自分を信じる」
E(よりよい結果)=腰痛と不満が軽減


とてもシンプルな理論ですが、「制限する信念」による不合理な結果を変容させるには本質的な理論です。

2016年9月26日月曜日

連載10 無意識的に「制限する信念」と「行動」に向き合うコーチング

無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載10 無意識的に「制限する信念」と「行動」に向き合うコーチング

人は誰でも「信念」を持って生きています。「信念」を大きく分けると、自分の行動を「促進させる信念」と「制限させる信念」があります。「一念岩をも通す」ということわざがあるように、信念は強いエネルギーを持ち、肯定的にも否定的にも働きます。「信念」は本人が意識している時もありますが、多くの信念は無意識的で、その信念はその人の「行動」につながっています。逆にいうと、その人の「行動」を観察していると、その人が持っている「信念」が分かることがあります。

例えば、会社でも自営業でも自分は成功している経営者だという信念があると、その経営者はそれに伴った行動を取ります。会社が発展するようなアイディアがどんどん湧き出て、すぐに行動を起こします。たとえ、悪い影響が明らかになったとしても、今までの行動を振り返り、その行動を止める決断をします。

このように成功に導く行動を繰り返し「結果」を出し、周りからも成功者としての評価を得ることで、やっぱり自分はできると、「信念」は確信に変わっていきます。信念を強化して「確信」へと進化させるカギは、「行動」です。頭の中で信念を変えても、実際の「行動」を起こさなければ脳の神経回路は構築されず、習慣化されないため何の意味もなさないことになります。「行動」なき信念は、机上の空論でしかないのです。

信念に伴った行動を取ることで、「結果」がでると、その信念が強化され、さらに「行動」が強化され「結果」がでて「成功のパターン」ができる訳です。成功者はさらに成功することになり、成功者としての人脈や可能性が広がり、自分の「行動」にも確信が持てるようになります。

実際のコーチングでは、クライアントやコーチの期待に反して「結果」が出ないことがあります。分かりやすい原因の一つは、クライアントの「行動」が伴わないことです。「行動」が伴わなければ、当然「結果」も出ないわけですが、コーチはクライアントの「行動」が伴っていないことが分かると、アドバイスを極力避けながらも、そのことをクライアントにフィードバックします。

もしも、クライアントがコーチのフィードバックに対して、素直に受け入れて「行動」すれば、再度、立て直すことができますが、様々な言い訳をして行動が伴わない場合は、理想の結果は期待できません。

行動するための目標のハードルが高すぎるのであれば、行動が伴うレベルに下げる必要があります。もしも、目標のハードルを下げても行動に移せない人は、ゴールに対する無意識的な「制限する信念」が背後にあることが多々有ります。ブレーキをかけたままで、自転車のペダルをこいでいるようなものです。

例えば、ライフコーチングで、よく遭遇するのは「結婚をしたい」、「子供を産みたい」というゴールがある場合、相手がいることなので、様々な制約もありますが、無意識的に結婚したり、出産したりすると、自分自身の「自由がなくなる」という制限する信念が背後にあるケースです。この場合、コーチは、クライアントが抱えている無意識的な制限する信念に対してサポートしなくてはなりません。

「結婚や出産で本当に自分の自由がなくなるのか?」「自分の自由とはどのようなことなのか?」「結婚して得られるものと失うもののバランスはどうなのか?」など。コーチはクライアントが今まで考えたことのない盲点にスポットライトを当て、新たな信念の可能性を引き出すサポートが必要になります。


そうして、無意識の心にスポットライトを当てることで、ブレーキを外して結婚する人もいれば、独身で満足している人もいます。どちらが幸せなのかは本人が決めることなのです。

2016年9月23日金曜日

連載9 コーチングがうまく 「機能するタイプ」と「機能しないタイプ」

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載9 コーチングがうまく 「機能するタイプ」と「機能しないタイプ」

コーチングの基本的な目的は、「目的を達成したい!」「ある課題を解決したい!」「ある習慣を身に付けたい!」というクライアントの願望を実現するための支援です。支援する過程において、様々なコミュニケーションスキルが求められますが、コーチングの核心は、単なる「スキル」ではなく、クライアントの心の奥にある無意識にアクセスすることで、自己発見と気づきがもたらされ、それに伴って選択肢や可能性に広がりをもたらすことです。コーチングで大切なことは、クライアント自らが答えを見つけて、新たな人生の豊かさを発見し、自らの道を歩むことができるように、効果的に支援することです。

コーチングを効果的に行うためのコミュニケーションスキルは複数存在します。「傾聴」「承認」「質問」「要約」「フィードバッグ」は代表的なスキルとなります。このコミュニケーションをクライアントのタイプに合わせて上手に使い、互いの信頼関係が深まると、クライアントが心を開き、核心に触れるコーチングが展開されることが増えてきます。クライアントからは、様々な課題が提示されます。「何かの目標を改善したい」、「人間関係を改善したい」など、多くの場合は、「問題」にフォーカスするよりも、「解決」へと導かれるようにコーチが支援していきます。

コーチングがうまく機能しやすいタイプの人は、
  • 「コーチングで得たい成果が明確な人」
  • 「得たい成果と現状とのギャップが明確になっている人」
  • 「コーチを信頼して本音で話せる人」
  • 「自己矛盾に遭遇した際、積極的に自分に向き会おうとする人」
  • 「コーチからのアドバイスや答えを要求するのではなく、自分の中にある答えを積極的に引き出そうとする人」
  • 「素直にコーチからのフィードバックを受け入れられる人」


一方でコーチングが機能しにくいタイプの人は
  • 「コーチングで得たい成果が明確でない人」
  • 「得たい成果と現状とのギャップが明確になっていない人」
  • 「コーチとの信頼関係が希薄で建前でしか話せない人」
  • 「自己矛盾に遭遇した際、積極的に自分に向き会おうとせず、環境や他者のせいにする人」
  • 「コーチからのアドバイスや答えを期待して、自分の中にある答えを積極的に引き出そうとしない人」
  • 「素直にコーチからのフィードバックを受け入れられない人」
  • 行動を制限する信念に遭遇した際、柔軟に変えられない頑固な人


実際のコーチングのセッションでうまく機能する場合、コーチは「効果的な質問」をするだけで、クライアントは積極的に自分の中にある答えをどんどん引き出していきます。セッションを終えてみると、8割以上はクライアントが話していたということもあります。その一方で、コーチングのセッションでうまく機能しない場合は、コーチが多くを語り、アドバイスやコンサルティング的な説明に偏る傾向があるときです。クライアントはコーチに依存的になり、自らの責任を負わななくなる傾向が生じてしまいます。

コーチングでうまく機能するかどうかのポイントは、クライアントが本気でその目標に向き合う覚悟があるのかどうかという「コミットメント」です。そのコミットメントの度合いが最低でも半分以上なければ、ほとんどの場合うまく機能しません。もしも、クライアントに50%以上のコミットメントがあれば、コーチとの双方向のコミュニケーションを通じて、様々な視点からアイディアを出し合い、可能性を検討し、コーチはクライアントがスムーズに行動に移していける支援を行います。基本的に他人に強制しても、実際の行動には移り難いものです。クライアント自らが「決める」というところが大切なポイントになります。


2016年9月16日金曜日

連載8 視野を広げるためのクセづくり

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載8 視野を広げるためのクセづくり

今まで「蟻の目」に偏った習慣が身についている人は、それが分かったからといって、すぐに「鷹の目」が習慣化するものではありません。「無意識」的に身についた心のクセですので、まずは、「蟻の目」の習慣でどのようなところが問題なのかをしっかりと認識することが必要になります。

もしも、「蟻の目」による問題が明確なのであれば、その習慣を変える必要もありませんし、「蟻の目」が必要な場合も多々あるはずです。まずは、ある問題に対しての「蟻の目」のメリットとデメリット、「鷹の目」のメリットとデメリットを整理することが必要かもしれません。「蟻の目」に偏る傾向のある人は、0か100か、あるいは白か黒かの思考グセもある方が多いようです。

人は何らかの「関係性」の中で生かされています。今、自分の置かれている立場での関係性を高い視座からみることも大切です。社会人であれば、家族の一員であり、会社の一員であり、町内会や自治会の一員、ジムの会員、PTAの一員、勉強会の一員など、さらに広くすると、市民の一員、県民の一員、国民の一員、アジアの一員、世界の一員、地球の一員など様々な関係性の中にいるはずです。

関係性のない人はいないはずです。何か問題がある場合、「蟻の目」から「鷹の目」に視野を広げる習慣を身に着けることで、見方、とらえ方、受け止め方に変化があるはずです。まずは、意識的に「鷹の目」の習慣を繰り返し訓練することです。自分が関係する立場を意識して、時間軸では過去の歴史を振り返り、未来の自分、すなわち生命が終わりを告げるまでを想像する。過去の歴史は変えることはできませんが、未来の自分は自由に予測することが可能です。難しく考えることはありません。脳のエクササイズだと思って気軽に思考訓練すると、知らず知らずの内に「鷹の目」の思考グセが身につくでしょう。

視野を広げるためのエクササイズをしてみましょう。

静かなところで、目を閉じて、心地よい姿勢を保ちましょう。
椅子に座っているかもしれませんし、座禅を組むように座っているかもしれません。
まずは、自分の呼吸に意識を集中しましょう。

最初は空間的な視野を広げていきましょう。
ゆっくりと呼吸をしながら、自分の身近な人間関係から漠然と意識していきましょう。
家族かもしれませんし、社内の関係かもしれませんし、何かのクラブやサークルの関係かもしれません。

この時、大事なのはいいとか悪いとかの判断や評価を入れないことです。ただ単に関係性を意識しましょう。

関係性をどんどん広げていきましょう、家族の一員、親戚の一員、社会の一員、地域の一員、市民の一員、県民の一員、国民の一員、アジアの一員、世界の一員、地球の一員、そして、最後は宇宙の一員かもしれません。

次は時間的な視野を広げていきましょう。

1年後の自分と周りとの関係、2年後の自分と周りとの関係、そして、5年後、10年後、15年後、20年後、30年後の自分と周りの関係性はどのようになっているでしょうか?
自分の年齢と合わせて自由に想像しましょう。


一般的に年齢を重ねるごとに否定的未来を想像しがちですが、肯定的な未来を想像するようにしましょう。

この視野を広げるためのエクササイズは1分以内に終わるかもしれませんし、5分ぐらいかかるかもしれません。ご自分のペースでゆっくりと行ってください。

毎日習慣化して、3ヶ月もすると、意識から無意識へと学習されて、自然に視野が広がるクセがついているでしょう。

2016年9月15日木曜日

連載7心の視野を広げるこつ

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載7 心の視野を広げるこつ

慢性症状などの身体の問題や、人間関係などによる心の問題は、部分的な構造や機能、あるいは特定の人というよりも、全体的なシステムや「心の構造」に本質的な問題が隠れている場合が多くあります。連載6でご紹介したメジナという魚の例でいえば、いじめっ子のメジナが悪いのではなく、狭い水槽という構造が本質的な問題であって、水槽から広い海の中に移動すると生態系、すなわちシステムが変わって問題が解決するわけです。

生活環境というシステムが脳に与える影響については、動物実験でも研究されています。老齢のネズミを2つのグループに分けて、一方は遊具のたくさんある広い飼育環境かで活発的に生活させます。他方は非常に狭い空間の飼育環境下で生活させました。その結果、遊具が沢山ある飼育環境下でのネズミグループは、脳の細胞が増えていることが確認できたのです。要するに、狭い空間では心の視野も狭くなり、脳の細胞も活性化されずに衰えてくるのです。人間でいえば、外に出て運動したり、人と交流して会話を楽しんだり、好奇心をもって色々と勉強したりしたほうが、脳細胞がどんどん活性化するということです。

人間関係でいろいろと問題があると、引きこもりがちになります。そして、多くの場合、「怒り」、「悲しみ」など一つの感情にフォーカスしがちです。しかし、そこにフォーカスしても本質的な問題に変化は促されません。それよりも、その感情が引き出される「背景」や「心の構造」に注目して、客観的に自分の心を理解し、心の視座を高く、視野を広げることに注力した方が、ネガティブな感情から簡単に抜け出せるのです。例えば、「怒り」の感情の背後には「~すべき」「~ねばならない」といった自分が大事にしている信念が関係します。相手がいる場合は、相手の「~べき」と自分の「~べき」のルールの違いが分かるとさらに視野が広がりますし、自分が信じているルールはどこからきたのかがわかると、さらに視座が広がります。

ビジネスの世界でも、視野を広げるために、「鷹の目」、「蟻の目」で見ることの大切さが語られています。「鷹の目」とは、鷹が大空から眺めるように、大局から全体をとらえる見方です。「蟻の目」とは、細部に意識が向くように細かくものごとを見る見方です。どちらの見方も大切な見方ですが、「木を見て森を見ず」ということわざがあるように、「蟻の目」だけに偏って視野が狭くなる方に問題が生じる傾向があるようです。

視野を広げるためには、時間軸の長さも関係します。実際に目の前にある問題や成果は、今に至る数週間から数か月前に生じた出来事や行動の結果生じたものです。また、目の前に大きな問題、あるいは大きな成果があったとしても、数か月後、数年後、数十年後にそれが継続するとは限りません。常に時間と共に変化していますので、長期的に物事のとらえ方や受け止め方を幅広く見ることが大切になります。

2016年9月14日水曜日

連載6「調和」を引き出すために

無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載6「調和」を引き出すために

心身の調和が乱れると「病気」になるということは一般的にも知られていることです。なのに病気という自分自身の中にある一部と闘うとさらに調和が乱れ「病気」のプロセスが進行して、病気の悪循環を起こしてしまうのではないでしょうか?長い臨床経験の中で、「病気」が治る過程をいくつも体験させていただいています。病気の一つの原因として、自分自身の中での「葛藤」があります。要するに、「頭で考える自分」と「腹の底で感じている自分」とが戦っているわけです。そこで、施術やコーチングを通じて、視野を広げていくことで、盲点が少なくなり、戦いに終わり告げ、病気も快復するという場合が多々あります。

東京海洋大客員助教授・さかなクンによると、メジナという魚を狭い世界に閉じ込めると、なぜかいじめが始まるというのです。『メジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。』と述べています。

心の状態も視野が狭くなると、秩序が不安定になり、自分の中で戦いが始まりやすくなるのです。「盲点」や「未知」の世界を広げて心の視野を広げることで、「自然体」に近づき、調和が引き出され、保たれやすくなるということです。情報があふれ過ぎている時代の中で、情報に振り回されて、自分を見失っている人も少なくはないのではないでしょうか?勇気をもって、もっと自分の無意識の世界に踏み入れて、隠れた自分の「盲点」や「未知」の世界を探索することがとても大切な時代になってきているようです。

2016年9月13日火曜日

連載5「自然体」になるにはどのようにすればなれるのか?

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載5「自然体」になるにはどのようにすればなれるのか?

「自然体」とは、「意識」と「無意識」との調和によって生まれるもので、昔から心身統一という言葉が重要視されているように、心と身体との調和が自然体を創りだします。では、どうすれば「自然体」になれるのか?という疑問がわいてくるでしょう。これは難しい質問です。その人に応じて答えが違うかもしれませんし、答えがないかもしれません。ただ、言えることは、「自然体」は頭で考えて創り出すものではなく、流れに身をまかせた結果、「意識」と「無意識」との壁が取り除かれた結果得られるということです。頭で考える「意識」よりも、身体で感じる「無意識」の方が優位になっているときでもあります。そういつときは、自然に身を委ね、何かを手放して、あるがままの自分を感じ取り、すべてを受け入れているでしょう。これは東洋思想からくる発想です。

自然治癒力を引き出すことを主とした治療者の立場で、「人間」、「自然」、「健康」などを深く探求していると、調和とは裏腹な「病気と闘う」とか「闘病生活」という言葉に違和感を抱くようになります。自然にできた病気は自分の一部です。また、自分自身で創った病気です。その自分と闘うということは、互いに攻撃し合うということです。やるかやられえるかの世界には「調和」という概念はありません。「病気」で苦しんでいる人には申し訳ない気もありますが、西洋医学的な発想で、癌など悪いモノは排除するという思想に影響を強く受けているのだと思います。東洋医学の看板をだしていても、西洋医学的に癌を撲滅するというような発想をもっている治療者もいるので、一概に東洋と西洋で判断するのは難しいのですが、大切なのは人や病気をどのようにとらえているかだと思います。

病気があるとかないとかを超えた「調和」という考え方が前提にあり、その結果健康が保たれるということだと思います。

2016年9月10日土曜日

連載4「無意識」の領域は、いわゆる「盲点」や「未知」の領域を知る効果

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載4「無意識」の領域は、いわゆる「盲点」や「未知」の領域を知る効果

 「ジョハリの窓」という心理学の分野でよく使われるモデルがあります。これは、対人関係などにおける「気づき」のグラフモデルです。このモデルは、アメリカの心理学者のジョセフ・ルフトとハリー・インガムによって開発され、二人の名前を組み合わせてジョハリと呼んでいます。ジョハリの窓は、4つの窓に分類されています。1番目の窓はオープン領域(開放の窓)で本人も他者も知っている領域です。

通常、この領域が大きければ、お互いに誤解が少なく、円滑なコミュニケーションができるようになります。2番目は、盲点の領域(盲点の窓)で、他者は知っているが、本人が知らない領域です。3番目は、隠された領域(秘密の窓)で、本人は知っているが、他人には見せない自分がいる領域で、この領域が大きすぎると他人とのコミュニケーションが不自然になりがちです。4番目の領域は、本人も他人も知らない領域(未知の窓)で、この領域が分かればわかるほど無限の可能性が広がります。

PCRTやコーチングのセッションで、クライアントがこのような自分自身の「盲点」や「未知」の領域を知りたいという前提があれば、自分の成長や変容につながる「気づき」が得られる機会が多くなります。その一方で、成長や変化を望んでいるが、自分の盲点領域に目を向けようとしない。あるいは、自分の盲点を認めようとしない人は、前に進むことが難しくなります。言葉では言わなくても、「自分のことは自分で分かっている」という態度や雰囲気が漂って、その領域に目を向けることに抵抗を感じる人もいます。

コーチングやPCRTで効果が引き出せない理由の一つが、この「盲点」や「未知」の領域に踏み出せないことです。これは、コーチとクライアントとの信頼関係が希薄であるとのと同時に、クライアント自身がその領域へ進むことに抵抗がある場合があります。私の臨床経験では、この「盲点」や「未知」の領域に進むことが素直にできる人は、自分の無意識を認識することで、本来の自分らしさが引き出されます。そして、肉体的にも精神的にも「自然体」を取り戻すという感覚が多くなるようです。

2016年9月8日木曜日

連載3「無意識の領域」にアクセスするとはどういうことでしょうか?

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載3「無意識の領域」にアクセスするとはどういうことでしょうか?

通常の対話では「話の内容」に意識が向く傾向があります。また、多くの人はその話の内容によってコミュニケーションが成り立っていると判断しがちですが、実は顔の仕草や無意識的な表情、または身体的なボディーランゲージに多くの影響を受けるのです。これは、アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」として広く知られており、言葉(言葉の意味)=7%、声のトーン(大きさ、質、話し方)=38%、態度(雰囲気、表情、動作など)=55%といわれており、人は、話の内容よりも、声のトーンやボディーランゲージの影響を受けるのです。要するに、言葉の内容=「意識」の領域、声のトーンやボディーランゲージ=「無意識」の領域であり、多くの人は「無意識」に影響を受けており、「無意識」がその人の行動を司っているということです。

この「無意識」の領域は、自分の体臭が自分ではわかりにくいように、自分では認識し難いもので、コーチングや施術などのセッションを通して、本人が気づきがたい「無意識」の部分をフィードバックすることで、意識していないもう一人の無意識の自分に気づくことができます。コーチがクライアントに代わって、「無意識」の部分を言語化してフィードバックすることも大切ですが、もっと大切なのは本人自身が自ら「無意識」の自分に気づくことです。クライアント自身が「気づく」ために、コーチは「間」を大切にしながら、「待つ」というスキルも求められます。この「待つ」というスキルは簡単なようで以外に難しいものです。対話の中でコーチが先にクライアントの盲点に気づいて、ついつい答えを言ってしまいたくなる衝動に駆られてしまうときがあるのです。コーチはクライアントに寄り添いながら「じっと待つ」という「間」を大切にしながら、クライアント自らが気づくプロセスをサポートしていくのです。

2016年9月7日水曜日

連載2 「気づく」とは、どういうことでしょうか?

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載2「気づく」とは、どういうことでしょうか?

「気づく」とは、今まで意識していない領域に足を踏み入れた際に生じます。もしも、「意識」と「無意識」に壁があるとすれば、その壁が壊れて、「意識」と「無意識」の領域の風通しが良くなり、暗闇だった領域にスポットライトが当てられ、何気なく「気づく」といった感じではないでしょうか?「気づき」がもたらされる場合、それぞれに様々な過程があるようです。大きく分けると二つのパターンがあります。一つ目は対話の中で質問という「刺激」を受けて、ふとした瞬間に「気づく」というパターン。二つ目は質問を受けて、「混乱」の後、しばらくして「気づき」が得られるバターン。「混乱」をネガティブな感情としてとらえる人もいますが、「混乱」は「気づき」を得るための、大切な思考のプロセスになるでしょう。

コーチングを「意識的」、あるいは「意図的」に使いすぎると、脳の表層部分にある「理性」が制限して、脳の深層部分となる「感性」的な本音に近い心理が引き出されなくなる傾向があります。要するにマニュアル的に使うと、その意図が相手にも伝わり、心が閉ざされて建前だけで対話が進行して大切な「気づき」が得られなくなります。私も最初にコーチングを学び始めた頃は、いわゆる「型」、すなわちマニュアルから入ったわけですが、何か相手の心の壁を感じてしまうことがありました。今では、臨床現場での患者さんとの対話や質問をする際、意識的ではなく無意識的にコーチング技法を知らず知らずのうちに使っています。相手のペースに合わせて自然体で接することが多くなっています。

臨床現場やコーチングで私がいつも大事にしているのは、表面的な技法ではなく、深層的な「無意識」領域へのアプローチです。PCRTという心身相関のテーマを長年研究してきたこともあり、こころの「無意識」領域の扱いには慣れてはいましたが、コーチングの技法を学ぶことで、さらに「無意識」領域へのアプローチが知らず知らずの内に幅広くなったようにも思います。このように「無意識」的に幅広くアプローチすることで、相手の無意識の領域にアクセスすることが容易になり、相手が「何気なく気づく」という瞬間が増えているように思います。

2016年9月6日火曜日

連載1 コーチングの背後にある心理的側面のスキル

「無意識」にアクセスする「コーチング」を目指して 連載

連載1 コーチングの背後にある心理的側面のスキル

コーチングにはいろいろな種類があります。形式的には、個人を対象にする「パーソナルコーチング」、複数のグループやチームを対象とする「チームコーチング」、そして、自分自身を対象にする「セルフコーチング」です。内容的には、「ライフコーチング」、「ビジネスコーチング」、「リーダーコーチング」、「スポーツコーチング」などです。方法論的には、「インナーゲーム」、「ボジティブ心理学」、「NLP」、「オントロジカルコーチング」、「コ―アクティブコーチング」などです。

日本でもコーチングが広がりつつあるようですが、まだまだ多くの人の認識はスポーツのコーチという印象が強いのではないでしょうか?コーチングのコーチは何かを指導してくれる「コンサルティング」、あるいは何か役立つ知恵を授けてくれる「メンター」のような意味合いでとらえている人も少なくはないのではないでしょうか?日本ではまだまだ、「対話を通じてクライエントの自己実現や目標達成を支援する技法」という認識はあまりされていないようです。また、日本のコーチング関連書籍ではコーチングのスキルとしての基本であるコミュニケーションスキルが主に強調されている傾向もあるように感じます。

コーチングでは「心理的側面」を扱うスキルが要求されるので、効果を引き出すために基本的な対面技法として、傾聴、フィードバック、質問、提案などの様々な技法を学びます。しかし、肝心なところ、すなわち本質的な効果が引き出されるのは、表面的な技法よりも深いところの技法ではないでしょうか。深いところとは、人間の深層的な心理面に関係することなのですが、表面的な「意識」あるいは心理面を扱うのではなく、「無意識」の深層心理のところにアクセスできるかどうかが要で、その領域にさりげなく触れていくことで、さらなる成長や変容を促すコーチングが引き出されるようです。

また、コーチングの成果の多くは、思わぬところから転じることが多々あります。一つのマニュアルにそってコーチングをすすめて、期待通りの成果がでる場合もあります。しかし、人間の深層心理はそれほど単純ではありません。セッションや施術を通じて、コーチとクライエントとの信頼関係が深くなることで、今まで触れることのなかった「盲点」にスポットライトが当てられて、ふとしたきっかけでクライエントの「気づき」が引き出されるということがあります。その時、クライアントにとっては、大きな変化、変容へとつながる傾向にあります。

2016年9月1日木曜日

投球恐怖症、イップスの改善例とその注意点

経緯

14歳の中学生男子、野球部に所属しており、ピッチャー希望ではあるが、ファーストも守っているらしい。一週間前からほとんどのスローイングができなくなったとのことで、最初はお父様からの電話で問い合わせがあり、スタッフに当院でのイップスの改善事例などを尋ねたらしい。小学2年生の頃から野球を初めているとのことで、詳しく聞いてみると、以前からイップスの徴候があったようだ。お父さんもイップスの経験があり、相当に悩まれたらしい。また、お兄さんも高校二年生のときからイップスを発症し苦しんだという。お父様は、自分や長男の経験から次男はもう野球は止めなければならないだろうと心配しつつも、何とかイップスを治す方法はないものかとインターネットで検索し、当院にたどり着いたらしい。

1回目の施術

まずは、身体的なエネルギーブロックの検査で、頭部全体の反応点に陽性反応が示された。送球イメージの検査でも陽性反応。興味深かったのはすべての送球で陽性反応が示されたことだった。問診でもすべての送球で投げることができないとのことだったが、一応、生体反応検査法で確認した。すべての送球に関する検査で陽性反応を示すイップス患者は、比較的珍しい方で、もしも、イップスに程度があるとすれば、重症の部類に入るだろう。
PCRTの検査では、大脳辺縁系→信念に反応が示され、信念チャートの検査で、いくつかのキーワードで反応が示され、PCRTのプロトコルに従って施術を行った。

2回目の施術(前回施術から3日後)

1回目の施術後には、お父さんとキャッチボールをしてみたらしく、お父さんによるとある程度治っていたのでそのときは安心したらしい。でも、ボールが浮く感じがあるとのこと。大脳辺縁系→信念という検査結果から、信念チャートで示されたいくつかのキーワードで施術を行った。また、イップスの患者に陥りやすい、スローイングのフォームはこうあるべきといった、いわゆる「技術論」に意識を向け過ぎた誤作動記憶が示されたので、「技術論」に意識を向け過ぎる弊害を分かりやすく説明し、意味記憶と合わせて切り替えた。

3回目の施術(前回施術から4日後)

前回の施術から数日で試合があり、その試合にピッチャーとして先発で登板。しかし、一回で交代させられたらしい。「えっ先発したの・・・」という感じだったが、恐らく、ある程度イップスの症状も改善され、監督さんも先発で起用できると判断したのだろう。思うように投げることができずに、監督に交代させられ、後でひどく叱られたという。2週間前にほとんど投げられない状態から2回の治療で、いきなり先発投手を務めるのは早すぎたかな~と思ったが、その経験も誤作動記憶を引き出すうえでは必要だったかもしれない。その試合を振り返りながらピッチングを想像してもらうと誤作動記憶の反応が示されたので、PCRTのプロトコルに従って施術を行った。このとき印象的だったのは、自分の理想のピッチングのイメージができないことだった。自分のベストな投球をイメージしてみるように促すと多くの投手は想像できる。今まで理想の投球をイメージする訓練はしたことがなかったのだろう。そこで、「プロの選手でも先輩でもいいから、理想のピッチャーを想像してみて・・・」と質問すると、2つ年上の先輩のピッチャーが自分の理想としてでてきた。モデルとなるピッチャーを自分に置き換えて、あたかもその理想のモデルのように自分が投球している想像をするように促した。そして、生体反応検査法を行うと、不一致の反応が示されないので、そのイメージを使ってエピソード記憶の施術を施した。さらには自分の理想となる先輩のように投げている自分自身のイメージトレーニングもアドバイスした。

4回目の施術(前回施術から2日後)

初診時から反応が示されていた頭部全体の反応点の検査では、すべて陰性反応が示されていた。キャッチボールやピッチングでも陰性反応が示され、かなり誤作動記憶が改善されていた。他に違和感のある場面を本人に尋ねてみると、大分改善されているが、ノックでゴロがきてホーム(キャッチャー)に投げる際に違和感があるという。検査をしてみると「恐れ」というキーワードが示された。思い当たる「恐れ」を尋ねてみると、送球の際、ノッカーや後ろの人に当てるのではないか、さらには、もしも、暴投したり、人に当てたりすると、周りからどのように思われるかが恐れになっていた。PCRTのプロトコルに従って「恐れ」に関係する誤作動記憶を消去した。治療を終えて、付き添いのお父さんに聞いてみると、最初に比べると随分よくなっているとのこと。最初に電話で応対してくれたスタッフの言葉を信じてよかったと喜んでおられた。

考察

4回目の施術から2週間ほど来院がないので、恐らく改善されているのだろう。もしかすると、まだ、どこかに誤作動記憶が隠れているかもしれないが、改善した経験も踏まえて、問題があれば来院してくれるだろう。お父様によれば、監督さんがとても厳しい方で、その影響もあるのではないかと心配されていたが、生体反応検査法では、監督さん関係の誤作動記憶は示されなかった。イップスの症状を発症してしまうと、多くの選手が「技術論」に救いを求める傾向にある。イップスで治療に来られる選手には毎回のように説明する内容だが、イップスは「技術論」で治るものではない。治らないどころが、技術に目を向け過ぎると治りが悪くなる。イップスは「意識」と「無意識」の不調和によるもので、特に「意識」という「理性」による判断が「無意識」の「感性」、「本能」、「身体」をぎこちなくする。「意識」の部分が「無意識」に向かって、フォームや技術をああしろ、こうしろと命令すればするほど、「無意識」がいうことをきかなくなり悪循環に陥る。イップスを克服するためには、まずは、「無意識」の心の状態を知ることが第一で、そこに「判断」を入れずに、ありのままを受け入れるこが重要である。そして、「どのように投げる」よりも「何のために投げる」ということを念頭に整理して投げることが大切である。身体はその目的に応じて、必要なフォームで投げてくれるはずだ。特に周りの指導者は技術的な指導に注目しがちになる。それも選手にうまくなってほしいという純粋な気持ちからなのだが、技術論に走り過ぎて、成長の芽を摘む危険をはらむので注意が必要だ。技術論が大切な場合もあるかもしれない。でも、「どのように○○しなさい」というよりも、「なんのために○○するのか」という質問を相手に投げかけた方が、数倍上達が早まるだろう。それはなぜだろうか?言うまでもないが、本人が主体的にその行動の目的を考えることが大切だからであるまた、人それぞれに体型や性格も違うので、ベストの技術というのはそれぞれに様々である。結果的に本人自身が苦労して紡ぎ出した技術がベストであって、ベストな技術が最初からあるものではないだろう。
イップスを克服するために、「意識」的に技術(フォーム)を「外」から部分的に変えようする傾向にあるが、多くの場合、それはうまく改善されないどころか、不自然になり、本来の能力が引き出されなくなり、足かせにもなる。イップスを本質的に治すためには、「無意識」的な全体像にアプローチすることが大切である。つまり、「内」から全体的に変えていかなければならない。例えば、ピッチャーであれば、「どのように投げるか」よりも「どんな球を投げたいか」という質問の方が、「意識」から「無意識」へ、「部分」から「全体」へ意識が向きやすくなる。多くの投手は、「伸びるような球を投げたい」という答えが返ってくる。すると、脳(無意識)では、伸びる球を投げるために自然にフォームを創るので、イップスという誤作動が入る余地がなくなる。
「理屈でうまくなる」というよりも「自然にうまくなる」という経験を多くのスポーツ選手が体験しているだろう。「自然にうまくなる」選手の多くは、目的意識が明確にあるようだ。目的が明確になることで、身体は無意識に自然に働いてくれる。目的が不明瞭なのに、身体を部分的に意識でコントロールしようとしても、無意識の脳は全体的に不調和を示すだろう。いくら脳の記憶装置が優れていても、入ってくるデータが不明瞭では、脳の計算処理が混乱して「正しい答え」がでてこなくなる。すると全身の筋肉に伝えられる指令が混線してミスも多くなる。要するに身体の筋肉の一部は「意識」的にコントロールすることができるが、全体の筋肉を「意識」的にコントロールすることはできない。全体をコントロールしているのは「無意識」的な脳であって、指、肘、肩、腰のように部分を同時に「意識」でコントロールすることはできない。
イップスを改善するためには、「外」から「内」へ、「意識」から「無意識」へ、そして、「部分」から「全体」へという考え方が大切になる。また、イップスを治すためには単に肉体へのアプローチや技術的なアプローチ、あるいは精神論的なアプローチだけではなく、心身相関という肉体面と心理面との関係性でアプローチすることが大切で、その背後にはコーチングのコンセプトや技法が使われている。

2016年8月31日水曜日

アレルギー症状(喘息)の改善

経緯
7歳の男の子が喘息の症状を訴えて母親と共に来院。病院でも治療を受けており、発作の際には吸引ステロイド薬も使用しているらしい。先々で喘息の検査入院を予定しているとのことだった。1年と3か月前に鼻水や咳などのアレルギー症状で当院を利用していただいたことがあり、2回ほど通院していただき、その後は症状が改善していたとのこと。遠方から帰省した際の来院なので、今回も限られた時間での通院だった。

1回目の施術
エネルギーブロックの検査では、免疫系と頭部全体の反応点に陽性反応が示された。病院ではダニなどのアレルゲンの数値が高かったとのことだったが、前回、当院でダニなどのアレルゲンに対する治療をした効果が継続しているためなのか、当院の検査では陽性反応が示されなかった。誤作動記憶の原因を検査してみると、大脳辺縁系→信念が示され、「自省心」や「忠誠心」などのキーワードで反応が示された。お母さまに心当たりを質問させてもらいながら、本人にも認識してもらい施術を行った。

2回目の施術
9日後の2回目のエネルギーブロックの検査では、1回目と同様に免疫系と頭部全体の反応点に陽性反応が示された。2回目でも、大脳辺縁系→信念で示されたが、一回目と異なる「慈悲心」や「警戒心」などのキーワードが示された。

3回目の施術
4日後の3回目のエネルギーブロックの検査では、前回と前々回に陽性反応が示された免疫系と頭部全体の反応点に示されていた陽性反応が消失しており、お母さまによると喘息の症状も大分落ち着いているとのことだった。呼吸器系以外に小麦粉のアレルギー症状が気になるとのことだったので、アレルゲン情報の検査をしてみると、小麦粉で陽性反応が示された。加えてそのアレルゲン情報との組み合わせで、信念に関係するキーワードも示されたので、アレルゲンと大脳辺縁系との組み合わせで施術を行った。

考察
アレルギー症状が改善する際、単に物質的なアレルゲンや環境的なアレルゲンだけでなく、その背後の誤作動記憶に関連する大脳辺縁系の潜在感情や信念などの検査が鍵となる。無意識に関係する大脳辺縁系へのアプローチは本質的に症状を改善する上でとても重要である。今回紹介させていただいたのは7歳の男の子である。7歳の男の子にしては、むずかしい質問かもしれないと思案したが、お母さまのサポートもあり、しっかりと内容を認識しているという印象を与えてくれた。付き添っていただいたお母さまも当院でのアレルギーの治療経験があり、一回だけの治療で改善した経験やPCRTの治療コンセプトや検査目的をしっかりと理解していただいている様子だった。通常の医療とは異なる考え方で施術を行う場合、できるだけ患者さんの立場で分かりやすく説明し、納得されたうえで施術をすすめることが、早期の改善につながるということを改めて感じさせられた症例だった。
これはいつも感じることであるが、病院で行われているアレルゲンの検査結果は、客観性があることは明らかである。しかしながら、当院での検査結果や患者さんが訴える症状と一致していないことも少なくはない。病院でのアレルギー検査結果は参考にさせていただいているが、基本的には身体を使った生体反応検査法を基準に施術を進めていくことを基本としており、信頼関係に基づいて治療が継続される限りほとんどの症例でいい結果がでている。恐らくアレルギー症状にはメンタル面などいろいろな要因が関係していることが考えられるが、今後の研究課題でもある。

2016年8月22日月曜日

オリンピック選手のコメントに変化が・・・


今日でリオのオリンピック閉会式を迎えました。今回のオリンピックは単に競技だけでなく、選手のメンタル面に興味が注がれました。先日、たまたま目にしたオリンピックのテレビ番組で、重量挙げの競技で銅メダルを獲得した三宅宏実選手が試合後のインタビューを受けていました。インタビュアーが、「最後は、どのような心境で競技に臨んだのですか?」と質問すると三宅選手が「2回目は失敗しているので、後は、天に任せるだけで・・・」というようなコメントしていたのが印象的でした。大会前に腰痛が悪化したとのことで、恐らく最後は開き直って「無心」で挑戦したのでしょう。

最近、スポーツのメンタルトレーニングやコーチングなどの手法がだんだんと広く浸透してきているのか、スポーツ選手のコメントに変化が表れているように感じます。オリンピック選手ともなれば、国レベルの期待や世界からの注目度から生じるプレッシャーは、計り知れないものがあるとオリンピックを経験した多くの選手は語っているようです。「オリンピックには魔物がいる」と、体操で金メダルを獲得した内村航平選手が話していたそうですが、後に「魔物は自分自身で創りだしている」ということが分かったらしく、後輩の白井健三選手にアドバイスしていたといいます。

通常、ミスするはずのない場面でミスをしてしまうと、「何かにやられた!」と思いがちになり、「魔物」などのせいにしたくなりますが、実は自分の無意識が引き起こしているのです。「魔物」というのは、私なりに表現すると「無意識の誤作動」なのですが、この誤作動が生じる傾向は、深い心理面に関係するようです。私の心身相関に関連する臨床経験でも多くのスポーツ選手が、本来の実力が発揮できなくなるような誤作動記憶のパターンが浮き彫りにされることがあります。

選手それぞれに異なる誤作動記憶の背景がありますが、多くの傾向として、優勝して自分がチャンピオンの立場になると、「守り」に入ってしまう傾向があるようです。「守り」と対照的になるのが「挑戦者」の精神です。試合のパフォーマンスをサポートさせていただいている選手には、次の対戦相手やパフォーマンスを想像してもらい、心身相関的に「誤作動記憶」がないかどうかを検査します。自分の置かれた立場や地位を守るような気持ちで試合に臨むイメージをすると誤作動反応が示され、挑戦者の気持ちで試合に臨むイメージをすると、誤作動反応はなくなる傾向があります。

多くの選手は勝つために試合をしているので、「絶対に勝つ!」という意気込みで試合に臨むわけですが、「絶対に勝つ」という意識は身体機能に誤作動を生じさせやすくなる傾向があります。それよりも、「普段の練習通り」という思いで試合に臨むと、本来の実力が発揮され、理想的なパフォーマンスができる選手が多いようです。

今回、惜しくも4連覇を逃した吉田沙保里選手の試合直後のコメントから察するに、「・・・で申し訳ないです」あるいは、「日本選手の主将として、金メダルを取らないといけないところだったのに、ごめんなさい」というようなコメントは、多くのプレッシャーを背負って臨んだことが伺えます。もしも、「普段の練習通りに・・・」という思いだけで戦っていたら本来の実力が発揮できていたのかもしれません。それは単なる勝手な予測にしか過ぎないですし、相手がいる競技ですので、相手の実力が上回っていたのかもしれません。

「勝っても負けても、今まで練習してきた通りに全力が出せる」と、心の底から思えることができればいいのかもしれませんが、無意識の心はそれほど簡単ではないようです。

選手によっては、「周りからの声援が大きいほど、実力がだせる」という傾向の人もいますが、本番での無意識の誤作動記憶のパターンがあるかどうかは、事前に検査をすれば分かります。孫子の兵法に、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とあります。敵の実力やメンタル面も含めた現状をしっかりと把握し、自分自身の実力や深いメンタル面も良くわきまえて戦えば、勝ち続けることができるということです。

昔から武道においても「無心」になることが重要視されています。スポーツ選手が勝利したとき、「無心で走りました!」「何も考えていなかったです!」などという「無心」であったであろうコメントを聴くことがあります。恐らく、それは「ゾーン」か「フロー」といった状態の時のことで、そのときに多くの選手はピークパフォーマンス、すなわち最高のパフォーマンスが発揮できるとだといわれています。

スポーツ選手をサポートする治療者として、単に肉体面だけでなく、このような隠れたメンタル面のケアができるかどうかはとても重要な役割になると思います。多くの治療者がもっと本質的なところに興味をもっていただき、活躍する選手の縁の下の力持ちになってくれればと願います


2016年8月21日日曜日

「構造を修復する治療法」と「働きのバランスを整える治療法」

「構造を修復する治療法」と「働きのバランスを整える治療法」

先日、久しぶりに中学生時代の同窓会に参加してきました。セミナーや研究会関係者とのパーティーは毎月のようにありますが、同級生というつながりで、いわゆる他業種の人達とのパーティーは久しぶりでした。中学生時代の思い出話は楽しいひと時でした。何人かの親しくしていた同級生は、私が何をしているのかを知っていましたので、腰痛で悩んでいた同級生に私に相談するように促してくれました。

話を聞くと、かなりひどい腰痛で入院された経験があるとのことでした。椎間板ヘルニアの診断を受けたとのことでした。担当医は手術を勧めず、ブロック注射の治療を受けたとのことでした。それは10年以上も前の事だったようですが、未だに腰痛には悩まされているとのことでした。腰痛があるたびに担当医の先生に診てもらっているとのことで、カイロプラクティックや鍼灸などの自然療法は受けていない様子でした。私は、その同級生に自然治癒力を引き出す治療者という立場で、腰痛が生じる因果関係をできるだけ分かりやすく説明ました。

最初、その同級生は理解しがたい表情もありましたが、話し終わる頃には、納得してくれた様子で喜んでもらいました。私自身も話し終わった後、我ながら上手に説明できたかなと振り返りました。それは、前もって計画していた話の内容ではなく、どうしたら理解してもらえるかと必死に考えた末に無意識にでたたとえ話でした。それは、ずいぶん前に自分のブログでも書いたことがある内容だったと思います。そのたとえ話のキーワードは「働きのバランス」です。西洋医学が得意とする「「構造を修復する治療法」とカイロプラクターなどが得意とする「働きのバランスを整える治療法」との違いを説明しました。

特に分かりやすかったのは、「オーケストラ」のたとえ話だったと思います。数十人で演奏するオーケストラの調和、すなわち強弱などのバランスが一人でもずれてしまうと、全体に影響を及ぼします。身体の「働き」も同じで複数の筋肉、あるいは神経の働きのバランスが乱れると、関節がスムーズに動かなくなり痛み信号を発したりします。

もしも、10数人のオーケストラのメンバーが一人欠けたらどうなるでしょうか?恐らく一人欠けたなりに、全体のバランスを整えれば素晴らしい演奏ができるはずです。それは4人のバンドメンバーが調和していれば、素晴らしい演奏ができるのと同じです。例え肉体構造の一部が欠けていても、あるいは、左右が不対称でも全体としての筋肉や神経の「働きのバランス」がとれていれば、身体は十分に機能してくれる力は持っているのです。

「構造を修復する治療法」は肉体の構造異常に注目して、変形や歪みを症状の原因とする傾向があります。世間一般では、ついつい「構造異常」に目を向けがちですが、慢性症状の場合には「働きのバランス」に注目することが大切なのです。



2016年8月20日土曜日

内分泌系(ホルモン系)の異常の改善

内分泌系の異常で比較的多く相談を受けるのは、生理痛や生理不順の患者さんです。特に月経前症候群(PMS)で長年苦しんでいる方も少なくはなく、症状があるのが当たり前のようになっている人も多いようです。身体的症状では下腹部痛を初め、乳房痛、むくみ、倦怠感などがあり、精神的症状では抑うつなどの気分障害や睡眠障害を訴える方が多いようです。

生理不順の患者さんの中では2年以上も月経がなく、当院での治療で改善した実例もあります。ホルモン系の異常は女性だけでなく男性にも生じます。改善した症例の多くが無意識の誤作動記憶に関係しています。このような心身相関に関連する因果関係は通常医療では検査することができません。当院での心身条件反射療法で検査をしますが、ホルモン系の異常を示す臓器反応点に陽性反応が示されます。施術を繰り返すことで、このホルモン系に異常を示す陽性反応が消失すると共に、多くの患者さんで症状が改善されます。

ホルモン系の誤作動が、無意識のメンタル面に関係しているということは、一般的にはあまり知られていません。世間一般でもっと多くの人がこの事実を当たり前のように認知してくれると、多くの人がつらい症状から解放されるのですが・・・・世間一般の常識というのは手ごわいものです。

下記の感想は生理不順の症例改善の一例です。この患者さんも無意識的な感情や、一般論から得た情報による思い込みが関係していたようです。関連していた潜在感情の一つが「喜び」に関係していました。通常、メンタル面が関係するというとネガティブな感情などが関係していると思われがちですが、ネガティブな感情だけでなく、ポジティブな感情も心身のバランスの誤作動に関係しています。

心身相関の分野で誤解を受けやすいのが、「精神面」が悪いから「身体面」が悪くなると思われがちなところです。これは明らかな誤解なのですが、心と身体の関係で体調を崩すということがまだまだ世間一般に浸透しないようです。それは、機械構造論的な情報や教育からの影響と、心身相関に関係する科学的研究が難しいということも影響があるように思います。

当院で治療体験をすると、多くの患者さんが心と身体の関係性で誤作動を生じるということが当たり前のように分かってきます。本質的な原因が分かると、健康に自信が持てる人が増えてきます。心と身体の関係性で体調不良を生じさせるということが、世間一般で当たり前に語られるように、もっと多くの患者さんの症状の改善に役立てればと願っています。


2016年8月10日水曜日

LCAインストラクター研修2016

今年も福岡のファミリーカイロと志賀島国民休暇村で充実したLCAインストラクター研修を開催することができました。AMやPCRTにおける指導法の統一や実技試験の確認、AMアドバンスプログラムの準備など幅広く研修を行いました。また、チームメンバーにはそれぞれにプレゼンテーションを行っていただきました。チームは長年の経験を経て、成熟期を迎えています。それ故に、必然的にチームメンバーに課せられたプレゼン課題もとても深い内容でした。恐らくプレゼンを準備する過程で自分自身を振り返り、未来のために深く考えていただいたのではないかと察します。

それぞれのメンバーが心に響くプレゼンテーションを行ってくれました。課題を受けてどのようにプレゼンするかを試行錯誤して、実際にプレゼンするまでの過程において、チームメンバーがそれぞれに深みのある成長ができたのではないかと感じました。1泊2日の研修ですが、寝食を共にすることで、さらなるチームのつながりが深まったのではないかと感じます。

通常の研修では、一人部屋か二人部屋が多いのですが、今回は畳の部屋に布団を並べて泊まりました。畳いっぱいに敷き詰められた布団の間で、ひざを突き合わせて次の日になるまで飲みながら語り合いました。飲み足りないメンバーはホテルのロビーで飲んでいたそうです。明日の事も考えて1時ごろ床に就いた私は、途中で目が覚めて、暗闇の中でメンバーの身体を踏まないようにトイレに行きました。ゆっくりと自分の布団に戻ると、隣のメンバーが私の布団を占領していました。私は肘で押し戻そうとしましたが、動く気配がありません。おまけにいびきの合唱が聞こえてきます。しばらく窮屈な思いをして眠りにつきました。

畳の部屋で布団を並べて寝食を共にするという経験は久しぶりでしたが、志を共にするチームメンバーであるがゆえに、貴重な体験になったようです。今回の研修で培われた「チーム力、人間力、指導力」が、未来のセミナー、研究会、そして、臨床現場で生かせることを期待しています。







2016年7月29日金曜日

再学習記憶による「治る力」を信じて健康を保ちましょう

もしも、多くの慢性疾患や難病が、「脳の誤作動記憶」から生じているとしたらどうでしょうか?「脳の誤作動記憶」とは、心と脳と身体の関係性で創られる誤作動記憶の事です。病気の原因が「記憶」にあるとすれば、「記憶」を書き換えれば新しい脳の神経回路が創られて症状や病気が改善されるということになります。脳には可塑性といって、脳梗塞などで一部の脳が損傷されても、リハビリ運動などの機能回復訓練でその機能を補う新たな神経回路が創られいるとうことが医学的にも知られています。

脳梗塞などによって受けた機能障害は目で見ても分かるような症状ですが、医学的な検査では原因が分かりにくい慢性症状もたくさんあります。その多くの慢性症状が、無意識的な脳の誤作動記憶によって生じます。原因が「記憶」という脳の神経回路にある場合、肉体内の構造異常を見つける医学的検査では判断することはできません。また、症状や病気の原因を探索する際、多くの医療では、肉体内だけの構造異常や機能異常を探そうとして、身体と心の関係性にまで目を向けることはほとんどありません。

「心が関係する?」と聞くと、多くの人は心がいいとか悪いとかに意識が向けられます。しかし、心がいいとか悪いとかで病気や慢性症状を引き起こすわけではありません。症状に関係する心のほとんどが無意識的な心です。つまり慢性症状のほとんどは無意識的な様々な誤作動記憶によって生じると考えられます。さらに広い視座に立てば、意識と無意識との心がうまくつながらないことによって不調和が生じてしまうということです。

誤作動記憶とは、知らない間に身につけてしまった間違った身体の働きの『クセ』といういい方もできます。『クセ』とは、脳と身体に習慣的に学習された記憶の結果もたらされる自動的な働きです。その『クセ』は自分の意志とは無関係に作動してしまい、意識的にはどうすることもできません。このような病気や症状を引き起こす『クセ』を改善させるためには、意識ではなく、無意識に働きかける必要があります。

無意識的に生じている身体の働きの異常を改善させるためには、まずは無意識の誤作動に対する検査が必要です。その検査をするためには、「身体を使った検査」、すなわち、身体に『刺激』を加えて、身体がどのように『反応』するかを診る「生体反応検査法」がとても大切になります。この検査法がスムーズに進められると、治療効果も高まり、症状も段階的に改善されていきます。慢性症状はこのような無意識的な心身の学習記憶によってもたらされた結果であるという前提に立てば、再学習し、記憶すれば治るのが当たり前ということになります。

本来、治る力は平等に与えられています。ご自分自身の「治る力」、再学習記憶できる力を信じて健康を保ちましょう。

2016年7月27日水曜日

治療用テーブルの張替

前のオフィスからの移転後、三か月が経過しようとしています。治療用テーブルの張替も終えて、ようやく治療院環境が整った感じです。張替は今回で2回目、今回は最高級のソファーにも使われる「本革を超えるエグゼクティブ」というキャッチフレーズの合皮を「合皮.jp」 http://www.gohi.jp/product-group/9 から購入させていただきました。

前回の張替は、人工皮革(スエード)を使用していましたが、汚れが目立ってきたので張り替えました。今回の合皮は肌触りも良く、患者さんたちにも好評のようです。今回はワインレッドとブラックの合皮生地を購入し社内で試行錯誤しながら縫製と張替を行いましが、素人にしてはまずまずの出来だとスタッフ一同で満足しています。
また、大切に使わせていただきます。




2016年6月22日水曜日

「キラーストレス」によるこころと身体の関係性

NHKのスペシャル番組で「キラーストレス」について紹介されていた。ここ数年、心と身体の関係性による健康問題に関する番組も増えているが、今回のNHKの番組では、命にも関わるストレスということで、さらに一歩踏み込んだ内容で番組が構成されていた。世界の最前線で研究をしている研究論文と、一般の人にもなるほどと思わせる仮説を題材にして分かりやすく説明され、バランス良く番組が構成されており、さすがHNKだなと感心させられた。

例えば、「数万年前、狩猟をして暮らしていた私達の祖先は、猛獣などに襲われる危険があるため、危険を感じたり怪我をすることを想定して体が一足先に反応、血を固まらせたり、血圧を上昇させて全身の血の巡りを良くし瞬時に反応できるようにしている。」という仮説もなかなか説得力があった。

自然治癒力を引き出す治療家としての立場で本質的な原因療法を追究し続けていると、がんや心筋梗塞、脳梗塞の患者さんに遭遇することも度々で、ほとんどのケースが何らかのストレスが関係していることは明らかである。健康問題を単に肉体への物理的刺激にだけにとどまるのではなく、運動面や栄養面など生活習慣全般を幅広く追究していると、根幹となる慢性病の原因はやはり、心身相関というこころと身体の関係性にあると今でもその効果的な治療法を研究し続けている。

しかしながら、心と身体を切り離して考える機械論的な医療が主流となっている現代社会においては、まだまだ、「がんや心筋梗塞が身体の問題だけでなく、こころとの関係性が大きく影響を及ぼしている」ということが当たり前には語れないのが現状である。多くの人が、肉体だけの問題、あるいは、食生活や運動不足などの生活習慣病にとどまり、心の習慣=無意識の心の習慣というところまでには関心が及ばない。

数年前に、HHKの番組内容が裏付けとなるような脳梗塞の患者さんに遭遇したことがある。頭ではストレスの対象となる人を受け入れているつもりでも、無意識はかなり強い抵抗があったようだ。恐らく、本能的に自分の身を守るため、血を固まらせるようなシステムが働いたのだろう。PCRTの検査ではある人に対するストレス反応が毎回繰り返されていた。意識と無意識との調和の治療が追い付かずに脳梗塞を引き起こして病院での治療を受けた。その後、病院での治療と並行しながら、本質的なストレスの原因治療も継続し、数か月後には後遺症も残らず元気に回復した。危うく命も失いかねない状況で、ストレスという目には見えないエネルギーの強さを改めて感じた。

そのような病的なエネルギーのアンバランスはエネルギーブロック(EB)として、PCRTの検査で陽性反応が示される。心筋梗塞やがんの手術で悪いところを外科的に取り除いたとしても、本質的な原因が脳に記憶されていれば、生体反応検査法では陽性反応として示される。対症療法で改善されたとしても原因療法から診た観点では本質的には改善されていないということになる。対症療法でその場はしのげても、再発するかもしれないし、他の病気へと変容するかもしれない。今回のような番組を見て、視聴者はどのような感想を持ったのだろうか?多くの視聴者が、心と身体の関係性に興味を持ち、本質的な原因療法に関心をもってくれることを願う。

ちなみに、下の写真は、キャロル・シャイブリ博士がマカクザルでストレスと階層間の相関関係を調査した結果を証明する動脈の組織標本。 左は従属者のマカク動脈(ストレスを感じている)、右は支配者のマカク動脈。支配者のボスザルには動脈硬化の徴候は見られず、ストレスを感じている下階級層の従属サルに動脈硬化の徴候が見られたという。


2016年6月18日土曜日

霊的な影響に受ける患者さんにはどのようにアプローチするのか?

長年、治療者の先生方を対象にセミナーを行っていると、様々な質問を受けます。その中でも多くはないにしても繰り返し受ける質問があります。それは、「病的に気の重い患者、霊的に何かを感じる患者などを施術した後は、毎回その人の悪い気を受けて具合が悪くなることがあるのですが、何かいい対処法はないでしょうか?」というものです。この質問は、「悪い気(邪気)」や「霊的な気」が存在し、その気を受けるとウイルス感染を受けるかのように病気になってしまうと信じている方です。この霊的な影響を受けるという信念は、治療者だけでなく患者さんにも時々遭遇します。

もしも、そのような信念を持っている治療者や患者さんに相談を受けた場合、まずは邪気を受けないようにしたいのかどうかを尋ねます。そうすると多くの人は「受けないようにしたい」という意思を示しますが、受けなくするという意味は、今まで信じてきた信念を書き換えいるということでもあります。詳しく質問をすると、今まで信じてきた信念や感覚を無くすることに抵抗を感じている場合もあります。

例えば、霊的な邪気のようなものを視覚的に見える人、あるいは体感覚的に感じる人や嗅覚的に感じる人など感じ方は様々です。そのような感覚は何か特別な能力として持っておきたいという人も少なくはありません。つまり、「邪気を受けなくする」ということは、霊的な感覚もなくなるという意味にもつながるので、そのような能力は持っておきながら邪気を受けないようにしたいという人もいるでしょう。このような相談を受けた時、まずは、その人が信じている霊的な影響に関してお尋ねし、そのうえで今まで信じた信念体系を書き換えたいという前提で、邪気を受けないための施術を行います。

霊的な存在、すなわち非科学的なモノを真っ向から否定する人にとってはこのような悩みは起こりえません。それは、その人の信念によるものだからです。邪気を感じることが科学的に証明できないから正しくないとかの問題ではありません。「真実」と「事実」の解釈に違いがあるように、どちらも正しいのです。「真実」とは人間の頭の中で起こった出来事で、「事実」は現実に起こった出来事で、どちらもうそいつわりでない本当のことなのですが、「事実」は客観的に誰もが同じように感じているという意味合いを持ち、「真実」は主観的に見た人、触れた人によって感じかたが異なるという意味合いを含んでいます。

邪気を感じるか否か、あるいは邪気に影響を受けるか否かは、その人の培ってきた信念体系に関係するので、邪気を受けないようにするためには、その人が信じている霊的な情報に対して質問することから始めます。信じている人の多くは、幼いころからスピリチュアル的な環境の中で育ってこられた方が多いようです。中には人生の指針となる大切な教義を大事にしておられる方もいます。大切な教義は持ちながらも、健康に影響を及ぼすような邪気からは切り離したいという人もおられます。基本的には患者さん自身が現状を把握して、どのように信じていきたいかということです。特殊な感覚がなくなることで、大切な教義や信仰がなくなることではないので、誤解のないように説明しなければなりません。

このような霊的な邪気によって健康を害している人に限らず、その人が知らず知らずに信じてきた信念体系が健康を損なう原因の一つになっていることは少なくはありません。目に見えるモノだけが病気の原因に関係しているわけではありません。むしろ目には見えない無意識的なモノの方が大きく健康に影響を及ぼしているということを多くの治療者や患者に知っていただきたいと願います。

2016年5月30日月曜日

新装移転

お陰様で5月より無事に天神に移転することができました。今回の急な移転に際しては、多くの方々に大変お世話になりました。特に新店舗を探す際にとても親身になっていただいた不動産会社の担当者、内装や備品の調達、引っ越し、工事を手掛けていただいた会社の方々には心より感謝しております。

突然に退去の話が持ち出されたときは、「え~なんということでしょう」という感じでした。今までの職場環境が他人の都合で大きな変化がもたらされるということに不安を感じました。まずは、不動産会社を紹介していただき、担当者の方にご協力をいただいて近所から物件を探しました。方位気学なども考慮すると、転居できる範囲もだんだんと特定され、ようやくたどり着いたところは天神の繁華街。これも「え~なんということでしょう」という感じでしたが、結果的には皆様の温かいご支援のお蔭で仕事のしやすい環境に移転することできたように感じております。何よりも来院して下さる患者様方に喜んでいただけることが、私たちの一番の喜びです。

昔のことわざに「人間万事塞翁が馬」、あるいは「禍福は糾える(あざなえる)縄の如し」とありますが、今回の移転騒動はそんなことわざが思い出されました。これは不運だなと思われる出来事が、長い目で見るとそうとは限らないし、これは幸運なことだと思われる出来事が長い目でみるとそうとは限らない。このようなことわざは、長い人生で何が起こるか予測できないという山あり谷ありの人生を生き抜くためには大切な教訓です。例えば、ある人がエスカレーター式に事業に成功し、順風満帆な生活を送っていたらと思ったら、事業が急展開して多額の負債を抱えどん底の人生を送る。その一方で、どん底の人生から這い上がった人の話も数多く知られています。

大切なことは、ある出来事に対しての受け止め方には何通りもあり、未来への選択肢も何通りもあるということです。何事も決め付けずに、柔軟に受け止めて、必要に応じて環境に適応し、自分のペースで成長し続けることが大切かと思います。基本的に小さいことであれ、大きなことであれ、誰か、あるいは何かの役に立っていることの喜びの循環が、目には見えない力となってその人の人生に影響を及ぼすのかもしれません。

今回の移転を機に、さらに皆様にとって心地よい空間を創り、これから10年、20年と、引き続き喜んでいただける治療院を目指したいと思います。これからも目には見えない生体エネルギーブロックと心身相関による誤作動記憶に焦点を当て、多くの慢性症状の改善にお役に立つことができるように、研究を積み重ねてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

2016年5月2日月曜日

「生まれ変わった気がする・・・」信念に関係するコーチング手法


【はじめに】

肩や両大腿部の症状で来院していただいていた患者さんが、しばらく通院していただいて、筋骨格系のしびれや関節のこわばりの症状に加えて、内分泌系や自律神経系に関連する身体のだるさや疲れ感など様々な症状に悩まされていたことがだんだんと見えてきた。4~5年前から糖尿病の治療も受けているという。経営者であり、心理的なことも幅広く勉強されているという印象が感じられた。また、拙著の「体の不調は脳がつくり、脳が治す」も読んでいただいており、PCRTにも興味を持っていただいていた。

【経緯と施術者の主観】

ある来院日のこと、しばらく定期的に通院されている過程で、患者さんはいつも以上の体調不良を訴えていた。PCRTの検査をしてみると、複数のEB(生体エネルギーブロック)反応が確認された。そのEB反応は、患者さんが訴える症状に反映しているようにも思えた。特に膵臓部のEBと脳下垂体部のEBが、毎回繰り返されて陽性反応が示されているので、術者の直感で、何か潜在的に深い誤作動が関係しているだろうと感じた。患者さんに、「ここは、集中して治療されたほうがいいかもしれませんね。」と集中治療を促す。

患者さんにも同意してもらい、治療間隔を開けずに、ほぼ毎日集中的に通院していただいた。集中治療の同意を得てから、2回、3回、4回目と無意識に関連するある信念のキーワードが示された。4回目の施術では、そのキーワード(信念)の背後にある信念を認識され、その信念がどこから形成されたのかも認識していただいた。そして、次の来院日、前回の施術で、お父様から受けた信念があたかも自分の信念であるかのように生きてきていた自分に気づかれたとのこと。そのことは、様々な事柄に関係しており、そのことに気づけたことで、心も身体もすごく解放され楽になったとのコメントを頂いた。

その後、遠方での出張から帰ってこられて来院していただいた。通常、今回のような出張であれば、身体に疲れるが残っているのだが、前回の施術から疲れを感じることがなく、何か生まれ変わったようで、未来へのビジョンが開けた感じだとのコメントを頂いた。今回の集中治療の過程で、今までの人生で、高級マンション、高級車、船など欲しいものはほとんど手に入れているが、何か満足していない、何かもやもやした自分がいるということも話していただいていた。今回の「気づき」でその背後に隠れていた理由や「心の構造」も明確になった様子だった。

【考察】

この患者さんの場合、心理系の勉強もされていたので、無意識に関連する「誤作動記憶」を積極的に探索しようとする意識があり、それが好結果をもたらしたように思う。通常では、このような深い気づきを得るためには、ある程度の治療回数が必要になる。また、身体の症状が、心の誤作動記憶に関係していると頭で理解できても、そのパターンから心の底から抜け出したいと思えるかどうかも大切なポイントになる。いくら治療法が優れていても患者さんの無意識が協力的でないと効果が引き出せない。本症例は、無意識がもたらす影響を十分に理解され、本気で自分自身を見つめようとした成果だと思う。

今回の症例での施術ポイントは、自分が信じている信念(心のルール)の出処がどこからなのかということだった。人は誰でも、意識的にも無意識的にも何らかの信念(心のルール)に基づいて生きている。その信念の出処は大きく分けて3つに分けることができる。

1. 生まれ持った生来的な信念
2. 他者に影響された信念
3. 強要された信念

1. 生まれ持った生来的な信念
生まれたときからの持ち備えている心の性質がもたらす信念

2. 他者に影響された信念
多くは両親よってもたらされた信念で、その他、恩師、教師、あるいは本などによる架空の人物などからもたらされる信念。あたかも自分が生来的に信じている信念として錯覚しやすい。

3. 強要された信念
暴力的な手段などの恐怖によってもたらされた信念で、それを信じているふりをしないと生きていけない状況にいる。

上記の3種類の信念の中で、自己矛盾や心の不一致が生じやすいのは、2番目の「他者に影響された信念」で、心身相関的にも体調不良を生じさせる誤作動記憶を生じさせやすい。

PCRTを使ったコーチング手法では、意識と無意識との不調和を示す信念を瞬時に特定できる。術者と患者との共同作業でそれを解きほぐしながら、誤作動記憶の調整が可能になる。多く慢性症状の本質的原因がこの信念の不一致に関係していることが多い。この治療価値を理解してくれている患者さんは、心の底から喜んでいただいているという感覚が伝わってくる。それは、治療者にとっては大きな喜びとなる。

2016年4月25日月曜日

疾病利得」にも対応できる治療者を目指して!


有名なフロイト博士やユング博士と並ぶ精神医学・心理学界の巨人の1人、アルフレッド・アドラー博士は以下のようにコメントを述べています。

『敗北を避けるために、時に人は自ら病気になる。
「病気でなければできたのに・・・・」
そう言い訳して安全地帯へ逃げ込み、ラクをするのだ。』

さらに、「人は人生の敗北を避けるために、あらゆるものを利用する」とも述べています。

これを心理学では「疾病利得」といいます。

病気で苦しんでいるのになんてことを言うんだ!そんな話は聞きたくもない!と憤慨する人がいるかもしれません。特に保険診療ではなく、自分のお金と時間を使ってくる自由診療の患者さんにとっては、あり得ないテーマだと思われがちです。しかし、一般的に心理的要因が影響を及ぼすことが知られている「うつ病」、「パニック障害」、「機能性胃腸症」以外にも様々な慢性症状の背後には「疾病利得」が関係していることがあります。

当の患者さん自身は、そのようなことは意識する由もなく、病気を治すことに一生懸命で、「病気さえ治れば・・・ができる」という思いの人がほとんどです。「その病気には「疾病利得」が関係しているかもしれません・・・。」などと治療者にいわれたりすると、信頼関係が悪くなることが予測されます。なぜならば、「疾病利得」に関する一般的な印象が、「ずるい」、「甘えている」などのネガティブな要素を含んでいるからです。

この「疾病利得」が関係する症状で厄介なのは、本人が偽っているわけでもなく、実際に身体に障害を引き起こしているというところです。「疾病利得」が関係していなければ治る症状も、この「疾病利得」が背後にあるから症状がぶり返してしまうのです。この「疾病利得」は、緊急事態でない症状も多々ありますが、時には命さえも脅かす症状を引き起こしてしまうのです。

「疾病利得」が関係する慢性症状の傾向として、ある程度の通院期間の間に共通する傾向が見えてきます。


  • 肉体的な原因や治らない医学的な理由(身体の異常)には興味を示し、本質的な心理的な原因や理由(心の関係性)には興味を示さない傾向。
  • 複数の症状を抱えて、改善している症状があるにも関わらず、改善されていな症状に注意を払う傾向。
  • しばらく通院されて改善されてきた徴候が増えてきたときに症状がぶり返す傾向。


「疾病利得」が単にいいとか悪いとではなく、その背後にはそれなりの意味や「成長の種」が隠されているのだと私は思います。また、人間であれば、多かれ少なかれ誰もが無意識的に経験している心身相関のプロセスだと思います。

「疾病利得」を客観的に判断できる治療者はごく僅かかもしれません。また、「疾病利得」の背後にある潜在的な感情や信念に関してアプローチできる治療者もごく少数でしょう。PCRTの治療者の場合、熟練してくると、「疾病利得」の関係性が見えてくるようになり、患者にそのことを知ってもらうべきか否かに悩まされることもあるかもしれません。

PCRTでは「無意識」という慢性症状の本質を対象に検査をしているため、「疾病利得」をある程度の客観性をもって判断できる検査手法があります。その検査をするか否かは、術者の判断と患者さんの同意によります。この検査をする前提条件として、治療者と患者との強い信頼関係、それに加えて、患者自身がそのことを認識し、その「疾病利得」サイクルから抜け出すことで、将来的にそれを超える利益を得られるということが求められます。

その利益とは、表面的な利益、すなわち頭だけで求めている利益ではうまくいきません。意識的にも無意識的にも心の底から求めているということが必須条件になります。つまり、「疾病利得」とは症状や病気を繰り返す負のサイクルパターンの中で、何か得られるものが潜在的にあるということです。よって、そのパターンから抜け出すためには、負のパターンにとどまる以上に得られる利益が必要になってくるということです。

「疾病利得」に対する患者さんへのアプローチは、治療者にとっても、患者との信頼関係を無くすかもしれないというリスクを伴うものです。この分野へのアプローチを試みる場合、ある程度のPCRTの熟練と経験が必要です。単に、患者さんにそのような傾向があるからと言って、すぐにアプローチできるようなテーマではありません。

上記のような情報のお膳立てができていて、しかも、患者さんがそのパターンから心の底から抜け出したいという意向がある場合に限って、PCRTではコーチング手法を織り交ぜながら患者さんをサポートすることができます。

PCRTという治療法は、本質的なアプローチを行うために、熟練すればするほど、無意識が引き起こす症状や病気につながる生体反応や行動パターンが見えてきます。見えるからと言って、すぐにアプローチできるとは限りません。負のサイクルから抜け出す準備と条件が患者に満たされているということが前提として必要になるということです。

「疾病利得」という厄介な問題に触れなければ、悩む必要もないかもしれません。しかしながら、本質を見ようとする治療者であれば、避けて通れない課題だと思いますし、「疾病利得」へのアプローチに挑戦する価値は大いにあると思います。

全ては患者が選択する事なのですが、単に心の問題として切り離すのではなく、患者に寄り添いながら、負のサイクルから抜け出す選択肢を提供できる治療者であるのかが重要な課題だと思います。自然治癒力の関係する慢性症状を対象とする治療者にとって、心と身体の関係性を検査し、治療できる知識と技量の研究は生涯のテーマだと私は思います。

2016年4月12日火曜日

症例報告:ゴルフのアプローチイップス

【はじめに】
60歳、男性。12~3年前よりアプローチの際に、イップスの症状がではじめたとのこと。以前はアマチュアの試合によく出場されていたという。症状が強くなるのは、簡単なアプローチをする際で、右手の動きを意識して、気をつけるようにすると、症状がある程度軽減するらしい。
長年患っていたイップスの症状が早期に改善された症例として報告する。

【初回施術】

〔目安検査〕
→アプローチイップスの症状イメージ→
〔EB特定検査〕
→陽性反応→恐れ→アマチュアの一定の評価ラインがあり、その評価からカットされるかもしれない→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→存在感→アマチュアゴルフ界における自分の存在感→実力がでれば出場できる大会が、守りに入っていけなかった→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→慈悲心→お母さま→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→虚栄心→ゴルフ関係→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応
→陽性反応→警戒心→最初にアプローチをミスしたとき→陽性反応→慈悲心→お母さま→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応

〔目安検査〕→最初にミスした際→警戒心→陽性反応→
〔EB特定検査〕→警戒心→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応

〔目安検査〕
→イップス発症前の最初にミスした際の直前の状態イメージ→
〔EB特定検査〕
→陽性反応→復讐心→誰よりも練習しているのになぜ・・・という自分に対して→陽性反応→PCRT呼吸振動法にて調整→陰性反応

【2回目:4日後来院】

〔患者からのコメント〕
今回、初めてイップスの治療を受けて数日後にアプローチの練習をされたとのこと。練習ではイップスの症状は気にならなくなったとのこと。治療直後にすでに良くなった感覚があったともいわれていた。

〔目安検査〕→アプローチイップスの症状イメージ→陰性反応

〔目安検査〕→最初にミスした際のイメージ→陰性反応

〔目安検査〕→イップス発症前の最初にミスした際の直前の状態イメージ→陰性反応

前回陽性反応が示されたイップス症状に関係する目安検査ではすべて陰性反応が示されたので、メンテナンス的に全身の調整を行う。

【考察】
今回のゴルフのイップスの症例では一回の施術でほぼ改善したようだ。治療の前に拙著「身体の不調は脳がつくり、脳が治す」を読んでいただいていたことも影響していただろう。多くのイップスの患者の施術をさせていただいているが、一回~二回の施術で来院されなくなった患者もいる。この場合、患者からの情報も途切れ、検査もできないので、その後改善されているのかどうかは不明である。恐らく症状が改善されたので来院されなくなったのだろうと、治療者側としては考えたい。すべての患者において、イップス症状に関係する誤作動記憶の陽性反応は、治療後にはほとんど消去しているということから察しても早期に改善していると判断しても差し支えないだろう。今回の患者のように良くなったと実感されても来院して下さる患者は、自覚症状と照らし合わせて検査ができるので、治療者側としても施術に対して確信が持てるのでありがたい。

2016年4月7日木曜日

症例報告:投球イップスの改善(大学生)

【はじめに】
大学1年、男性の右投げピッチャーが投球イップスの症状を訴え来院。投球イップスに加え、キャッチボールでもイップスの症状を感じることがあるとのこと。高校一年生の時から発症。悪い時には投げることができなくなるが、高校一年生の時よりは良くなっているらしい。他治療院で電気治療やマッサージ治療を受けている。
4年ほど前から発症したイップスが、短期間でスムーズに改善した理想的な症例であるので報告する。

【初回検査・治療】

〔初回目安検査〕
  • ハード面の誤作動検査(機能的検査)
  1. 両肩関節挙上、頸椎左右回旋にて陽性反応を認める。
  2. 脊柱関節の神経関節機能障害の検査(アクティベータ・メソッドによる検査)では右骨盤部、L2、T8部に陽性反応。
  • ソフト面の検査(心身相関に関係する誤作動記憶によるエラー)
  1. マウンドで投げるイメージで誤作動反応、軽く投げるイメージで誤作動反応、遠投では陰性反応。
〔PCRTEB特定検査〕
  • 症状イメージ:マウンド投球
→「恐怖」→野球分野→バッターに当てる恐れ→他者からの批判や自責→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • 症状イメージ:マウンド投球
→「恐怖」→野球分野→試合でフォアボール→他者からの批判→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • 症状イメージ:マウンド投球
→「執着心」→野球分野→どうしたらちゃんと投げられるか→フォームを意識→誤作動反応・・・ここで、施術者は新たな意識改革の必要性があると感じ、「フォームはゴール
(結果)の後からついてくる」という内容の説明を行う。

投球イップスを抱えている多くの投手は、イップスを改善させるためのフォームの改良ばかりに意識を注ぐため悪循環から抜けだせないことが多い。むしろ、「どのような球を投げたいのか」の「結果」が肝心で、どのように投げたいのかのなどの「投げ方の技術論やプロセス」は重要ではない、むしろ、「結果」を意識せず、投げ方の「技術論」ばかりを意識してしまうと、身体のコントロールする神経系や筋肉系がうまく作動しなくなり、様々な誤作動が学習記憶されてしまう。究極的いえば、理想の送球ができれば、フォームなどはいろいろあってもよいということになる。スポーツ科学で、よく研究者がフォームのことをあれこれと理論的に解説することが多い。フォームの重要性を強調しているが、いい球を投げた結果、そのフォームが出来上がったのであって、いいフォームの結果、いい球が投げられた訳ではないことが多いのではなかろうか?そのような解説を聞くと、フォームがとても重要かのように錯覚してしまう。フォームの改良で良くなったという話も聞くが、どのような球を投げたいのかのゴール(結果)が最初にあって、それに伴ってフォーム(身体)がついてくるというのが自然だろう。つまり、どのような球を投げたいかという理想の結果が鮮明にイメージできれば、身体はそのように投げられるように自然に(無意識に)フォームを作ってくれる。「フォームはゴール(結果)の後からついてくる」。という考え方が大切になる。
  1. 上記の説明を終えて、理想の投球結果、すなわちどんな球を投げたいかを質問→「伸びあがる球」→PCRT検査→陰性反応
  2. フォームを意識した投球→PCRT検査→陽性反応(誤作動あり)
  3. 再度、伸びあがる球を投げた結果のイメージ→PCRT検査→陰性反応(誤作動なし)
  4. 患者にもマッスルテストで陽性反応と陰性反応の違いを体感してもらう。
  5. PCRTパターン呼吸振動法にて陽性反応から陰性反応へと施術→陽性反応の陰性化
  6. 施術終了
【2回目:2日後】

前回の施術後、練習でかなり改善されたとのこと。

〔PCRTEB特定検査〕
  • 前回の陽性反応はすべて陰性化。
マウンドから投球するだけでの誤作動記憶は調整されたので、実際の試合などの状況を想定してPCRT検査を行う。
  • 症状イメージ:実際の試合想定でのマウンド投球
→試合中、ランナーが一塁に出て、セットポジションからの投球→陽性反応→「恐れ」→過去の経験→点を取られて自責→PCRT呼吸振動→陰性反応
  • 症状イメージ:エピソード記憶
→近くのキャッチボールで暴投しちゃいけないという自分の姿のエピソード記憶→陽性反応→自信をもって投げている姿→陰性反応→陽性反応と陰性反応のエピソードイメージにカラーイメージを加えてパターン呼吸振動法→陽性反応の陰性化
施術終了

【3回目:4日後】

前回に引き続き調子がいいとのこと。

〔PCRTEB特定検査〕
  • 症状イメージ:試合想定での投球
→前回のランナー一塁でセットポジションからの投球→陰性反応
→左バッターに対する苦手意識→陽性→警戒心→デットボール→中学生のときのデットボールの記憶→陽性反応→PCRT呼吸振動法
  • 症状イメージ:近くのキャッチボール→陰性反応
  • 施術終了
【4回目:6日後】

前回に引き続き調子がよく、大学のリーグ戦も始まり、試合でもよかったとのこと。
  • 症状イメージ:キャッチボール
→近くのキャッチボールは良くなり、遠投も問題はないが、その中間ぐらいの20メートルぐらいの距離でのキャッチボールでイップスを感じるとのこと→陽性反応→虚栄心→理想の自分で評価されたい→PCRT呼吸振動法
施術終了

【5回目:8日後】

前回に引き続き調子がよく、イップスに関してはほとんど気にならなくなっているとのこと。
  • メンテナンス的に脊柱を中心に誤作動記憶を調整する。
  • 施術終了
イップスに関係する誤作動記憶の陽性反応が陰性化しており、本人も安心している様子なので、次回は2週間後に来院していただく予定。その間に練習や試合で何か気づいたことがあれば再検査を行う予定。

2016年4月5日火曜日

PCRT症例報告【チック症状の改善】(ジストニア)

【はじめに】

3歳9か月の男の子とその母親が、チックと吃音障害(どもり)を改善したいとのことで来院。母親によると、3歳4か月の時からチックの症状が顕著になりはじめたとのこと。目をパチパチしたり、不安で緊張が強くなると右手でグーパー、グーパーしたりする。毎日、夕方にテレビを見ているときに胸をブルブル震わせるのを無意識に繰り返す。母親が忙しくてかまってもらえないと不安になる様子。日々、観察しているとだんだんとガクガク身体を震わせる感じに変わり、心配で小児科を受診し、その映像場面を医師に見せると、てんかん発作ではなく、チックのようなものだろうといわれたとのこと。小児科医のアドバイスで夕方のテレビは見せていない。ひどくはないが、吃音(どもり)も少し出ている。4月から幼稚園の入園で不安もあり、体験入園でも目をパチパチさせていたらしい。

原因として考えられる家族の関係があったらしい。チックの症状を発症する以前、上の兄(9歳)のアトピー症状がひどくなり、強迫性障害も合わせて発症。アトピー症状改善のために、しみる温泉水をかけるときに大声をだすなど、兄が精神的に不安定状態だった。母親も兄のことが不安で兄にかかりっきりだったとのこと。また、兄の温泉治療で弟を実家に預けて寂しい思いをさせることが多かったらしい。本来はとても明るい子供だったのに、チックの症状が出始めたと同時期位に性格も暗く、不安げになり、赤ちゃん返りのように母のおっぱいを吸うようになった。なるべく不安にさせないようにして、兄の症状も改善し、フラワーエッセンスをとるようにして、以前よりは改善したとのこと。

母親の思慮深いサポートもあり、代理検査などを通して段階的に改善された症例を報告する。

【初回施術】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ

〔EB特定検査〕

第4チャクラ
→信念→「慈悲心」(お母さん)→A君に対して~してあげたい→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→信念→「羞恥心」→恥ずかしと思っていることPCRT呼吸振動による施術→陰性反応

第6チャクラ
→信念→「慈悲心」→A君がお兄ちゃんに対して心配していること→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→信念→「同情心」→A君がお兄ちゃんに対して・・・→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【2回目:4日後】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ

〔EB特定検査〕
第4チャクラ
→信念→「復讐心」(お母さん)→一年前の過去の友人に対して→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

第6チャクラ
陰性反応

施術終了

【3回目:3日後】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ
症状イメージ

〔EB特定検査〕

第4チャクラ
→感情→「恐怖」→お兄ちゃん→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
症状イメージ
→目のチック症状→信念→「復讐心」→お兄ちゃん→→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【4回目:5日後】

〔目安検査〕

肉体内外EB:第6チャクラ、第4チャクラのEB消失
症状イメージ→目の症状

〔EB特定検査〕

症状イメージ→目の症状、口の症状
→信念→「復讐心」→お兄ちゃんとけんかをすると負ける、物の貸し借りで我慢していること→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
テレビを見ているときの症状
→信念→「復讐心」→以前、保育園に預けられたこと→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【5回目:5日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:第6チャクラ
症状イメージ→目の症状、口の症状

〔EB特定検査〕

症状イメージ→目の症状
→信念→「自省心」→保育園で人が怒られるのを見て自分のことのように当てはめて反省する→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→慈悲心→「慈悲心」→お兄ちゃんがお母さんに怒られるのを可愛そうに思う→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了


【6回目:4日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:第6チャクラ
症状イメージ→目の症状→陰性症状、口の症状→陰性症状
症状イメージ→視力調整

〔EB特定検査〕

第6チャクラ
→「信念」→「同情心」→昨日のお兄ちゃんに関するトラブル→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

症状イメージ→視力調整(遠近刺激)
→感情→「意欲」→何に関しても一生腱命に集中する→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

チックの症状も軽減し、それに伴ってお子さんの表情が以前のように明るくなって良かったとの報告をいただく

【7回目:10日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:頸椎後部

〔EB特定検査〕

肉体内外EB:頸椎後部
→警戒心(母親)→子供達に対して厳しくする加減
→エピソード記憶→不安そうに息子さんを見ている自分→陽性反応→安心して息子さんを見ている自分→陰性反応→パターン呼吸振動法にカラー情報を加えて、陽性反応(赤)か陰性反応(緑)のパターン変換にて調整→陽性反応の陰性化

施術終了

【8回目:7日後】

お母さん曰く、全体的にチックの症状は改善されているが、口をモグモグしているときがあり、それがチック症状なのか、単なるクセなのか気になるとのこと

〔目安検査〕
症状イメージ:代理検査

〔EB特定検査〕
症状イメージ:代理検査
→恐れ→お兄ちゃんの声→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
エピソード記憶
→口をモグモグしている自分の姿(鏡を使用)→陽性反応→普通の自分の姿(鏡を使用)→陰性反応→パターン呼吸振動法にて陽性反応パターンから陰性反応パターンに変化して調整→陽性反応の陰性化

施術終了

【9回目:8日後】

〔目安検査〕
症状イメージ:代理検査
→口のクセ
→眠たい時→陰性反応
→怒られるとき→陰性反応
→お母さんが息子さんの症状を気にしている自分を客観視→陰性反応

施術終了

全般的にチック症状が改善され、お母さん自身も安心している様子なので治癒として様子を見ることにする。

【考察】
本症例で、順調に改善方向へと向かった背景に、PCRTに対する母親の理解と関わり方が影響を及ぼしているように思う。子供の治療と並行して、母親にも治療を受けていただき、AMとPCRT併用による治療効果を体験していただいた。施術者側の印象として、施術者、施術法に関して深く信頼を寄せていただけていることが感じられた。
チック症状を改善させるために、肉体面だけのアプローチでは改善が見込めないということは、一般的にも知られるようになっているのではなかろうか?西洋医学では精神面に作用を及ぼす薬物療法も行われているようだ。PCRTでは、心身相関に関係する誤作動記憶に直接アプローチするため、何が原因に関係し、関係していないかが検査で分かる。PCRTはこのような心因性が関係する症状に関しては、本質的、かつ合理的な治療法といえるだろう。







2016年3月31日木曜日

2型糖尿病で数値の改善


【経緯】

病院でⅡ型糖尿病との診断を受け、投薬治療を受けており、今回、インシュリン注射を受けたほうがいいと勧められたとのこと。どうしてもインシュリン注射の治療を受けたくないのでということで来院。患者は以前、腰痛とフワフワ感を訴えて当院を受診、膵臓の反応点で、毎回誤作動反応を示していたので、腰痛などの症状と合わせて膵臓のホルモン系の機能障害の治療も行っていた。当院に通院されながら、病院での投薬も受け、病院での検査結果もある程度落ち着いたので当院での治療を中止。9か月後、病院での投薬は継続していたが、血糖値、並びにヘモグロビンA1cの数値がインスリン注射の治療を受けなければならない数値に上昇しているとのことだった。

【初回】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:膵臓と脳下垂体(前頭部)にて陽性反応

〔PCRT・EB特定検査〕 *EB=エネルギーブロック
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「復讐心」→趣味で自己満足している自分自身に対して→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「自省心」→自分で自分のことを反省→PCRT呼吸振動法→陰性反応

施術終了

【2回目:3日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:膵臓と脳下垂体(前頭部)にて陽性反応

〔PCRT EB特定検査〕 
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「慈悲心」→自分自身に対して姉として可愛そう→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • 膵臓臓器反応点→陽性反応→「信仰心」→姉としてこうあるべき→その信念を持ち続けて得られるものは→「存在感・重要感」→PCRT呼吸振動法→陰性反応
以前にも同じ反応が繰り返されていることを考慮して、もしも、同じ「~べき」で繰り返されているのであれば、思考停止状態になっているで、病気を作りだすバターンも変化しないことが多い。もしも、病気を本質的に改善したいのであれば、心の奥から柔軟性を引き出したほうがいいかもしれないといった内容をアドバイス。信念を変えることで何か失うものはあるのかどうかの質問も加える。

施術終了

【3回目:5日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:前回陽性反応を示していた膵臓と脳下垂体(前頭部)は陰性反応

〔PCRT・EB特定検査〕
  • 筋肉・関節系:頸椎下部のEB→「恐れ」→未来→最も恐れていること→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • エネルギー系:胸椎上部後方の肉外EB→「意欲」→患者認識→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • エネルギー系:胸椎上部後方の肉外EB→「恐怖」→患者認識→PCRT呼吸振動法→陰性反応

施術終了

【4回目:6日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:引き続き前回陽性反応を示していた膵臓と脳下垂体(前頭部)は陰性反応

患者からの報告:血糖自己測定検査でも数値がよくなっているとのこと。

〔PCRT・EB特定検査〕
  • 筋肉・関節系:胸椎上部のEB→「喜び」→患者認識→PCRT呼吸振動法→陰性反応
施術終了

【5回目:8日後】

〔PCRT目安検査〕
  • 臓器反応点:引き続き前回陽性反応を示していた膵臓と脳下垂体(前頭部)は陰性反応
患者からの報告:病院での検査でも、血糖値が下がり、インシュリンの分泌も正常の値を示しているとのこと。ヘモグロビンA1cの値も1~2か月で正常値になっていくでしょうとのこと。

〔PCRT・EB特定検査〕
  • 筋肉・関節系:胸椎中部のEB→「恐れ」→姉として他の兄弟に対する心配→PCRT呼吸振動法→陰性反応

施術終了

臓器反応点の膵臓と脳下垂体での陰性反応が継続しているため、2週間後の施術を提案する。

【考察】

糖尿病の原因として、一般的にいわれるのは栄養バランスや運動不足といった生活習慣が注目されやすい。しかし、最近では、糖尿病とストレスの関係性について語る医師も増えてきているようだ。長年、心身相関を臨床現場で研究している治療者にとって、慢性症状に心の関係性を考慮するのは当たり前のことだと思うが、心と身体を切り離して病気や症状をとらえる医療者が多いのが現実である。糖尿病に限らず、慢性病の多くはメンタル系、すなわち無意識レベルで学習された誤作動記憶が関係していることがほとんどである。その誤作動記憶は、奥に隠れている「~べき」や「~ねばならない」という深い信念が関係していることが多い。本症例の患者も、ご自分が無意識的に信じていた信念が、健康に影響を及ぼしているという認識が深まったため、別の思考の選択肢が生まれたようだ。それがターニングポイントとなり、誤作動記憶が上書きされ、健全な変化へと促されたのだろう。

2016年3月29日火曜日

投球イップスの改善(高校生)

【経緯】
高校3年生の男性、右投げピッチャーが投球イップスの症状を訴え来院。高校一年生の時からイップスの症状があり、イップスの症状に加え、投球フォームも改善したいとのこと。高校1年生の時からピッチングが思いっきりできない。特にあまり親しくない人とのキャッチボールでいい球を投げようとするときに悪化する傾向があるとのこと。親しい人とのキャッチボールでは症状が軽減する。ベースボールスクールにも通っており、以前よりは良くなっているらしい。

【初回】

〔初回目安検査〕
  • ハード面の誤作動検査(機能的検査)では、前頭部、両側頭部にてエネルギーブロック(EB)の陽性反応を認める。脊柱関節の神経関節機能障害の検査(アクティベータ・メソッドによる検査)では左骨盤部、T8部に陽性反応。
  • ソフト面の誤作動検査(心身相関に関係する誤作動記憶によるエラー)では、マウンドで投げるイメージで誤作動反応。
〔PCRT検査〕
  • マウンド投球→「虚栄心」→ストレートでの球の切れ、伸び、勢いの他者評価→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • マウンド投球→「恐怖」→大学への進学予定でそこの野球部でイップスが治っているかどうか→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
  • マウンド投球→「信仰心」→野球分野→フォームを改善すべき→陽性反応・・・ここで、施術者はフォームに関する新たな意識改革の必要性があると感じ以下の説明を行う。
投球イップスを抱えている多くの投手は、イップスを改善させるためのフォームの改良ばかりに意識を注ぐため悪循環から抜けだせないことが多い。むしろ、「どのような球を投げたいのか」の「結果」が肝心で、どのように投げたいのかのなどの「投げ方の技術論やプロセス」は重要ではない、むしろ、「結果」を意識せず、投げ方の「技術論」ばかりを意識してしまうと、身体をコントロールする神経系や筋肉系がうまく作動しなくなり、様々な誤作動が学習記憶されてしまう。究極にいえば、理想の送球ができれば、フォームなどはいろいろあってもよいということになる。スポーツ科学で、よく研究者がフォームのことをあれこれと理論的に解説することが多い。フォームの重要性を強調しているが、いい球を投げた結果、そのフォームが出来上がったのであって、いいフォームの結果、いい球が投げられた訳ではないことが多いのではなかろうか?そのような解説を聞くと、フォームがとても重要かのように錯覚してしまう。フォームの改良で良くなったという話も聞くが、どのような球を投げたいのかのゴール(結果)が最初にあって、それに伴ってフォーム(身体)がついてくるというのが自然だろう。つまり、どのような球を投げたいかという理想の結果が鮮明にイメージできれば、身体はそのように投げられるように自然に(無意識に)フォームを作ってくれる。「フォームはゴール(結果)の後からついてくる」。とうい考え方が大切になる。
  • 上記の説明を終えて、理想の投球結果、すなわちどんな球を投げたいかを質問→「伸びのある球を投げる」→PCRT検査→陰性反応
  • フォームを意識した投球→PCRT検査→陽性反応(誤作動あり)
  • 再度、伸びあがる球を投げた結果のイメージ→PCRT検査→陰性反応(誤作動なし)
  • 患者にもマッスルテストで陽性反応と陰性反応の違いを体感してもらう。
  • PCRTパターン呼吸振動法にて陽性反応から陰性反応へと施術→陽性反応の陰性化
  • 施術終了

【2回目:26日後】

前回の施術後、かなり改善されたが、キャッチボールの際に安定しない時があるとのこと。ピッチングでも満足のいく投球ができない時がある。

〔PCRT検査と施術〕
  • 前回の陽性反応はすべて陰性化。
  • キャッチボールで安定しない時の記憶→陽性反応→「慈悲心」→過去の野球人生→中学の時仲の良い上手だった友達が高校の野球部を辞めたこと→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • ピッチングで満足のいかない投球の記憶→陽性反応→「羞恥心」→中学では野球選手として認められていたが、高校では認められなくなったこと→PCRT呼吸振動法→陰性反応
  • フォームを意識しての送球→陽性反応VS投げた結果を意識して送球→陰性反応→陽性反応と陰性反応でPCRTパターン呼吸振動法→フォームを意識しての送球→陰性反応
  • 施術終了

【3回目:20日後】

イップスの症状は全然大丈夫とのことで完治。バッティングの際に痛めた腰痛で治療を受ける。

【考察】

3年間ほど、イップスの症状を抱えていたにも関わらず、比較的早期に改善された症例だと感じる。いろいろと悩んだ末にたどりたどりついた治療院だった様子。施術者、ならびに治療法のコンセプトに対する信頼関係が前提条件として揃っていた結果である。フォームを意識過ぎると、身体のシステムに不調和が生じやすいという情報は、今まで聞いたことのないアドバイスだっただろう。恐らく、フォーム改良の努力は、改善をかなり遅らせていたかもしれない。そのことは当院の治療の結果を振り返っても明らかである。高校を卒業し、大学への進学も決まったとのこと。大学でも大いに野球をエンジョイしてもらいたいと願う。

2016年3月27日日曜日

FCC移転のお知らせ

この度、ファミリーカイロプラクティックセンターが入居している第一簀の子ビルは、オーナーの都合により、全テナント退去となりました。そのため、当院は5月より天神に移転することになりました。長年、慣れ親しんだ場所を離れることで、何かとご迷惑をおかけすることになりますがよろしくお願いいたします。移転先は、昭和道理沿いの天神サンビルです。一階にサブウェイがあります。天神3丁目バス停の目の前で、地下街の出口は西1番になります。電話番号の変更はございませんのでそのままご利用ください。

福岡市中央区大手門1丁目で開業させていただき21年になります。振り返りますと、この地で得た経験やご縁はかけがえない人生の財産になったと思います。ほんとうに多くの人に支えていただいた21年でした。米国から帰国後、開業の地を探すために、生まれ育った北九州市から探し始め、それから福岡市へと足を運びました。歩き回りながら何軒かの不動産を尋ね、いくつかの物件を見せてもらいました。最初は、北九州市で開業するか、福岡市で開業するかいろいろと悩みましたが、街並みを歩きながら私には福岡が合っていると感覚的に感じました。

現在のビルオフィスも自分の足で見つけました。昭和通りを歩いている途中でたまたま空き室のサインが目に入り、そのサインに記載されていた電話番号から不動産会社にたどり着き、そこから賃貸契約を結ばせていただきました。最初は当ビルの4階の15坪ぐらいのオフィスからスタートして、5年位で部屋が狭くなり、たまたま空いた5階の20坪ぐらいのオフィスに移転しました。

開業当初は、一人でチラシをポスティングをしたりして治療院を紹介しながら開拓していきました。最初の1~2年は、他の仕事でも探さなければ、このままでは開業の継続は難しいという不安をいつも抱えていました。来院して下さった患者さんの支援もあり幸運にも少しずつ患者さんが増え始め、一人での営業は手が回らなくなり、パートで働いていただける人を看板の広告で募集したところ、たまたま通りかかった人が来てくれるようなりました。私にとっては最初のスタッフでした。

それから患者さんが増えるに伴って、一緒に働いてくれるスタッフも増え、多い時には4~5人のスタッフが働いてくれた時期もありました。開業から21年の間に多くのスタッフに働いていただきました。数か月で辞めたスタッフもいましたが、長く支えてくださったスタッフには心から感謝しています。ほんとうにその人たちの支えがなければ、今のような発展はなかったと年を重ねるごとに感じさせられます。

この21年を振り返ると、ほんとうに『ついている』というか、『運がいい』としか言いようがないことがたくさんありました。私を支えてくださったスタッフとのご縁はもちろん、来院してくださる患者さん達にも恵まれ、多くの患者さんに支援していただいて今日があります。そのような皆様の支援に恥じることないように、今後もさらなる発展を目指して、多くの患者さんや社会に貢献できればと願っています。

今後ともよろしくお願いいたします。

2016年3月2日水曜日

花粉症の改善報告がたくさん!

花粉症のシーズンですが始まっているようですが、「今年は全然大丈夫!」という報告を何人かの患者さんからいただきました。毎年この時期になるとマスクが欠かせないという患者さんも2年ほど前に治療させていただきましたが、今年もマスクすることなく過ごしているとのこと。中には、「アレルギーの治療をしてもらって以来、すっかり良くなっていたのですが、また、少しぶり返しているようで・・・」という患者さんもおられましたが、全般的にアレルギー治療効果の喜びの報告をたくさん聞かせていただいています。

アレルギー治療で大切なポイントは「情報」=「エネルギー」としてとらえるということです。また、アレルギー症状を創り出す脳の記憶=プログラム化としてとらえることも大切です。アレルギー症状を引き起こす脳のプログラム化は、単一の情報の場合もあれば、複合した情報の場合もあります。いずれにせよ複数のプログラム化が複雑に関係しており、施術では絡まった糸を解きほぐすように整理して、アレルギー情報に慣れさせるように、無意識レベルの脳を再学習させていきます。

アレルギー症状の程度によって、完治までの治療回数は様々です。比較的治療回数を要するのは意識と無意識の不一致の度合いが高い場合です。しかしながら、患者さんが主体的に無意識の自分を理解しようと努める限り治療効果が徐々に表れてきます。花粉症対策には、マスクをしたり、対症的な薬を使ったりで、毎年症状に悩まされるのが当たり前かのように、根本的には治らないと諦めている患者さんが多いのではないでしょうか?

PCRTで治療効果を引き出すためには、単にハウツー的な手法ではなかなか効果が引き出せないかもしれません。PCRTの概念をしっかり理解して、単に反射系の施術だけでなく、大脳辺縁系や大脳皮質系へのアプローチが必要です。PCRTによるアレルギー治療の効果をもっと分かりやすく伝え、さらに多くの患者さんに喜んでいただければと願っています。

2016年3月1日火曜日

摂食障害の改善

【経緯】
最初は首や背中の痛みの改善目的で来院されていた患者さんから「言いにくいことだけど相談がありまして・・・」と、長年、「摂食障害」で悩まれているとのことで相談を受けた。摂食障害にも色々あるが、相談を受けた患者さんは、満腹感を感じるまで食べて、嘔吐を繰り返すというタイプとのこと。以前は太っていたが、そのパターンを繰り返すことで理想の体型を保てていたという。

一回目の施術
〈PCRT検査〉
お腹いっぱい食べないと気が済まないというイメージ=陽性反応
太ってしまう恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒自分がどんな風であっても認めてあげたい=陽性反応

二回目の施術(5日後)
〈患者のコメント〉
施術後、気持ちが楽になった気がします。
〈PCRT検査〉
お腹をいっぱいにする恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒太っていても自分の存在を認めてあげる

三回目の施術(4日後)
〈患者のコメント〉
お腹いっぱいにして吐く習慣はなくなったけど、その代わりに下半身のむくみや下腹部の張りが気になります。
〈PCRT検査〉
飲み物全般+執着心=吐きやすくするために飲むことに意識が向いていた。忠誠心=趣味=ダイエット=太らないようにすべき

四回目の施術(3日後)
〈患者のコメント〉
吐く習慣がなくなったので当然なんでしょうけど体重が3キロぐらい増えて、お腹の張りやむくみが気になります。
〈PCRT検査〉
慈悲心=苦しんでいる自分に対して 成長(価値観)=乗り越えようとしている自分に対して満足度が低い 復讐心=今までダイエットのためにお腹いっぱいまで食べ、嘔吐していた自分

五回目の施術(3日後)
〈患者のコメント〉
前回の施術の後、以前のように体重に対してはあまり気にならなくなり、今のままの自分でいいという意識がでてきました。今は、お腹を満たしたいというよりも、口を満たしたいという習慣が気になっています。
〈PCRT検査〉
口さみしくなるとき=陽性反応
⇒警戒心⇒つながり・愛情⇒お母さんとのつながり⇒痩せた時自慢の娘といわれた⇒お母さんに認められたい(承認)

六回目の施術(4日目)
〈患者コメント〉
吐いたりする行為はなくなったが、数年前から夜中に起きて甘いものを食べる習慣があります。その行為も異常だと思っていませんでしたが、最近、嘔吐する摂食障害がよくなって、それも異常な習慣だと感じるようになりました。
〈PCRT検査〉
夜中に甘いモノが欲しくなる記憶=陽性反応
意欲⇒つながり・愛情⇒ご主人⇒聴覚⇒ご主人からの言葉の満足度が低いための欲求

【考察】
摂食障害にも様々なパターンがあるが、満腹感を得られるまで食べ嘔吐を繰り返すというパターンは比較的多いかもしれない。今回ご紹介させていただいた患者さんの摂食障害は15年以上も続いたとのこと。深層心理的に深い内容が絡んでいたにも関わらず、このPCRTの検査で施術を進めていくと比較的早期に改善がみられる。早い人では1回から2回の施術で異常な過食の欲求がなくなり、だんだんとスマートな体型、というよりも本人らしい理想の体型になっていく患者さんもいる。恐らく通常の心理療法やカウンセリング療法であれば、ここまで深い誤作動記憶にたどり着くには相当な時間がかかるだろう。PCRTは摂食障害など、深層心理に関係する無意識の誤作動記憶の施術には効果的ではあるが、本人が本当に心から治したいという気持ち(コミットメント)の度合いが強くなければ効果が得られないというネックはある。しかしながら、摂食障害に限らずメンタルヘルスに関係する障害で、本人のコミットメントの程度が高ければ高いほど、PCRTによる施術効果は高いと感じている。

2016年2月20日土曜日

開催15年のANJ主催のAMセミナー

今年初めてのAMセミナーを大阪で開催した。日本で初めて米国と同等の国際基準のAMプログラムを開催し今年で15周年。その間、多くの先生方に受講していいただいた。熱心な先生には指導者としての立場でもご協力いただいている。

ANJセミナーは、米国からの教育マニュアルをそのまま日本語に翻訳して指導させていただいている。日本の風土に合うように指導法の工夫にも力を入れてきた。日本のインストラクターチーム内でのトレーニングやミーティングを頻繁に積み重ね、いかに効果的なセミナーに発展させることができるか色々と試行錯誤してきた。

いかにして二日間のセミナーを充実させるか?ティーティングとコーチング手法を織り交ぜながら、受講者がいかに効率的に知識やスキルをマスターすることができるのかの指導要綱を研究し続けてきた。長年の研究の中での大きな気づきの一つは「手とり足とり教え過ぎない」というものだった。

問題点を何度指摘しても、多くの受講生は同じ問題を何度も繰り返す。「それはなぜか?」それは、「自ら考えて、自ら気づきを得ようとしていないからだ」ということが見えてきた。シンプルにいえば、受け身で教えてもらおうとするのか、主体的に学び取ろうとしているのかの違いだ。

一見、手とり足とり指導員から教えてもった方が上達は早いと思われるかもしれないが、そうとは限らない。基本的に自ら学び取ろうとする姿勢がないと上達はし難い。今では受け身で学ぶのではなく、受講者自らが学び取る姿勢や受講者間で学び合う姿勢は、とても効果的な学習スタイルになっている。

受講者からのフィードバックやアンケートからも満足度が高いことが伺えるが、現在の指導法に甘んじずにさらなる研究を積み重ねていきたい。

2016年2月7日日曜日

「生体(生命)エネルギー」とは


「生体エネルギー」というと、非科学的だという理由で怪しいと感じる人も少なくはないかもしれません。血液が流れているということは、心臓の鼓動や脈拍を触れることで感じることができますし、西洋医学的にも広く知られています。しかし、「生体エネルギー」が身体を循環しているということはあまり知られていません。その大きな理由の一つが、目には見えない存在だからです。「生体エネルギー」は様々な角度で説明されています。

神経学的な視点でいえば、電気信号のようなものです。例えば、脳や神経系の一部が損傷すると、神経が発する神経エネルギーは途絶えて、その末端で支配されていた筋肉や臓器は動かなくなります。死を迎えると、脳や神経が損傷していなくても神経エネルギーを含むすべての生体エネルギーは循環しなくなります。

東洋医学的には、「生体エネルギー」を「気」と呼び、その循環経路を「経絡」と呼んでいます。「経絡」は古くから鍼灸治療で活用され、経絡を流れる「気」(生体エネルギー)の循環を改善させるために「ツボ」に鍼で刺激したり、お灸を施したりします。また、「経絡」以外にも肉体内外を通り抜けて循環する「チャクラ」と呼ばれるエネルギーの通り道もあり、古代のインドから伝えられています。さらには、このような肉体内外を循環する経絡やチャクラ以外に「オーラ」と呼ばれる肉体外に湧き出るエネルギーもあります。

もしも、これらの生体エネルギーが正常に循環されずに滞ってしまうと、様々な症状や病気が引き起こされます。「経絡」、「チャクラ」、「オーラ」に関係する肉体内外の生体エネルギーがブロックされているかどうかは、自然治癒力が正常に機能しているかどうかの重要な判断基準になります。これらの生体エネルギーブロック(EB)が開放されると、ほとんどの症状が改善されているということを長年の臨床研究で確認してきています。

では、このEBの存在をどのように判断するのでしょうか。すでにご存知かと思いますが、身体を使った生体反応検査法で判断します。異常のある部位を押さえたり、手をかざしたりしてもらうと、レッグテスト(下肢長差テスト)やマッスルテスト(筋抵抗テスト)で陽性反応が示されます。

このような生体反応検査による陽性反応を感じて、最初は驚かれる方が多いのですが、身体を使った検査法に慣れてくると、当たり前のように陽性反応が感じられるようになります。そして、肉体内外のエネルギーブロックを解放させることが健康維持のために大切であるということがご理解いただけるようになってきます。

EBは症状があるときだけ存在するとは限りません。体調不良を自覚していなくても、陽性反応が示されることも多々あります。特に体調不良を感じていなくても病気の予防や健康維持のためなど、メンテナンス的に当院をご利用ください。

オーラの絵図はSacred Mirrorsより引用させていただきました。
チャクラの図は「光の手」バーバラ・アン・ブレンナ著より引用させていただきました。

2016年1月25日月曜日

「生体反応検査法」の原理とは?

先日、ナノテクノロジーを使って早期がん検査の開発を行っているという番組をたまたまテレビで見ました。最近ではナノテクノロジーの発展に伴い、一滴の血液だけでがんを判別する方法を開発したということを紹介していました。その早期発見につながる原理となったのは、分子レベルでの電荷状態の応用です。簡単に言うと、がん関連物質がもつプラス荷電状態を利用して、マイナスの荷電の検査用チップに吸着させてがん有無判定を行っているとのことです。

私はこの番組を見て、以前行っていた生体反応検査法の研究でいろいろと臨床現場で試していた時のことを思い出しました。留学時代、様々なカイロプラクティックのセミナーを受けて、生体の異常のある部位を触ると、筋力が弱化したりすることを学んでいました。その詳しい原理は分かっていませんが、その学びをヒントに生体に磁石を当てながら、生体反応検査法を行っていました。磁石にも色々な種類や磁力の強さがあり、強い磁力の磁石も海外から取り寄せたりして、様々な角度から生体のエネルギー反応を研究していました。

その時に明らかに感じたことは、症状や病気に関係する自然治癒力は、磁力や電荷などのエネルギー的な観点でとらえる必要があるということです。そして、自然治癒力を引き出すことを目的にしている治療者は、身体を「物質的」にとらえるのではなく、「エネルギー的」にとらえることが必要であるということを確信しました。身体の状態を「物質的に診る」のか、あるいは「エネルギー的に診る」のかでは、症状や病気に対する考え方も治療法も随分と異なります。

カイロプラクティックを例にいえば、物質的に診るカイロプラクティックの場合、「背骨がズレているから腰が痛い」となりがちです。エネルギー的に診るカイロプラクティックの場合、「身体をコントロールしている神経エネルギーが滞っているから腰が痛い」となるでしょう。私は、「エネルギー的」という意味をナノテクノロジー的にいえば、「分子レベルで生体内のプラス、あるいはマイナス電荷のバランスが調和されていない状態、偏りのある状態」だと考えています。

研究会では、図のような仮説図を描いて説明していた時もありました。エネルギー的に異常がある部位を私たちはエネルギーブルロック(EB)と呼んでいますが、そこには分子レベルでマイナスの電荷ばかり、あるいはプラスの電荷ばかりが偏って、生体エネルギー的なバランス異常をきたしているという仮説です。今回のような最新技術による科学的な研究をみると、私が想像しているEBの仮説もまんざら捨てたものではないと改めて感じました。

いつの日かこのような仮説が科学的に検証され、社会に役立つことを願いながら、今後も臨床での研究を継続していきたいと考えています。

2016年1月4日月曜日

明けましておめでとうございます。

昨年は、ファミリーカイロの20周年からあっという間に1年が過ぎました。多くの人に支えられて今日があることをしみじみと振り返ることができました。今年も皆様の健康のお役に立てることに感謝しながら、様々なことに挑戦し、成長を積み重ねていくことができればと願っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

ライフコンパスアカデミー(LCA)では、昨年も多くの先生方にアクティベータ・メソッド(AM)、PCRT研究会、臨床スキルのプログラムにご参加いただきました。2015年の大きな節目として、PCRTが10周年を迎え、第50回の研究会を開催することができました。ここまで継続できたのも熱心に参加してくださった先生方のお蔭だと深く感謝しております。

2016年のLCAは、筋骨格系に即効性のあるAM、様々な「慢性症状」に効果的なPCRT、そして、単に症状の改善だけでなく、より豊かな人生をサポートするコーチ養成講座のプログラムも計画しております。今年も、LCAは「挑戦」「成長」「貢献」をテーマに掲げて前進してまいります。

皆様にとって実りのある一年でありますことをお祈り申し上げます。